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店仕舞いが早い小江戸・川越。観光客に長く滞在してもらうための秘策は?

東京から近く、テレビ等のロケが多いこともあってか、観光客で賑わう小江戸川越。けれども日帰り客が多いからか、店仕舞いが早いからか、夜には観光スポット周辺から人がいなくなってしまうようです。今回の『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』では、著者で人気コンサルの永江一石さんが、そんな地方の観光地の個人飲食店は、朝の時間に活路を求めることを提案。コロナ禍の影響や高齢化で夜の時間を活用しづらいなかで、賑わいの時間を長くする方法として、事例をあげてアドバイスしています。

川越の個人飲食店の生き残り戦略

Question

埼玉県の川越に住んで30年弱になります。市も広報で頑張っているようで近年観光地としての露出が大幅に増えました。蔵のまちは休日だけでなく平日も割と賑わい、先週末の川越祭りは大変な人出でした。

そこで長年気になっていることがあります。川越は川越駅と本川越駅周囲に飲食店街があって普通に夜まで賑わいます。一方、観光の目玉で食べ歩きのお店が軒を連ねる「蔵のまち」は17:00過ぎると次々と閉店し、18:00過ぎるとパッタリ人通りが消えて閑散とします。

定年した私は回れますが、勤め帰りの地元民が寄る頃には何もないので結局両駅付近での飲食になります。観光地だからとも言えますが、一方で、東京近郊で日帰り客が多く(宿泊しないので)滞在時間が短いため客単価が低いのが課題とも言われています。いやいや、夕方6時に発たないと帰れないような場所から日帰りではこないでしょうと。

店が閉まるから客が帰るのか、客がいなくなるから店を閉めるのか、私には前者としか思えません。店の知人の聞くと縛りはないそうで、新入居のお店や、経営者が若返ったところは、夜まで開けてみるなどトライしている感じがあります。それでもコロナ禍下の落ち込みや事業継承できずに廃業した所も目につき、長時間営業に強いチェーン店が増えて古き良き個人店さんが減っていくのは悲しい。

もし一斉に1時間ずつ閉店遅らせたら街の活性もずいぶん変わるのではないかと(お店当事者ではないので無責任ですが)思ったりします。古民家をリノベーションで店舗にするなど個々の工夫で頑張っている人達もいます。今は客足が戻っていますが禍はいつあるかもしれず、現状維持マインドは危険ではないかと心配です。

お店が先か、お客が先か、どっちなのか。時間を拡大すべきか今のままがベストなのか。質的に変化する方向や、変えない良さもあるかも…この先長年お世話になる地域に対してどういう方向に応援していったら良いのか、もし永江さんだったらどうお考えになりますか?市の人口は微増ですが数年で減少に転じる予測になっています。

永江さんからの回答

夜の営業時間を延ばすよりも、朝に営業するお店を増やして「朝の街・川越」なんて動きを作っていく方が今のニーズに沿っていて流行るんじゃないかと思います。

地方に限らず都内も飲食店の閉店時間は早くなっていて、22時などに閉める店が増えました。飲み会が激減し二次会という言葉も死語になりつつあって夜の客足が少ないのと、この3年間で世間の生活習慣が変わったことが大きいでしょう。

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また、地方ではコロナ関係なく商店街の店主たちに稼ぐ気がないというのも影響していると思います。会社帰りのサラリーマンを狙うなら20時まで営業しなきゃいけないのに、17時になったらシャッターを下ろすのは、ぶっちゃけやる気がない証拠ですよね。

川越など東京近郊であれば17時以降の飲食など観光客ニーズは十分あるとは思いますが、店からすると(仮にやる気のある店主がいたとしても)夜の営業時間を延ばすのはそう簡単ではありません。シフト勤務制にして働ける人を増やしたり、夜用の食材の仕込みもしてロスが生じるリスクを負わなければならないからです。

それよりも、今からやるなら朝の方が営業拡大のチャンスはあると思います。例えば、わたしが週末にサーフィンに行く千葉の海岸には朝10時半からやっているドカ盛り系の食堂がありますが、朝から行列ができて、サーファーはもちろん地元のお爺ちゃん・お婆ちゃんも生姜焼きやとんかつを食べています。

朝からサーフィンをしてお腹が減った人も、家で朝食を作るのが面倒な高齢者も地元の人もいる一方で、朝から開いているご飯が食べられる個人店がほとんどないから(チェーン店のファミレスなんて2~3回行けば飽きるので)。同じくサーフィンでよく行く伊豆の下田でも朝からやっている干物定食がおいしいスナックw がいつも盛況ですし、コメダ珈琲も朝から満席ですので、各地域で共通したニーズだと思います。

同様に、川越でも朝の営業時間を早めるのであれば、地元の人も朝ご飯を食べる場所ができて賑わうし、観光客も早く来て朝食を食べられ、滞在時間も長くなって楽しめるのではないでしょうか。

お店側もモーニングを始めれば良いだけなのでフードロスや人員を夜ほどは気にしなくて済みますし、自治体に働きかけて朝食で使えるクーポンなどを配布したらなお浸透するでしょう。ブログにも詳しく書きましたが、鴨川の道の駅のレストランでは住民限定でランチ500円引きです。
素人田舎経営の道の駅は無印良品運営のみんなみの里を少しは見習うべき │ 永江一石のITマーケティング日記

高齢化に伴って朝に活動する人も増えてきますし、コロナで遅くまで飲む習慣はなくなったので、朝を早くする方がニーズを捉えられると思います。この話はVoicyでも触れましたので、よろしければお聴きください。
田舎の飲食店の今後のアイデア │ 永江一石の何事も仮説立てる主義! │ Voicy

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image by:Phurinee Chinakathum/Shutterstock.com

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商品開発や集客プロモーションを手がける会社を設立し多くの企業のマーケテイングを行う。メルマガでは読者から寄せられたマーケティングのお悩みに対し具体的な解決策を提示。ネットショップや広報担当を中心に多くの購読者から支持されている。

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