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9月に内閣改造も前途多難。岸田スキャンダルまみれ内閣は何を“改造”するというのか?

9月に内閣改造する予定だと発表した岸田内閣。支持率が低迷するなか、何をどう改造するというのでしょうか。メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』ではジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、現在のスキャンダルだらけな内閣の状況を紹介しながら、日本の政治の行末を案じています。

9月にあるという内閣改造と注目点

さて今週は、『9月にあるという内閣改造と注目点』と題して、今週大いに話題になった内容に関してみてみたいと思います。

なぜ9月に内閣改造か

9月中旬くらいに内閣を改造すると発表されました。

実際に今の内閣、岸田第二次改造内閣は、発足当初から様々なスキャンダルがあって、大臣が次々と変わってしまい、しっかりとした内閣としての実績を残したとはいいにくい内閣になっています。

まずは昨年10月に山際大志郎経済再生担当大臣が、世界平和統一家庭連合(旧:統一教会)との関係が相次いで問題化した責任を取る形で辞任し、後任に後藤茂之議員が就任しています。

次に11月葉梨康弘法務大臣が「ちょっと印鑑を押すだけの仕事」と大臣の仕事に対する度重なる失言が問題化して辞任し後任で齋藤健議員が就任します。

ほぼ時を同じくして、寺田稔総務大臣が自身の政治団体の政治資金を巡る不適切な処理などの問題が表面化し辞任し、松本剛明議員になります。

ちなみに、松本剛明氏は、菅直人第2次改造内閣での外務大臣以来約10年ぶりの入閣であり、民主党政権時の閣僚がその後の自民党政権において閣僚に起用されるのは松本氏が初となったのです。

次に昨年12月には、秋葉賢也復興大臣が自身の事務所経費を巡る不適切な処理など「政治とカネ」を巡る問題で辞任し、後任として渡辺博道議員が就任しています。

また同じ12月には杉田水脈総務大臣政務官が、自身の男女差別・性的少数者(LGBT)などへの過去の不適切な言動を巡る問題で辞任し、後任として長谷川淳二議員が就任します。

このようにこの内閣では大臣4人政務官1人がすでに入れ替わっているということになります。

ちなみに、大臣や政務官などではないですが、男女差別・性的少数者(LGBT)に関しては荒井勝喜内閣総理大臣秘書官が性的少数者に対する不都合なオフレコ発言を公表される形で更迭されてしまい、荒井と同じく経産省から伊藤禎則氏が後任に秘書官になりました。

荒井氏に関しては、岸田首相の「スピーチライター」もしていたので、岸田首相は荒井秘書官が更迭された本年2月以降、そのスピーチに関しても「稚拙」とか「昨年のコピペに過ぎない」などの批判が出されているのです。

そして最近では8月になって、秋本真利外務大臣政務官は、日本風力開発から多額の資金提供を受けた収賄の疑いで東京地検特捜部の捜索を受けた責任を取る形で辞任していますが、後任は発表されていません。

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さて、私個人としてはこの内容すべてが納得いっているわけではありませんが、岸田内閣としてはこのことを選択してきたということは事実であり、当初この第二次改造内閣ができた時の構想とは全く異なる感じになってしまうというということになるのです。

それにしても、少しは多いなという気がします。

それでも、一つには2023年度予算ということが必要になりますし、またその審議最中に突然内閣を全面的に改造をするということはできないとされています。

また、今年の場合は5月に先進国首脳会議、いわゆるG7サミットがありましたので、その内容もなるべく継続的に行うということが必要であったと思います。

そのように考えれば、タイミングとしては、予算を決める通常国会と、サミットの終了後しか内閣改造ができないということになります。

それならばもっと早くすればよいというような話も出てきますが、せっかくですから「夏休み」に、選挙区に「大臣」という肩書で戻らせてあげたいということもありますので、そのように考えれば、夏休みが終わり、秋の臨時国会の前に、来年の通常国会に向けた政策作りのところから大臣を行うというのは筋ではないかと思います。

もちろん夏休みの肩書の話は「人情」でしかないですが、逆に変えなければならないというものでもなく、同じメンバーで内閣が続く限り再任してもよいわけですから、その意味では、そこで1か月くらい大臣にしたままでも、少なくとも法的には問題はないということになります。

