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「自民党は国民を守る」の大ウソ。石破首相が就任早々に“見捨てた”能登の被災者たちの今

1月1日に発生した震災の復興もままならぬ9月下旬に豪雨災害に襲われ、再び大きな被害を受けた能登地方。本来ならば何より先に被災者救済に当たるはずのこの国の政権は、彼らを見捨てるという非道極まる選択をなしたようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、このタイミングで解散総選挙を強行する石破首相を強く批判。さらに能登半島地震に対する補正予算を組まず予備費で対応する姿勢を強い言葉で非難しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:能登を見捨てた石破政権

政権のために被災地を利用。能登を見捨てた石破首相

奥能登の被災地を襲った豪雨災害から1カ月となった10月21日、輪島市役所や珠洲市役所では、市長や職員らが犠牲者に黙祷を捧げました。9月21日に発生した記録的豪雨では、14人が死亡、1人が行方不明、47人が重軽傷を負い、今も行方不明者の捜索が続いています。住宅の被害は、これまでに判明しただけで、全壊19棟、半壊36棟、浸水1,373棟で、このうち仮設住宅の浸水が計222棟に上っています。しかし、豪雨災害から1カ月が経った今も、人手不足で調査が進んでおらず、被害棟数はさらに増える見通しだと言われています。

現時点では434人の住民が複数の避難所に分散して生活していますが、自宅が元に戻る目途が立たないため、長期の避難所生活が危惧されています。浸水被害に遭った住宅の泥出しなどはボランティアが懸命に進めていますが、とにかく人手不足で作業が進まない上、未だに水道が使えない住宅が1,000棟以上もあるため、泥を運び出しても清掃ができないのです。また、未だに停電したままの住宅も400棟近くあると言います。

輪島市の坂口茂市長は「何とか震災から応急的な復旧ができつつあり、明るい希望も見えてきたところでの豪雨災害。市民の多くが『心が折れた』と言っています」と述べました。また珠洲市の泉谷満寿裕市長は「浸水した住宅の泥出しはボランティアががんばってくれていますが、道路や住宅周辺の流木や土砂は人力では撤去できないため、未だに1カ月前のままです」と訴えました。

あたしは奥能登の被災地に友人や知人がいるので、とても他人事とは思えず、復旧の進捗などにずっと注目して来ましたが、今回に限って言えば、とにかく何もかもが遅すぎます。何しろ、当時の岸田文雄首相と石川県の馳浩知事が現地入りしたのは、震災発生から12日も後だったのです。そして、その後も何もかもが後手後手どころか手つかずで、一部地域では、水道や電気、道路などの最低限のインフラですら復旧されない状態が現在まで続いているのです。

元日の震災で自宅が全壊や半壊などの被害を受けた人たちは、それから長い長い避難所生活が始まりました。そして半年以上が過ぎ、夏からは順次、何とか完成した仮設住宅への入居が始まりました。しかし、ようやくホッと一息つけたと思ったら、その1カ月後に豪雨災害。仮設住宅で浸水被害に遭った222世帯の人たちは、また長い避難所生活が始まってしまったのです。

現地では今日も、ボランティアが懸命の作業を続けていますが、水も電気も止まったままなので、できる作業にも限界があるそうです。そして、今回の豪雨災害によって、輪島市と珠洲市では新たに390戸以上の仮設住宅が必要になりましたが、周辺には建設に適した土地がなく、1カ月が過ぎた今も計画さえ立てられない状況が続いているのです。

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被災者を放置したままでの「国民を守る」「暮らしを守る」という宣言

さて、全国では石破茂首相の号令による解散総選挙が佳境を迎え、今週末27日の投開票日に向けて、各政党、各陣営がラストスパートに入りました。テレビやラジオやネットでは、自民党を始めとしたお金のある政党のCMが流れ続けています。自民党のCMでは、新総裁になった石破茂首相が、こんなスローガンを力強く訴えています。

自民党はルールを守る。国民を守る。暮らしを守る。未来を守る。日本を守る。

裏金議員を何十人も公認しといて、何が「ルールを守る」だ?…という疑問も持ちつつ、それよりあたしが疑問に感じたのが、能登の被災者をホッタラカシにしたままでの「国民を守る」「暮らしを守る」という宣言でした。

