日本でも働き方改革などによって、残業時間を減らす、休暇をとりやすくする、といった動きになっていますが、そもそもの仕事量は変わらず、結果は苦しいだけ…という声も多く聞こえます。どうも空振りしているような日本の政策ですが、他の国はどうなのでしょうか。今回、無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者土井英司さんは、午後4時には帰宅するのに国際競争力はナンバーワンの国デンマークの人々の働き方について語った一冊を紹介しています。
【これで生産性が上がる?】⇒『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』
針貝有佳・著 PHP研究所
こんにちは、土井英司です。
本日ご紹介する一冊は、2022年、2023年と2年連続で国際競争力ナンバーワンに選ばれた、デンマークの働き方の秘密に迫った一冊。(IMDが行った調査による。日本は34位)
著者は、デンマーク在住のデンマーク文化研究家、針貝有佳(はりかい・ゆか)さんです。
日本の人口減少と高齢化、さらには他国の国際競争力アップを背景に、日本でも生産性アップが叫ばれて久しいですが、どうも空振りに終わっている感があります。
本書のまえがきによると、デンマークでは、管理職は午前8時から9時に仕事を開始し、午後3時、4時にはデスク周りを片づけ始める。
午後4時には清掃員がオフィスを掃除し始め、午後5時には、オフィスは空っぽになるのだそうです。
さらに、デンマークの一般家庭では、午後4時頃に子どものお迎えをして、午後5時から6時頃には家族みんなで夕食を囲むのが基本だという。
一体なぜこんなことができるのか?
その謎を解き明かしたのが、本書『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』です。
デンマーク人の人生の優先順位、デジタル化の進行度合い、変化への対応力、会議やランチを圧縮する工夫…。
組織のマネジメントに携わる人にとっては、意思決定プロセスの簡素さが参考になると思います。
売れているとは聞いていましたが、確かにこれは勉強になる一冊ですね。
働き方改革に携わる政治家・行政の担当者にぜひ読んでいただきたい一冊です。(大体、霞ヶ関が非効率ですからね)
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
「デンマークの高い国際競争力の主な理由は、状況変化に対する企業の迅速な対応力、モチベーションが高い社員、高度なDX化である」(アラン・ソーレンセン デンマーク産業連盟)
デンマーク人は「楽しんで」時代の変化を先回りしている
日本では顧客への配慮から、新しいシステムを導入する際にも古いシステムを併存させる傾向がある。それに対して、デンマークは古いシステムをバッサリ捨てて、新しいシステムに「乗り換える」
デンマークでは、行政からの手紙もオンラインのみで届く。目を通さなければならない書類が自宅の郵便ポストに届くことは基本的にない
24時間開いているコンビニもスーパーもほとんどなく、そもそも店の数が少なくて不便
「ライフ」のために「ワーク」をするわけだから、「ワーク」のために「ライフ」が犠牲になっては本末転倒なのだ
男性は仕事を言い訳に家事育児を放棄できないし、女性は家事育児を言い訳に仕事を放棄できない
働き方は、人生の優先順位で変わる
会議はアジェンダと終了時刻を設定する
「会議は中途半端な時間に設定するのがいいの。30分の会議は、25分に設定する。1時間の会議は50分に設定する。そうすると、自然に、時間に意識が向くようになるから」(ペニーレ氏 テイク・バック・タイム経営者)
デンマークの組織は基本、少人数かつプラグマティックで、意思決定のスピードが速い
デンマークでは、部下や同僚の仕事の「ダブルチェック」はしない
ランチは30分
午後4時までに終わらなかった仕事は夜片付ける
目的や意味がなければ、部下から質問攻めにあう
関心と適性を見極めてチームを編成する
「午後4時までに終わらなかった仕事は夜片付ける」には、ちょっとガクッと来ましたが、デッドラインを決めることは重要ですよね。
人生の優先順位づけがはっきりしていることや、組織内での意思決定プロセスが簡素化されている点も、見習うべきだと思いました。
仕事ができる人は当たり前にやっていることもありますが、仕事術・時間術の本として勉強になる一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
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