1999年のILO(国際労働機関)総会で「ディーセント・ワーク」という概念が提示されて以降世界では「Decent Work for All=すべての人にディーセント・ワークを」を合言葉に働く人たちの尊厳の向上を目指し、具体的な活動が進められてきました。
ディーセント・ワークとは「権利が保障され、十分な収入を生み出し、適切な社会的保護が与えられる生産的な仕事」を意味します。その仕事とは「労働基準および働く上での権利」「雇用」「社会的保護」「社会対話」の4つの柱で成立します。
社会対話は「政府、使用者、労働者の代表が、経済・社会政策に関わる共通の関心事項に関して行うあらゆる種類の交渉、協議、あるいは単なる情報交換」と定義され、社会対話の形態の1つが「春闘」のような労使の二者構成であり、ストライキは「団体交渉の基本的な権利」です。
実に残念ですが、世界の常識が日本の非常識と化している典型の一つに「ストライキ」もなってしまったのです。
かつては日本でもストライキは、働く人の権利としてごく普通に行われていました。
私がテレビやラジオのお仕事をメインでやっていた1990年代後半も、生放送のスタジオのカメラマンさんやサブ(副調整室)のディレクターさんたちの平均年齢がぐんと高くなる日がありました。
思い起こせばあの頃の日本には「このままでいいわけない。私たちは道具じゃない」と正面きって反論するのが当たり前だった。
それが今はなくなってしまい、すべてが「他人事」なのです。
おかげで2020年には経営の司令塔である経団連が、経営労働政策特別委員会報告に「業界横並びの集団的な賃金交渉は、実態に合わなくなっている」などと明記。働く人は沈黙し、声をあげる人を否定し、バッシングし「長いものにはまかれろ」感満載です。
…おかしいことをおかしい、と声を上げる勇気を「私」は忘れてはいけないのではないでしょうか。
だって、それは自分の頭で考えることだし、自分の人生に責任を持つことでもあります。
日本は「衰退途上国」などと不名誉な呼ばれ方をされますが、「私」たち日本人のマインドも衰退してる。そう思えてなりません。
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