もちろん、このCMは奥能登の被災地にも流れています。半年以上も不便な避難所生活を続け、ようやく仮設住宅に入ることができたのに、わずか1カ月で豪雨災害に遭い、また避難所生活に戻った上、1カ月も放置されたままの人たちの耳に、この石破首相の言葉はどんなふうに聞こえたでしょうか。ちなみに、珠洲市の避難所にいるあたしの知人は「珠洲市民は国民じゃないので暮らしなど守らなくていい、と言ってるように聞こえた」と言っていました。

また、奥能登では仮設住宅の集会所などに期日前投票所が設置されましたが、輪島市で最も浸水被害が大きかった町野町地区の期日前投票所で投票を済ませた地元の人たちは「正直、私らは選挙どころじゃありません」「こんな時に選挙などしてほしくなかった。まだ1年も任期があったのだから任期まで満了してほしかった」などの声が聞かれました。

奥能登に友人や知人がいるあたしとしては、石破首相が本当に「国民を守る」「暮らしを守る」と思っているのなら、まるでコソ泥が警官を見て逃げ出すように解散総選挙など強行せず、まずは予算委員会を開催してほしかったです。そして、能登半島地震と豪雨災害の復興・復旧に向けて、これまでの大震災と同様に補正予算を組んでほしかったです。

1995年の阪神淡路大震災では、発生から約1カ月後に1兆円を超える補正予算が編成されました。2004年の新潟県中越地震では約2カ月後に災害対策としての約1兆3,000億円を含む補正予算が組まれました。2011年の東日本大震災では約1カ月後に4兆円超、2016年の熊本地震では約1カ月後に7,780億円、2018年の北海道地震では約1カ月後に災害対策1,188億円を含む補正予算が編成されました。過去の大震災では、こうして1~2カ月で補正予算が組まれ、これをベースとして、不足分を毎年5,000億円の予備費の中から搬出して来ました。

しかし、今回の能登半島地震では、岸田首相は発生から2週間後に2024年度の予備費を5,000億円増額し、それを災害対策に充てると言い出したのです。そして今回、石破首相は、この予備費を1兆円に増額し、それを災害対策に充てると言い出しました。「金額が同じなら補正予算でも予備費でも同じじゃないか」と言う人がいるかもしれませんが、これはまったく違います。

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言うなれば「政府の裏金」のような現在の予備費

補正予算は使途を明確にして、国会の審議を経て決定されますので、発生した震災などの対策予算として決定されたものは、それ以外には使えません。しかし、予備費は「何にでも使える財布」であり、国会の審議を経ずに、時の政権が「閣議決定」だけで自由に使えるのです。つまり「能登半島地震の被害対策」と言って増額した予備費で、石破首相がイスラエル製のドローンを大人買いしてネタニヤフの大量虐殺に加担しても自由なのです。

ま、これは極端な例ですが、この予備費の乱用は「閣議決定」が大好きだった故・安倍晋三首相が、新型コロナを利用して拡大した裏技なのです。毎年5,000億円が基本だった予備費を、安倍首相は新型コロナを理由にして一時は10兆円にまで拡大したのです。そして、余った大半の予算を「閣議決定」だけで「アベノミクスの成果捏造」のために、自民党のスポンサー企業などにバラ撒いたのです。

つまり、現在の予備費とは、言うなれば「政府の裏金」のようなものなのです。国会の審議を経ずに「閣議決定」だけで自由に使い道を決められる予備費は、自民党議員たちが政治資金収支報告書に使途を記載せずにポケットに入れて脱税し、自由に使っていた「裏金」のようなものなのです。

ちなみに過去の大震災では、補正予算だけでは足りなかった分は「●●地震対策費」と使途を限定して予備費から搬出されて来ました。しかし今回、石破政権は、表向きは「能登半島地震の被害対策」として閣議決定した予備費の増額なのに「特定の目的にすると対応の柔軟性が損なわれる」などと抜かして使途を限定しなかったのです。もはやイスラエル製のドローンを大人買いする気マンマンなフレーバーですが、最後にハッキリと言わせていただきます。

補正予算を組まずに、使途も限定しないで予備費を増額したということは、今も苦しんでいる多くの被災者を利用して、自分のお小遣いを増やしただけじゃないか!…と。「被災地を見捨てた」というだけでも首相失格なのに「政権のために被災地を利用」とは何事だ!…と。そして、こんな人物には「国民」や「暮らし」どころか、自分の政権すら守れないであろう…と。

(『きっこのメルマガ』2024年10月23日号より一部抜粋・文中敬称略)

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