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「我々はどこに行くのか」。今熱い仮想通貨『ワールドコイン』に振り回されてはいけないワケ

オープンAIの創業者、サム・アルトマンらが開発した仮想通貨・ワールドコインにChatGPTなどなど、AIブームが到来している昨今。時代に乗り遅れないためにもAIを使っていくことは大切です。しかし、「それに振り回されるのは良くない」と語るのは、Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍されているメルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』の著者・尾原和啓さん。今回、あの有名絵画を使って重要なことを教えてくれています。

オープンAIの創業者、サム・アルトマンがやっている仮想通貨、ワールドコインがものすごく熱いという話について

オープンAIの創業者、サム・アルトマンがやっている仮想通貨、ワールドコインがものすごく熱いという話について、逆に振り回されちゃいけないよという話をしたいと思います。

ChatGPTが、たったの2日間で1,000万人ユーザー到達して、1ヶ月で1億ユーザーを達成したという話題がありましたね。さらに、国がChatGPT相当のオリジナルの大型AI、ラージランゲージモデルを作らねばならないという動きもあり、ものすごいAIブームが来ていると言えます。

その革命の中心にいるOpenAIのCEOのサム・アルトマン。彼に注目が集まっていて、彼がやっている暗号資産のワールドコインが、暗号資産として上場したということで、すごい話題になっています。

でも、ちょっと待ってという話があるんですね。

TwitterがXにブランドを変えたり、Facebookのマークザッカーバーグが新しいSNS「スレッズ」を開始し、これまたたったの2日間で1億人ユーザーを集めたりと、一等地がどんどん変化しています。

ついつい新しく生まれた一等地に先に行かなきゃ、先に行かなきゃという風に、アテンションエコノミーと言うふうに注意が集まっているところは、おいしい場所だから、みんなで群がらなきゃいけない。という風潮が強まってきていると感じます。

でも、ワールドコインって本当に新しいトレンドなのか。Xって名前を変えただけで新しい革命が起こるのか。

スレッズって2日間で1億人が集まったけど、逆にアクティブユーザーが7割減り、1人当たりのアクセスの時間も、今やTwitter改めてXの1/4ぐらいになって、オワコンなのか。って皆が群がって、次に行ってしまってるですね。

重要なのは、ゴーギャンのこの絵なわけですよ。

「我々はどこから来たのか、我々は何者なのか、我々はどこに行くのか」

ですね。

例えば…、OpemAIのChatGPTがすごいから、サム・アルトマンがやることはすごいよね、とか。イーロンマスクのテスラの時価総額は世界のTOP5にはいり、いまや全自動車メーカーの時価総額を超えています。だから。Xもなにかすごいに違いないって短絡的に考えるんですけど、でも人間がやっていることって、ポッと出じゃなくて、経緯っていうのがあるんですよ。

ありがたいことに、今の時代ではGoogleやChatGPTが情報を提供してくれます。ただし、ChatGPTは2021年までの情報しか持っておらず、そこから先の情報は嘘つく場合があるので、十分に注意が必要ですけど。

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瞬間の出来事に振り回されずに…

GoogleやWikipediaなどの情報源を利用して、言語選択を英語にして、その英語を翻訳すると、結構その人の歴史っていうのがわかってくるんですね。

サム・アルトマンさんは、OpenAIの創業者であり、CEOだからAIと未来のテクノロジーの先端に立っている人物ですって今だけを切り出すと思うんですけど、彼の過去を調べると、世界最大のベンチャーアクセラレータープログラム、Yコンビネーターの代表を譲り受けていたり、Airbnbへの投資経験があるなど、投資家なんですよね。

かつ、核融合のスタートアップだったりとか、ワールドコインも前々から立ち上げていて、多岐にわたる活動を展開しています。

じゃあ、ワールドコインには、何のためにやってるかというと、彼はベーシックインカムを通じて、全ての人が基本的な生活を送れるようになり、みんなが前向きに生活できるようになるだろう、というのを信じていて、暗号資産がやりたいのではなくて、ベーシックインカムの世界をどう実現していくか、ていうものに新しいテクノロジーとして暗号資産を使っているだけですよ。新しいテクノロジーだけに注目していると、その本質を見落とすこともあります。

どこから来たかを見ていると、どこに行きたいのか、がわかるので、サム・アルトマンさんは、新しい科学技術によって、エネルギーの心配がない、収入の心配のない、それが故にみんなが前向きに生きれるっていう世界を信じているんですね。

じゃあ、それに基づいたら、手段としての暗号資産をどう使っていくのか。手段としての核融合をどう使っていくのか。手段としてのAIをどう使っていくのか。っていうのが見えるんですよね。

その人が何を大事にしているのかを理解するためには、その人の過去の流れを知ることが大切です。そして、その流れを理解することで、その人がどのような未来を描いているのかが見えてきます。

是非、一つ一つの瞬間の出来事に振り回されずに、何を重視し、何を目指しているのかという軸を大事にしてほしいということでございます。

最後に、イーロンマスクさんがXに関して何かやっているという話題がありますが、これについての解説も、もし要望があれば、していきたいと思います。じゃあね。

※ 2023年8月3日サロン向け解説動画を記事化しております

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image by:Paul Gauguin, Public domain, via Wikimedia Commons

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IT批評家、藤原投資顧問 書生 1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用システム専攻人工知能論講座修了。 マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタート。 NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援を経て、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業立ち上げに従事。 経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。 現職は14職目。シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡ぐカタリスト。ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」に従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。

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【著者】 尾原和啓 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 月・木曜日 発行予定

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