これまでもたびたび学校サイドや教育委員会の「いじめ隠蔽」の実態を取り上げてきた、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。いじめ被害家族は、卑怯な手口を駆使する集団といかなる戦いを繰り広げてきたのでしょうか。今回のメルマガ『伝説の探偵』では、阿部さんが主宰したいじめ被害保護者によるWEB座談会の様子を紹介。そこで語られたのは、生々しい「激戦の記録」でした。
神戸市18年いじめ隠蔽事件、海南市いじめ隠蔽事件、湖西市いじめ隠蔽事件の被害保護者3名WEB座談会についてのご報告
いじめ問題に関する学校や教育委員会の隠ぺい手口について、隠ぺいを経験している3組の被害保護者に12月20日、WEB座談会でそれぞれの話しをしてもらった。
<パネリスト>
Aさん:神戸市18年間いじめ隠ぺい事件被害の保護者さん
B夫妻:和歌山県海南市いじめ隠ぺい事件の保護者さん
Cさん:湖西市いじめ隠ぺい事件の保護者さん
まず聞きたいのは、「虚構話とニセ証拠で被害保護者を“モンペ”に仕立てる悪質さ。調査で浮上した『全国的いじめ隠蔽マニュアル』が存在する可能性」で示した5つのいじめ隠ぺいに代表的な隠ぺい手法についてだ。
■5つの代表的な隠ぺい手法
- 重要な証拠は「不存在」と言って隠す
- 自分たちの都合の良い虚構のストーリーを作りあたかも事実のように偽の証拠を作成する
- 被害者の保護者をモンスターペアレンツだとして孤立させる
- 情報公開請求をしても都合の悪いところをマスキングする
- 謝罪のフリをして、被害側に謝罪しない。終わったことにする
もともと、この隠蔽マニュアルがあるのではないかと代表的な隠ぺい手法を提唱したのは、18年間も隠ぺいが行われている神戸市の被害者Aさんである。
Aさん 「いじめを認めたのは、学校、加害者(一部は認めず)、裁判所、第三者委員会です。認めなかった加害者3人も裁判判決を受けているわけで、いじめがあったことは確実なのですが、なぜか神戸市教育委員会だけが認めないという奇怪な事件です。第三者委員会がいじめから15年後に設置されると、それまでないとされた資料がダインボール箱4箱分も出てきました」
詳しくは以下を参照。
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学校の対応について聞いてみると、男尊女卑と言えよう。父が出向けば、校長は紳士的に対応し、母が出向けばボロクソの対応だったという。
Bさんも実質6年間、重大事態いじめにあたる問題を放置されるという被害を被っている。ただし、複数人が個をいじめる日本型のいじめではなく、1名の加害者が多数を被害者にするという欧米型のいじめ被害であり、多数の被害者がいることなどから、学校はBさん一家を孤立させようと様々な画策をしたようだが、周辺住民やPTAは踊らされるということはなかったようだ。
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私も海南市のいじめ放置事件に介入しているので、その様子をみているが、海南市教委の極めて幼稚な嘘を自信満々に答える様子とそれを真に受ける市の関係者の様子は、笑えないジョークなのかと思えるほどだ。
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Cさん 「ウチも同じような被害を受けています。被害当事者から聞き取りができないと言って、いじめはなかったという非合理な対応も受けましたが、実際は担任との交換ノートでいじめの事を伝えているし、直接の面談もしています。それに、マスコミに私の連絡先を伝えず、嘘の情報を流し報道させるなどもしました。それをTVで私は観て、全然違いますと報道機関に連絡を取ることになりました」
阿部 「それから直接報道機関とやり取りを始めたわけですね」
Cさん 「そうです。途中からは録音もあったし、当初から記録はつけていましたが、1つ1つ箇条書きして、これには録音がありますなどマークを付けて、記者さんに手渡しました。すると、これの録音を聞かせてくださいなど報道機関から連絡があり、録音も聞いてもらって、市教委などが嘘をついていると記者さんたちは思うようになってくれました」
