1979年以降の株価を調べると、選挙結果に関わらず、15回すべての総選挙において日経平均は上昇してきた――これが俗に言う「選挙は買い」のアノマリーだ。今回も再現されれば濡れ手に粟のボーナスタイムとなるはずだったが、現実の日経平均は10営業日連続陰線、22日には円安・株安が同時進行する事態に。SNSでは「騙された」「石破総理のせいだ」など投資家の恨み節も聞かれる。彼らは何を間違えたのだろうか?「相場の短期トレンドを読む」ことの危険性をかねて指摘してきた、資産運用に詳しい作家・鈴木傾城氏の考えを見てみよう。(メルマガ『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
多くの投資家は短期トレンドに翻弄されて自滅していく
最近は、市場の動向を読む記事やSNSの情報であふれている。経済評論家だけでなく、一般の個人投資家も、市場の動向について、さまざまな見解をSNSで述べ、株式市場の動きを予測しようとしている。
市場の短期トレンドを読み、投資のタイミングを計ることは、多くの投資家にとって非常に魅力的な手法ではある。当たれば自分が天才に思えて満足感が得られる。しかし、この手法には多くのリスクが伴う。
市場は非常に複雑で、さまざまな要因によって影響を受けるため、短期トレンドを正確に予測し続けることは困難だからだ。
短期トレンドを予測するためには、経済指標、企業の業績、国際的な政治情勢、中央銀行の政策など、数多くのデータを総合的に考慮しなければならない。さらに、人々の心理的な反応や市場の過剰反応など、非合理的な要素も相場の動きに大きな影響を与える。
これを100%正確に読める人はこの世には存在しない。さらに、状況は毎日どころか、毎秒の単位で予測不可能な出来事が発生するので、これがバタフライエフェクトとなって、これまでの予測を瞬時に無意味にしてしまう。
【鈴木傾城】自民総裁選 高市敗北からの株価急落を「石破茂ショック」と騒ぐ大誤解。賢明な投資家が日本に見切りをつける真の理由
最近も、新規失業保険申請件数が予想以上に減少したことで、アメリカの株式市場は上昇を見せている。しかし、今後はまた別の指標が出て相場が逆転するような動きが繰り返されるだろう。
また、地政学的リスクとしてはイスラエルの紛争やウクライナ危機が継続している影響で、エネルギー価格の高騰やサプライチェーンの混乱が市場に対するさらなる不安要因となっている。
こうした不確実性の中で、短期的なトレンドに対する反応が過剰になり、投資家は市場の変動に翻弄されることが多い。つまり、タイミングを誤ることで、大きな損失をこうむるリスクが存在する。