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統一教会の「敗訴ラッシュ」が続くのか?元信者が読む“逆ギレ裁判”の行方

これまで弊サイトでもたびたび取り上げてきた、旧統一教会による「逆ギレ」とも言うべき2つの訴訟。今年3月にその判決が下りますが、いかなる結果を見ることになるのでしょうか。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では、かつて旧統一教会の信者だったジャーナリストの多田さんが、「教団の敗訴ラッシュになる」と予想。さらに旧統一教会と関係が深い世界日報が、裏金問題に揺れる安倍派にエールを送った事情を解説しています。

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24年は、旧統一教会のスラップ訴訟への敗訴ラッシュが続くことになるのか

2023年は、10月13日に文化庁より旧統一教会への解散命令請求が行われて、一昨年の銃撃事件に続く激動の1年となりました。24年は司法の場での解散命令が争われることになり、目が離せない状況です。

一方で、12月の臨時国会では与党の提出した旧統一教会の被害者救済法は成立しましたが、野党の包括的財産保全法案は不成立となり、本当の意味での救済の道はいまだ、ひかられていない状況です。

詐欺も多く起こりました。なかでも、「頂き女子りりちゃん事件」は、悪質ホストクラブによる売掛金(ツケ払い)の実態を世に示すことになりました。今、国も地方公共団体も動きだしています。

昨年3月に国から「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」が出されたことをうけて、警察もAIを駆使して闇バイト募集の早期発見、書き込みの削除依頼を運営サイトに行っています。

しかしながら、闇バイトの募集する犯罪組織の側も同じような募集内容を次々に書き込み続けるなど、24年も詐欺グループとのいたちごっこが続くと考えられます。

1.2023年の犯罪・詐欺・悪質商法における手口は「正体を隠す」

今年の犯罪・詐欺・悪質商法における手口をあげるとすれば「正体を隠す」です。

犯罪の世界では、1月に「ルフィ」を名乗る犯罪グループによる強盗事件が世の中を震撼させました。

もともとは特殊詐欺を行っていたグループで、ここで行われたものこそ、「正体を隠す、偽る」です。

指示役は「ルフィ」などを名乗り、秘匿性の高い通信アプリを通じて、自らの存在がわからないようにして、強盗の実行役に指示を出していました。その後、指示を出していたのが、海外のフィリピンの収容施設内であることがわかりました。そして今村被告を始めとした指示役と思しき4人が国内に移送されて、逮捕、起訴されています。

組織的詐欺でも、いかに自らの正体を隠してお金を奪うかを考えています。「正体を隠す」は他のキャッシュカードを詐取したり、還付金詐欺などの特殊詐欺グループにもみられることです。

なんといっても、10月に、文化庁から旧統一教会に対し行われた解散命令請求では、長年行われ続けてきた「未証し勧誘」の問題をあげています。

旧統一教会名を隠した正体隠しの勧誘が、文化庁のヒアリングによって、全国で組織的に行われていたことが明らかになりました。すでに数々の民事裁判で正体を隠しの勧誘の違法性が示されてきましたが、ようやく国のよって認められたのが2023年になります。

いずれしても、23年の始めから終わりまで「正体を隠す」の手口がクローズアップされていたように思います。

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2.24年3月は、旧統一教会の敗訴ラッシュが続くことになるのか

22年に、統一教会(世界平和統一家庭連合)は、教団への批判的な報道をするテレビ局や弁護士、ジャーナリストらを名誉棄損で訴えました。

「ミヤネ屋」(7月20日放送)の内容に対して、読売テレビと紀藤正樹弁護士を、「スッキリ」(8月19日放送)の内容について、日本テレビと有田芳生氏を訴えた裁判も起こしましていますが、公開で行われた2つの裁判の判決が、24年3月に言い渡される予定です。

これまで紀藤弁護士と、有田芳生さんの裁判を時間のある限り傍聴してきましたが、その状況から、ほぼ旧統一教会の主張は受け入れられていない状況での結審との印象をもっていますので、教団の敗訴ラッシュが続くのではないかと思います。それにより、いかに不当なスラップ訴訟であったかが、明らかになるかと思います。

有田芳生さんは、裁判の最終陳述で「典型的なスラップ訴訟の効果と言わざるをえません」と述べており、一部、「有田芳生さんと共に旧統一教会のスラップ訴訟を闘う会」HPより抜粋します。