いずれにしても、保護者を含め、被害側を孤立させようと画策するというのは変わりはないだろう。つまり、5つの代表的な隠ぺい手段は、被害者を黙らせる常とう手段だと言えよう。
Aさんはさらに他の事例を話してくれた。Aさん自身、「全国学校事故・事件を語る会」にいて多くの被害者家族などと情報共有をしたり、助け合うなどをしている。
Aさん 「兵庫県立高校いじめ自死事件(川西市)では、自殺を『不慮の事故』にしようと持ち掛けられた。自殺者が家族にいると、兄弟姉妹の将来に影響が出ると言われることもよくある。これは暴力ですが、愛知県立高の野球部監督パワハラ自殺事件では、教師の体罰を口外しなければ、兄を県立大学に合格させてやるともちかけられたりしています」
阿部 「……」
Aさん 「私のところの話になりますが、いじめを口外すると、中学や高校に行ってもまたいじめに遭いますよと。さらに今度は妹さんがいじめに遭いますよ、とまで言って脅してきたというのもあります。女性を差別しているんでしょうね。校長は私には比較的紳士的な対応を取っていましたが、妻が行くとボロクソ言ってくる」
阿部 「わかりたくないという気持ちはありますが、私もいじめの対応をしていて、女性、お母さんへのあたりがやたら強い教師の対応はかなり目にします。セクハラまがいもあったし、録音聞いていて、これって脅迫だよねというのもよくあります」
Aさん 「うちの場合は、PTAを校長が利用して孤立させるということもありました。当時はまだSNSもなかった時代ですが、アリもしないことが一瞬で広まったのです」
校長はいじめ問題があるから黙っていても不安にさせるだろうと、PTA会長を呼び出し、実は被害側が言うようないじめではない、あれは自作自演だという内容を話して聞かせるわけだ。そして「ここだけの話にしてください」「誰にも言わないでください」とこのキーワードで釘を刺す。こんなことを言われれば誰でも人に話したくなるのが人の常である。
今度はPTA会長がPTA役員全員に、「ここだけの話にしてください」「誰にも言わないでください」と言って校長から聞いた話をするわけだ。普通のPTA役員には守秘義務意識などはない。あとは、予想通り、学校内の保護者や関係者には、尾ひれがついた形で噂が広がるわけだ。
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保護者はモンスターペアレンツ扱いとなり、保護者からは腫物とみなされ孤立させられるわけだ。
Aさん 「ママ友と連絡が取れなくなりました。それからしばらくして、新聞報道されると、ごめんなさいと謝りに来てくれた方もいました」
普通、保護者は学校や校長が嘘をつくとは思っていない。もちろん、つかない人もいようが、前提として、嘘をつくということは前例から考えて「ある」としていた方がいいだろう。
実際、私も各いじめ対応の事例をみれば、現地に入ってから同様の噂を耳にしたり、PTAの役員から忠告を受けたこともある。ほとんどは整合性のない話だから、嘘だなとわかるが、中には一定の証拠が整えられていて巧妙なものもあるし、被害側がひとり親家庭であったりすると、こどもが1人の時間が多いと誇張して虐待だ騒いでいるケースもある。
手段問わず孤立させようとする
Aさん 「神戸市18年間いじめ隠ぺい事件では、大金を脅し取られていたわけですが、金持ちのボンボンが使い込んだ言い訳をいじめに無理やりしているだけとか言われました。全くの事実無根ですが、そういう話が無関係の市議会議員から出てくるのです」
阿部 「確かにそういうケースは私も多く体験しています」
Aさん 「嘘も巧妙です。お父さんが体格が良ければ、虐待。多額の恐喝だと、何で気が付かないんだとお金にルーズな家庭だろうから、モンスターペアレンツだろうとか。単身赴任していれば、離婚したとか父親が愛人作って出ていったとか、だから、家庭に問題があるというように、とにかく家庭の問題にすり替えようとします」
Bさん 「確かにそういうのはありますね。付き添いするのが母親だと、父親は何をしているのだと言われてしまう」
阿部 「普通、仕事だろって思いますよね。でも確かに、何があっても仕事は休んで学校に保護者が来て話をするもんだと思っている世間知らずの先生は多いというか、そういう文化がありますね」