もちろん問題がある場合は、すぐに更迭するのでしょう。

もう一つ、「総選挙」を声高に言うマスコミがあります。

はっきり言ってどこを取材しているのでしょうか。

解散総選挙などは、首相の権限で行うものであり、マスコミの評論やリコール運動でできる話ではありませんし、また日本国憲法にはそのような規定はありません。

もしもマスコミが民意で解散総選挙に持ち込みたいなどという論理を言うのであれば、まずは憲法改正を行うべきで、憲法改正に全く言及しないで、首相の専権事項の大権を叫ぶのは、憲政の常道を逸しているとしか言いようがありません。

同時に、支持率がこれほど低下している状況で、「負けるとわかっている選挙」をするはずもありません。

そもそもこれだけスキャンダルをかかえ、このほかにも疑惑として高市大臣や木原官房副長官などの名前が挙がっている状態で、なおかつ支持率が下落しているところでは、首相が解散をするはずがないといえます。

そのように考えれば「マスコミ的に解散してくれれば面白い」というだけで、解散の大義名分もなく、また解散を支持する声も少なく、その後の政治的な展望もない状態で、解散ばかりを言うマスコミは、しっかりと取材し、政治のことや国のことを考えているのか、非常に疑問です。

そのようなマスコミは、政治の現場を取材していないので、今後もあまり信用できないということになるのかもしれません。

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改造内閣の目玉

はっきり言って、改造内閣の目玉は「ない」といえます。

現在の与党の中には、「支持率が危険水域(内閣支持率が30%以下が危険水域といわれている)に近くなった岸田内閣と一緒に沈没したくない」というようなことを言う人も少なくありません。

今後首相を目指したり、あるいは大臣を目指すような議員は、「泥船に乗りたくない」と、かちかちやまの狸のような話を題材に、そのようなことを言います。

要するに閣僚就任を依頼しても断るというような人が少なくないということになるでしょう。

同時に、過去に疑惑のあった人などは、やはり大臣になりたくないということになります。

上記にある、各大臣や政務官の辞任に関して、岸田首相は、本来は閣僚のトップとして、また任命した首相として、それらをかばい、守らなければなりません。

通常は首相がマスコミの矢面に立ち、また、国民にしっかりと説明留守形で、疑惑といわれた閣僚を守るのが普通で、その首相に迷惑をかけることができないとして疑惑の本人が辞表を書くというのが「現場」です。

それでも政権構想や内閣としての氏名などがあり、「他に代えがたい人材」として大臣を依頼しているのですから、何度かは慰留するのが普通でしょう。

しかし、上記の辞任は、ほとんど首相が更迭し、または罷免に近い形で辞任させているのが現状です。

ある意味で「内閣全般がマスコミに攻撃などに弱いので、トカゲのしっぽ切りのように、臭い物に蓋をする科のごとく更迭していった」という感じになります。

そのうえ、秋本議員の贈収賄などの刑事事件に関しては、さすがにかばいきることはできないかもしれませんが、杉田政務官や荒井秘書官の内容などは「本人の意思と、仕事を使い分けていればよいだけの話で、本人が個人的にどのように思っていてもそこは思想の自由」でしかないということになります。

同時に、それは「思想の自由」で「憲法によって認められた人権」であるにもかかわらず、それを更迭するというのは、岸田首相に守る意思がないということになります。

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では、過去に何か疑惑があった(もちろん今は問題がないということになりますが)議員などは、守ってくれない首相の下で働くのは難しいということになるのではないでしょうか。

そのように考えると、次の内閣改造で閣僚に名乗りを上げる人は少ないのではないかと思えるのです。

そのうえで、注目は茂木幹事長・河野デジタル担当大臣・萩生田政調会長・西村経済産業大臣というところと「女性閣僚」ということになるでしょう。

ちなみに、女性閣僚に関してはわかりませんが、残り4人に関しては、議員や官僚の間で「態度がでかい」「偉そう」というように、あまり良い評判がない人ばかりであるということになります。

そのような人しか残っていないというのが、一つの問題になりますし、また、そのような人々が今の岸田内閣を支えているということもなかなか興味深いところです。

(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』2023年8月21日号より一部抜粋。続きはご登録の上、お楽しみください。初月無料です)

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