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日本にも迫るエネルギー危機。燃え上がる中東と忘却のウクライナ

イランが16日、イラクにあるイスラエル情報機関への攻撃を発表するなど、戦火が拡大するばかりの中東。状況がエスカレートすれば、原油のほとんどを同地域に依存する日本が苦境に立たされることは間違いありません。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、緊迫の中東情勢を詳しくレポート。その裏でアメリカの軍事支援の停止が予想されるウクライナ戦争についても、各地域の最新の戦況を紹介しています。

まったく報じられなくなった「ウクライナ戦争」と、緊迫の「中東情勢」は今どうなっているのか?

ロ軍は、ジワジワとウ軍を圧倒しているが、2024年は、両軍小康状態で戦争は続きそうだ。ロ軍の攻撃も縮小してきている。ウ軍も弾薬が不足気味で、攻撃できない。状況は変化なしの膠着状態。

クピャンスク

ロ軍は、シニキウカに2回の攻撃を行ったが、ウ軍に撃退されている。逆にウ軍がペトロパブリカに反撃した。しかし、ロ軍は兵力を集めているので、この方面で大攻勢をかける可能性がある。

スバトバ・クレミンナ・リシチャンスク・バフムト方面

ロ軍の攻撃、ウ軍の反撃もない。しかし、ロ軍はクレミンアのテルヌイ付近では、6回攻撃したが、撃退されている。もう1つが、バフムトのリシチーイウカに1回攻撃したが、ウ軍に撃退されている。バフムト方面での攻撃も縮小した。

ドネツク市北側方面

ロ軍は、アウディーイウカの南東、ノボバフチウカの北東、ステポベ、ペルボマイスケ、セベルネの南で、航空支援を受けて、地上攻撃を引き続きしているが、ウ軍に撃退されている。しかし、ロ軍が少しづつ前進している。

ここに、ロ軍の全勢力を集めて、攻撃をしているようである。

ドネツク市南側方面

ロ軍は、マリンカの北とノボミハイリウカに対して、航空近接支援を受けた地上攻撃を行っているが、ウ軍に撃退されている。

ヘルソン州

ドニプロ川東岸のウ軍橋頭保に対して、ロ軍は攻撃しているが、ウ軍に撃退されている。しかし、ウ軍も橋頭保は確保しているが、縮小した。ロ軍は150両以上の装甲車を失うが、ウ軍も30両の装甲車を失っている。

その他

ウ軍、ロシアが完成間近のドネツク州フラニトネ村の南にある鉄道橋を破壊した。ロ軍の補給に新たな打撃になった。

逆にロ軍は、キンジャール6発を含む40発のミサイル攻撃などを行い、このうち8発を迎撃したほか、20発以上を電磁波で制御する電子戦で標的からそらせたとウ軍は述べているが、キーウ州や東部のドニプロペトロウシク州、それに中部のキロボフラード州などで爆発音がしたいる。

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またも「核の威嚇」を口にし始めたロシア

ウクライナの状況

トランプ氏は、「われわれは欧州が攻撃されても決して助けに来ないし、支援もしない。ウクライナ支援も止める」とフォンデアライエン欧州委員長に対し述べたという。

このトランプ効果で、ウクライナに対する米国の軍事援助は当面停止され、欧州諸国がその負担を負うことになる。このため、リトアニア、エストニア、ラトビアはウクライナに対する「長期的な支援(複数年14億ユーロ以上)」と「政治的な支持」を表明した。

この一環として、ラトビアのリンケヴィッチ大統領は、「ラトビアは榴弾砲、155mm弾薬、対戦車兵器、ロケット弾、手榴弾、全地形対応車両、ヘリコプター、ドローン、その他の機器などをウクライナに提供する」と述べた。

そして、エストニアは2027年までに総額12億ユーロをウクライナに供与することを公表した。

スナク首相とゼレンスキー大統領はNATOに加盟するまで有効な安全保障協定に署名した。署名後「協定の有効期間は10年で延長される可能性もある」「但し、期限満了前にウクライナがNATOに加盟すれば英国の安全保障上の義務は終了する」と述べた。

この英国の主なコミットメントには、

ドイツも大規模な支援を約束している。欧州だけでウ軍を支援する方向に、ハンガリーを除くEU諸国は合意している。

ウクライナも自国だけで戦えるように、ウクライナの防衛産業は2023年に2022年と比較して軍事装備品と軍需品の生産量を3倍に増やしたが、2024年も増やすことになる。

ロシアの状況

在ウクライナ・ロシア地上兵力は46万2,000人で、その結果、ロ軍は作戦レベルでの部隊ローテーションができた。ロ軍は部隊ローテーションで、戦力回復後の再投入を実施できていることになる。

またもや、ロシアのメドベーシェフ氏は、西側供与兵器でロ領土が攻撃されれば核兵器使用の理由になると威嚇した。

西側の航空機のメンテナンスができないので、ソ連時代のアントノフ航空機An-24とAn-26の耐用年数を延長するよう航空2社が要請した。航空機の不足が出ている。

もう1つが、労働力不足であるが、ケニアから1万人の労働者がロシアに移動するという。少しでも労働不足を解消するようである。

ロ軍兵士がロ軍陣地を

などと述べている。

この陣地を突破するには、1トン爆弾を投下できる爆撃機が、どうしても必要である。F-16戦闘機が必要な理由でもある。退役する米A-10でもよい。ウ軍シルスキー陸軍総司令官は要望している。

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日本の原油輸送ルートに迫りつつある中東の戦火

ガザ南部のハーンユニスで戦闘が継続しているが、イス軍が掃討作戦を継続している。

イス軍は、ヒズボラの拠点に空爆をしている。次にはレバノンへの侵攻となりそうだ。

米英によるフーシ派拠点への空爆を開始した。フーシ派のレーダーサイト、発射台、ミサイル基地、沿岸監視施設など「28拠点」を標的にした。攻撃地点としては、サヌア、アル・フデイダ、ダマル・ザビド、タイズなどである。100発以上の精密誘導弾を使用したとのこと。米軍はフーシ派に対して第2波の空爆を実施か?

しかし、フーシ派はさらなる攻撃を宣言した。

この攻撃に関連して林官房長官12日に、「船舶の自由かつ安全な航行を確保するために責任を果たそうとする米国および関係国の決意を支持する」と述べた。

11日、米英による爆撃を受けた10カ国が支持声明したが、1月3日の13カ国声明から、ベルギー、日本、伊、シンガポールが抜け、韓国が新たに参加。10カ国のうち、米英は攻撃実施、蘭、加、バーレーン、豪が支援した。日本は抜けている。

そして、紅海地域での戦闘拡大受けて、サウジは、全当事者に自制を促している。しかし、ブリンケンのサウジ訪問時に攻撃への同意を得たことで攻撃したが、サウジはイエメンの停戦が崩れることを懸念している。

紛争拡大として、イランは11日、オマーン湾でイラク産石油を積載しトルコに向かっていたタンカーを拿捕したと発表。拿捕されたのは「セント・ニコラス」で、米国が2023年に制裁違反として拿捕した船舶だという。イランと米軍が激突し、かつ日本の原油輸送ルート上である。

この攻撃後、イラクの米大使館が爆撃されたという情報も出ているが真偽は分からない。ガセかもしれない。

どちらにしても、戦闘範囲が拡大して、日本の原油輸送ルートに迫ってきたことが気がかりである。

さあ、どうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2024年1月15日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Anas-Mohammed / Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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