Cさん 「湖西市では、私の前では、いじめですと認め、加害者が常習で、他の子もやられていたという話をしていたのに、開示されていた文書をみると、真っ黒のマスキングだらけで、他の保護者には、あの被害保護者がおかしいんだって話してました」
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こうしたいわゆる隠蔽や被害家庭を狙って攻撃を仕掛けて孤立させていくケースは枚挙に暇がない。今後も各被害者に話を聞いていくが、ほぼ全員が同様の経験をしていると話してくれるだろう。
一方、Aさんからいじめ防止対策推進法が出来るきっかけとなった、凄惨ないじめ事件である大津いじめ自殺事件について、その後に行われた影響力工作ともいおうか、隠蔽と思われる話しが出た。
Aさん 「大津のいじめ事件では、大津市の教員が全国各地のシンポジウムに出向き、会場からの発言などとして、風評を広めるということがありました。実際、2012年8月に行われたシンポジウムの会場に私はいましたが、報道が過熱しているだけで、事実は被害者家庭に問題があるとパネリストが話すなどしていました」
阿部 「パネリストが…ですか」
Aさん 「詳しい資料が残っていれば送りますが、事実です」
阿部 「わかります。資料よろしくお願いします」
実際に当時、Aさんがそのシンポジウムの様子を伝える記録をみると、シンポジウムの演壇に並ぶ専門家というパネリストや会場の左右に配置された関係者が、「報道はやり過ぎ」「報道は嘘を書いている」「被害家庭に問題がある」と出来レースのように繰り返していたようだった。
その凄惨さから、連日全国報道がされ、注目が集まったいじめ事件である。隠蔽工作の規模も相当であったのだろう。
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近年では旭川市の凍死事件(いじめ)が注目されたが、情報が錯綜していたのを思い出す。私は既に別件で目一杯の状態であったし、他の専門家の方々も多く介入していたようだったから、出番はないだろうと思ったが、事情通という専門団体の方から、当時の校長らの名刺を見せられ、被害家庭に問題があるから頼まれても介入するなと忠告された。
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阿部 「マスコミの前では謝罪のフリをする。これはよくあります。記者会見で頭を下げるが、隠蔽をされたり孤立させる工作をされた被害家庭には謝罪のしゃの字もない。一体、誰に謝っているの?と思います」
Aさん 「教育委員会は、マスコミに平気で嘘をつきますね、記者会見では言ったもん勝ちというところかな、議会で質問されても嘘をつく、そして、嘘で議事録が作られる」
確かに記者会見では平気で嘘をつくということは多く見受けられる。TVだとその全てを放映することはないし、報道は真実というよりは、その記者会見で教育委員会の担当者が何と答えたかを報じる役目を担う。議会の議事録も同様で、内容が嘘であっても、そう答えたのだから、それ自体が議事録に記載されることになるわけだ。
ただ、後日問題検証をしようとしても、こうした報道資料や議事録だけ見ていくと、なんとなく教育委員会などは通常運転していたように思えてしまうのだ。
しかし、事実は異なる。多くの被害側が、既存の事実となっていることすらも捻じ曲げられていると言うのだ。
マスコミに嘘ばかり言うというので印象に残っているのは、海南市のBさんのケースだ。
Bさん 「もう長いこと教育委員会とは、やり取りしていますから、どう嘘をつくかはほぼ一言一句間違わず予想ができます。阿部さんもご存じかと思いますが」
阿部 「記者の方もあまりにわかりやすい嘘を市教委という立場でするので、驚いていたというのが印象的でした」
実際、記者の方々は問答集を試しているようだ。そして、予想通りに嘘の答えを担当者がしていた。そしていくつもそれが行われ、最後にその門答集を見せて、こういうのがありますと詰め寄ったそうだ。
公務員である市教委の担当者が、嘘をつく事自体問題だが、それ自体を予測され、問答集を作られてしまうというのは、もはや救いようもあるまい。
