〈眞鍋〉
そのためにブロックコーチ、サーブコーチ、戦術・戦略コーチ、メンタルコーチというように、女子バレー界では初めて専門別の分業制を取り入れました。
それまで女子バレーは、伝統的に強いカリスマ性を持つ指導者が監督を務めてきたのですが、それを思い切って監督、選手、コーチが共に協力して目標に向かっていく風通しのよい組織に転換したんですね。これまでの経験からも、上からの一方通行の組織では世界で勝つことはできないと思ったんです。ミーティングでも、監督に指示されたことをやるのではなく、選手たちが自分自身で考え、行動するような風土をつくっていきました。
まあ、一部の方に「眞鍋は女子バレーを分かってない」などと随分言われましたけれども……。
〈増地〉
常識に囚われずに、組織改革を推進していったのですね。
〈眞鍋〉
あと、メディアのカメラが入ると、どうしても記者の方は私に話を聞きに来るのですが、「それはサーブコーチに聞いてくれ」というように、各担当コーチが取材を受けるようにしました。選手にしても、エースだけじゃなく、この若手にも取材してというように頼んで、皆のモチベーションを高めると共に、チーム内に不公平感が生まれないよう心掛けました。
ですから、私は監督、指導者は目標に向かってチーム全体のモチベーションを高めていくモチベーターだと言っているんです。
〈増地〉
ああ、指導者はモチベーターである。私も全く同感です。
※本記事は月刊『致知』2024年3月号 特集「丹田常充実」より一部抜粋・編集したものです
image by: Shutterstock.com
ページ: 1 2








