中国のスパイ活動への警戒感から、米国はもちろん各国で進む「TikTok禁止」の動き。対岸から有形無形の脅威にさらされる台湾でも、新型コロナ封じ込めで一躍名をあげたあのオードリー・タンIT大臣が「危険な製品」と答弁しました。このように「TikTokは中国の情報工作ツール」が世界の共通認識となる中、日本は危機意識が低すぎると警鐘を鳴らすのはメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』です。
TikTokは「中国の情報工作ツール」が世界の認識に
2024年3月14日、アメリカの下院議会は、中国企業バイトダンスが運営するTikTokについて、180日以内にアメリカ国内での事業を売却しなければ、アプリの配信などを禁止する法案を超党派で可決しました。
TikTokが「敵対国からの安全保障上の脅威」になるという理由です。中国政府がアメリカの世論を操作したり、フェイクニュースを広める目的でTikTokを利用したり、あるいはアメリカ国内の利用者のデータを悪用し、さまざまな情報分析やスパイ活動にも活用できてしまうという懸念があるからです。
そもそもアメリカは、中国からのサイバー攻撃に最も晒されている国でもあります。それだけに、議会はTikTokについて否定的なのです。
● TikTok 米国内での利用禁止につながる法案可決にCEOが反論
去年12月には、連邦政府の職員が公務で使うデバイスでのTikTokの使用を禁じる「TikTok連邦政府デバイス利用禁止法」が成立しました。
今年に入ると、アメリカだけではなく、各国でTikTokの使用を禁止する動きが加速するようになっています。NHKの報道では、以下の国々で規制が始まっています。
【EU】
EU=ヨーロッパ連合の執行機関、ヨーロッパ委員会で、業務用の端末で利用することを禁止(2月23日発表 3月15日から実施)
【カナダ】
政府の携帯端末でのTiktok使用を禁止(2月27日発表 2月28日から実施)
【イギリス】
政府職員による業務用端末などでの利用を禁止(3月16日発表)
【ニュージーランド】
議会のネットワークに接続された端末での利用を禁止(3月17日発表 3月31日から実施)
台湾のオードリー・タン氏が語った「TikTokの危険性」
そして台湾でも、3月19日、デジタル発展相のオードリー・タンが、19日の立法院(国会)で、台湾もTikTokを「危険を及ぼす製品」と見なし、公的機関やその管轄区域では使用を禁じていると説明しました。
● 唐鳳(※オードリー・タン)デジタル相、TikTokは「危険を及ぼす製品」 台湾での規制巡り答弁
オードリー・タンは、ITにより台湾での新型コロナの封じ込めに成功させたことで日本でも有名で、著書も日本で数冊出版され、ベストセラーにもなっています。
記事によれば、デジタル発展省は去年9月、情報通信安全管理法(資通安全管理法)改正案を公表しましたが、国家に危険を及ぼす情報通信安全製品の公的機関での調達や使用を禁止する条文が新たに盛り込まれたそうです。
オードリー・タンは、域外敵対勢力の製品であれば、間にいくつの会社を挟んでいたとしても新たな情報通信安全管理法では危険を及ぼす製品だと見なされると説明し、学校や公共の場所、重要インフラ施設、非公的機関などでの使用を規制の対象とするのかについては、行政院(内閣)が今後審議していくとしたそうです。
危機意識がない日本の不可解なダブルスタンダード
このように、世界各国でTikTokの使用禁止が広がっていますが、日本はここでも危機感が足りません。
スパイ防止法も、憲法改正も、日本はずっと先送り状態です。その間、中国はひたすら軍拡を続け、香港は自由を失い、北朝鮮は核開発を成功させました。
しばしばメディアや政治家などは、しばしば日本と海外を比較して、いかに日本が遅れているかを言う割に、こうした危機感については、まったく海外に歩調を合わせようとしないのは、極めてご都合主義です。これこそ何らかの「海外勢の干渉」による影響ではないでしょうか。
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image by: Audrey Tang, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2024年3月20日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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