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情報開示についてのいやがらせ
Bさん 「私が一番苦労したのは、情報開示請求です。書類を特定しないと開示しないという対応でした」
Cさん 「うちは露骨に嫌な顔をされ、大声で、こんな書類ないよね~とやられました。小さな市なので、こうしたケースでの情報開示は初みたいでした」
Aさん 「私は、いつからいつまでの、○○に関する資料一式とか、学校が作成した、教委が作成したと書いて出しています。コツは特定しないことです」
Bさん 「それだとだめで、海南市では書類を特定してくださいと突っ返されました」
阿部 「しかし、地方行政では書類の表題が統一化されていないので、内容は同じでも地域によって、題名は異なるということはよくあります。形式も違うことがあるし、特定させるなら目録出せってなりますよね」
Aさん 「公開情報についての法律だと、確かその内容を示せばよいはずで、その海南市の窓口対応は法律違反になると思います」
阿部 「難癖付けて出さないということですね。まあ、海南市はいじめ防止対策推進法ではいじめだが、ここは海南市なんで…と言っていじめを認容しなかったという記録もありますから、ちょっと感覚が違うのかもしれませんが…」
Bさん 「具体的に書くとないと言ってくる、窓口の段階で大きなハードルがありました」
Cさん 「情報開示請求をするために役場に行かなければならない上、ものすごく待たされるというのもかなりの負担になります。湖西市でも書類の名前がわからないと出せないというのがありました。元学校関係者の方が協力してくれて、色々試行錯誤して請求しました」
Aさんが言うには、神戸市の場合はネットからもできるとのことであったが、個人情報については、窓口に行かねばならないとのことであった。理由があれば郵送でもできるということだが。
Aさんは実際はあるはずの書面を「不存在」とマーキングされ、書類がなかったことにされていた、それがおおよそ15年間ほど、粘り強さが神レベルでないと普通はその間、堪えられないであろう。
Aさんと私のやり方は共通しているところがあるので、公立の学校に通い、いじめに遭って、学校などが作成した資料を情報開示請求をする場合
「『期間』『どこが』『なにを』の資料一式、もしくは資料の全て」
と請求すると良い。
そして、書類名を特定しろというのは、法律違反であろう。行政機関の保有する情報の公開に関する法律の第4条には「特定するに足る事項」とある。
(開示請求の手続)
第四条 前条の規定による開示の請求(以下「開示請求」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面(以下「開示請求書」という。)を行政機関の長に提出してしなければならない。
一 開示請求をする者の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名
二 行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項
例えば
「令和2年1月から令和4年12月1日までに、〇×市教育委員会が〇▲のいじめについて作成した資料の全て」
と求めると良い。
Aさん 「私の場合、その下に例えばと書き、より詳しい事項を書き込みます」
こうしてより具体化しつつ、学校が教育委員会に報告した内容やそのやり取りなどを開示していく。
開示された公文書は、そのもの自体が証拠価値があり、仮にそれが誤っていたら、訂正を求める他、隠蔽しようとする場合にどのようなストーリーを考えているかなど対策上の情報価値は高いのだ。
Bさん 「私が思うことですが、情報開示にしてもはじめてのことだし右も左もわからないでやっていきますから、サンプルとかリストのようなものがあれば、役立つと思います」
阿部 「例えば、第三者委員会の委員について調べて欲しいというような要望も多くあります。原則としては、経歴書や推薦状などを確認することになりますが、委員が利害関係者であったりその関係者と懇意であったという事例は多くあります。そういう意味で、委員のリストなどもあると良いかなと思って評価などを集めています」
