始まりは「衝撃の調査結果」から。秋田で熱を帯びる「生涯学習」の取り組み

 

さらに、県内の生涯学習に携わる人と共に学ぶ場として「熟議」も盛況だ。生涯学習センターの社会教育主事がファシリテーターとなり、無理に答えを出すのではなく、気づきを与え、各地の活動を促進するための意見交換は市町村の力を信じているから出来るのかもしれない。

その上で具体的な活動はオーダーメイド型で市町村の活動を支援する考え。一緒になって考え、生涯学習センターのコンテンツを提供し、市町村に「仕組み」を残したいという。

自らも活動し、そして伝えようとする生涯学習センターのスタッフには、お願いされたら「はい」か「イエス」か「喜んで」の3択しかない、とスタッフは笑う。市町村に障がい者の生涯学習を広げるには、その行動マインドは大きな影響を与えているようだ。

2023年度は北秋田市での車いすユーザー目線での街歩きイベント「アルクベ・イウべ・キクべ」、仙北市の「せんぼく桜スクール」でのボッチャや卓球バレー、八峰町の「防災クッキング」等の具体的な交流につながっている。この活動の基本は「こだわりを持たない」(柏木睦・学習事業チームリーダー)こと。

私も地域の生涯学習との関わりで、確立された教育観から抜け出せない社会教育主事や地域を見かける。生涯学習は「どんな人」にも向けた教育だから、反応はさまざまで、それを固定の教育観で括るのは難しい。だからこそ、熟議し、考え、新しい価値観を見出して、新しいステージを見つける、作る楽しさがある。秋田の取り組みにはまだまだ楽しさが広がりそうで、今後も「喜んで」学んでいきたいと思う。

image by: shutterstock.com

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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