その間も就活生へのセクハラは起きていたのです。仕方がないと涙した若い学生がたくさんんいたのです。
しかも、セクハラ防止法ができても、“大人”へのセクハラも後を立ちません。
昨年5月には岐阜県岐南町の町長の「ハラスメント疑惑」を文春オンラインが報じ、弁護士3人による第三者委員会が設置された。調査報告書によると、少なくとも
99件のセクハラがあったとされ、特定の女性職員に対し「刑法上の強制わいせつ罪(刑法176条)・ 不同意わいせつ罪」に該当する可能性がある行為も認められています。
町長就任直後の2020年11月からセクハラ被害の訴えがあったものの「町長に注意しても何も変わらないだろう」「むしろ恫喝されて終わる」と幹部たちも対応をあきらめていたそうです。
また、昨年12月にはENEOSホールディングス(HD)の前社長が、懇親会の場で女性に対して破廉恥な言動をしたとして解任されました。一年前の22年8月に高級クラブで下劣なセクハラ行為に及んだとして辞任した前会長に続く愚行です。さらに今年2月にはグループ会社のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)の会長が懇親の場で女性にセクハラ行為があったとして解任されています。
セクハラは個人間でおこなれるものですが、それを許す土壌が日本の企業や役所にはある。「弱い立場」の人には何をやってもいい、偉くなったら好き勝手できると妄信する輩を生む組織です。
欧米にもハラスメントはあるし、横暴で幼稚な振る舞いをする権力者は存在します、
しかしながら、法律で厳しく規律を定めているので、発覚した場合の痛手が大きいのです。加えて、どんな立場の社員でも弁護士を使って主張の正当性を確かめられる手立てもさまざまな側面から徹底されています。
その根っこに存在するのが「法は私たちをしあわせにするためにある」という共通の価値観です。
繰り返しますが、ルールを決めたり、相談窓口をつくれば、救われる人もいるかもしれません。
しかし、本気でハラスメントをなくしたい、弱い立場の従業員や就活生をしょうもない幼稚な輩から守りたい、と願うなら、ハラスメントそのものを禁止することも必然なはず。
なぜ、ハラスメント行為そのものを禁止できないのか?
禁止しようとする議論はなかったのか、是非とも教えて欲しいです。
ちなみに、厚労省が1月実施した調査によると、インターンシップ中に1回以上セクハラ被害を受けた学生の割合は30.1%。「性的な冗談やからかい」が38.2%で最も多く、「食事やデートへの執拗な誘い」(35.1%)や「性的な関係の強要」(19.7%)もあったそうです。
みなさんのご意見も、お聞かせください。
この記事の著者・河合薫さんのメルマガ
image by: soraneko / Shutterstock.com