番組のテーマは、教団との癒着を断ちきれない萩生田光一自民党政調会長への批判でした。スタジオ出演した私は、教団との癒着を断つべき理由として、「霊感商法をやってきた反社会的集団だっていうのは警察庁ももう認めているわけですから」と発言しました。かなり長い多くの発言のなかの、たった40文字、たった7秒。しかも番組本来の主題である萩生田議員批判とは離れた発言でした。教団はここを狙い撃ちしてきました。

 

この私の発言が、視聴者の認識にどれほど届き、統一教会のいかなる名誉を毀損したというのでしょうか。

 

教団の教義に基づいて信者たちが行ってきた霊感商法や高額献金勧誘の悪質性・組織性・継続性は、教団を「反社会的集団」というに相応しいものではありませんか。そのことは、本件に提出された厖大なこれまでの判決が明らかにしています。

としていますが、その通りだと思います。今後の裁判所からの判決が待たれます。

有田芳生さんと共に旧統一教会のスラップ訴訟を闘う会

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3.安倍派に激励を送る教団の関連団体の行動をみながら思うこと

今、安倍派、二階派の派閥パーティーにおける、議員らへのキックバック問題で、世の中は持ち切りですが、「裏金問題で批判を浴びる自民党安倍派に旧統一教会と関係深い世界日報が『負けるな』と声明 SNSざわつく『こりゃ凄い助っ人』」(中日スポーツ)の記事が目に飛び込んできました。

裏金問題で批判を浴びる自民党安倍派に旧統一教会と関係深い世界日報が「負けるな」と声明 SNSざわつく「こりゃ凄い助っ人」

世界日報は、旧統一教会系の新聞社として知られています。

信者時代にもホームと呼ばれる信者が寝泊まりする施設には、この新聞がたくさん届けられており、末端の信者はテレビを自由にみることも許されないなか、唯一の社会情勢の情報源は世界日報でした。

その世界日報が18日に「安倍派報道の屈辱に負けるな」と題した声明を発表したというのです。

これに対してSNS上では「こりゃ凄い助っ人が現れましたね」「うわぁ。。。。すごい応援団だ」「逆効果だよ?」との言葉があると報じていますが、私自身も自民党、安倍派に吹く逆風を団扇でさらにあおぐような行為になるのではと感じています。

しかし一方で、この対応は信者組織らしいものだとも感じています。

1974年2月1日当時のニクソン大統領と文鮮明教祖は会談をしていますが、その前にニューヨーク・タイムズ及びワシントン・ポストに全面広告で「許せ 愛せ 団結せよ」を出して、当時、ウォーターゲート事件で危機にさらされているニクソン大統領に対して、エールを送っています。

それがきっかけとなり、会談につながったと聞いています。その流れが、いまもトランプ大統領に続く、共和党とのつながりになっていると考えられています。

今回の声明には、こうした事象に習って、今後も自民党安倍派とのパイプをつながり続けたい教団の思いもみてとれます。

しかしながら、当時とは違い、安倍派の幹部がその後、旧統一教会系メディアの言葉に感謝をして、韓鶴子総裁とのつながりを持ち続けたいと思う人はいないのではと思いますが、さて、どうでしょうか。

今後も、安倍派に送り続ける、教団のエールには、要注目です――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2023年12月28日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上、12月分のバックナンバーをお求め下さいお楽しみください。初月無料です)

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image by: Unification Church Hungary, CC0 1.0, via Wikimedia Commons

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悪徳業者などへの潜入取材した数は100ヶ所以上。数々の現場経験と被害者への聞き取り取材から、詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリストとして一線で活動し、多数のテレビ・ラジオに出演している。現在はヤフーニュースのオーサ・公式コメンテーターとして、コメントやニュース記事を執筆中。消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」(2017年~18年)の委員も務めた。雑誌「ダカーポ」にて、悪徳商法に誘われたらついていく連載を担当。それをまとめた著書「キャッチセールス潜入ルポ~ついていったらこうなった」(彩図社)はフジテレビで番組化され、ゴールデン枠の特番で第8弾まで放送された。新刊11月予定「信じてみたら、ダマされる。~元統一教会信者だから書けたマインドコントロールの手口」(清談社清談社Publico)

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