想定外の円安株安。なぜ個人投資家は「選挙は買い」に騙されたのか?含み損を「石破のせい」にする人々の大勘違い

 

短期トレンドに翻弄されて自滅していく

そういえば、著名な経済評論家なんかも「株式市場は大暴落する」とか「アメリカは崩壊する」みたいなショッキングな予測をして自信たっぷりに断言している。

そういうことをいうと自分が目立つし、マスコミに取り上げられやすい。売名に予測を利用しているだけであって、本人も結果を信じているわけではない。目立つことが彼の目的で当たることが目的ではない

株式市場は上にも下にも極度に動くことがしばしばあるので、「タイミング良く暴落してくれたらラッキー」みたいな感覚でしかない。一種の詐欺師みたいなものだ。相当、自己顕示欲が強いのだろう。

ただ、個人投資家も、チャートを読んで短期トレンドや、日々のニュースの深読みや、アノマリー(規則性や傾向)や、要人の発言や、各種統計や、流行のテーマなどのさまざまな材料で短期トレンドを推し量ろうと躍起になる。

流行のテーマで短期トレンドを推し量るといえば、記憶に新しいのは「ゲームストップ株騒動(GameStop saga)」かもしれない。

インターネットの掲示板やSNSを通じて、多くの個人投資家が協力してゲームストップの株を急激に買い上げた。これにより、ゲームストップの株価は短期間で急騰し、多くの個人投資家がその利益を得ようとイナゴのように群がった。

しかし、このような価格の急騰は市場の実態に基づいたものではなく、一部のトレーダーによる情報操作や過熱した心理が影響していた。

そのため、最初にトレンドに乗って大きな利益を得た人がいた一方で、遅れて参入して損失を被った人も多かった。株価が急落し、売り時を逃した投資家がカモにされて損失を負ったのだった。

古典的な短期投資といえば、チャートを読んで短期トレンドを判断するチャーティストがその典型だろう。しかし、世の中はチャート通りには動かない。

よく知られているテクニカル分析の指標である「ゴールデンクロス(Golden Cross)」や「デッドクロス(Death Cross)」といった短期的なシグナルも、ときにはトレーダーを翻弄することもある。

たとえば、ある銘柄の移動平均線がゴールデンクロスを示した場合、多くのトレーダーがそれを買い時のシグナルと判断して参入する。ところが、このシグナルは単なる「偽りの反発」を示していることがしばしばある。

ゴールデンクロスが現れた直後に市場全体が大きく下落したら、ゴールデンクロスに基づいて買いを入れた投資家が損失を食らう。こんなのは日常茶飯事なのだ。

短期トレンドに基づいた投資は、得られるリターンの迅速さが魅力である一方で、冷静な判断を欠いたり、流行に流されやすい点で過大なリスクを伴う。そして、投資家は短期トレンドに裏切られて自滅していく。

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