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WEB座談会終盤
とても活発な意見や情報共有が行われたWEB座談会であった。今回は第1回ということで、私が不慣れな司会進行をしていたこともあり、気が付けば2時間半以上も休みなく進めてしまっていた。
共通したことは、5つの代表的ないじめ隠ぺい手法は共通マニュアルがあると言っても過言ではないほど、被害側は手を変え品を変え経験しているということだ。
確かに3つの事件だが、少なからず全くの別地域で起きている隠ぺい事件であっても、同様の手口が確認できたわけだ。
そして、被害側という一家族は、学校や教育委員会など組織から敵視され、孤立化させられていく。
また、なぜか学校などの彼らには、学校か家庭かの2つの選択肢しかなく、悪者探しに自分が当たらないように、家庭のせいだとこじつけようとするのだ。
教育とは人を育てるものだろうが、この愚かな二元論は人の多様性を知らぬものが考えたとしか思えないだろう。極めて愚かで幼稚で人を知らぬと言えよう。
参加した3組は、とても有意義な時間で、同じ立場ということもあって深い話が出来てよかったと言ってくれたが、私からすると、想像を絶するほどのストレスと苦悩の中、それでも我が子の成長を喜びにしている皆様は尊敬に値すると思うのだ。
教育関係者の皆様にはぜひとも事実を知ってもらい、もしも自分が被害側の立場であったらどう感じるかということに想像を働かせてもらいたい。
そして、年間60万件を超えるいじめ認知数があり、これが氷山の一角に過ぎないと言われている現在、こどもたちもその親もいつ被害者に加害者になるかわからない中、事実隠ぺいが暴かれている事例や共通する隠蔽工作が行われていることを知ってもらい、これら解消事例の記録やその経験者がいることを知ってもらいたいところだ。
編集後記
まずは、今回WEB座談会に参加していただいた3組の被害保護者に御礼申し上げたいです。
貴重なお時間と経験、話しづらい事も話して頂き、本当にありがとうございます。
今回、長文になってしまいましたが、書ききれなかったことも多く、それについては次回以降ぜひとも触れさせていただきたいと思います。
さて、一個人、一家庭として被害側になると、金銭面の負担や精神的な負担など常に大きな負担を負うことになりますが、これに対する社会的な保障は今のところありません。
フリースクールに通うなど代案はありますが、フリースクールは料金がフリーなわけではありません。一般的にはそれなりの費用が掛かりますし、通学面での負担があるということも想定できます。それでも、フリースクールの存在はいじめ被害者とその家族の救いです。
今回も取り上げた現在特集中のいじめ隠ぺいの共通項に被害側経験者がその隠蔽工作の存在を認めているように、事実を隠そうとする事件がほとんど毎日のように起きているのが、現実です(今後、さらに取材をして証明していきますが)。
隠蔽をした者、加担した者は、「恥を知れ」と思います。
そして、責任感がひとかけらでもあるのなら、責任ある職ならば、ぜひとも職を辞し、誰にも迷惑をかけないように生きてもらえればと思います。
さて、いじめ問題については、加害者についての教育や更生プランはないに等しい状況と言えます。諸外国では罰せられることが多く、退学処分以外でも進学に不利になることもありますが、ほぼ放置という状態を日本が取っていることは、事実上、国すらも有効ないじめ対策をしていないと評価されても、ぐうの音も出ないでしょう。
そしてどちらかと言えば、日本ではいじめ自死が起きた場合や重大事態いじめが起きた場合、自治体や非被害者側(無関係な人たち)が必死に、「学校のせいか」「家庭のせいか」で考えています。
そういうアホな二択をするから、容易に対立が起きるわけです。そもそも、この二択のみで考えてはいけないのです。
多様性という言葉をご存じではないかもしれません。
そしてなにより、こどもの命の問題が起きているわけで、いつの間にか、最も主体であろうところが抜け落ちてしまうこともあります。
残念に思います。
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