1月20日に中国企業が発表し、その開発費の圧倒的な格安ぶりに世界が驚嘆した生成AI「DeepSeek」。ChatGTPと比べても遜色のない実力とあって瞬く間に大人気となっていますが、利用にあたっては「覚悟」も必要のようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、DeepSeekのユーザーが今後遭いかねない深刻な被害の数々を考察。その上で、「同AIの使用は控えるべき」と結論づけています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【中国】中国製AI「DeepSeek」ショックと深刻な危険性
不用意に使えば抜かれるデータ。中国製AI「DeepSeek」ショックと深刻な危険性
● DeepSeekショックでNVIDIA転落…GPU市場の行方は? 専門家たちの見解
1月27日、中国製AIチャットボット「DeepSeek」がデビューしたことで、世界最大のAI用チップメーカー、アメリカのNVIDIAの株価が急落、失われた時価総額は史上最大の5,930億ドルにも達しました。
これは、DeepSeekがChatGTPと遜色のない性能ながら、その開発費が極めて安価だとされているからです。ChatGTPの開発コストは百数十億円であるのに対して、DeepSeekは約8億5,000万円で開発されたと報じられています。
これまでは、今後開発されるAIを支えるために、高性能なGPU(グラフィックス処理ユニット)が必要であるとされ、その製造メーカーであるNVIDIAの株価がうなぎ登りに上昇していました。
ところがDeepSeekはより安価な代替技術を使用して、スマートフォンやコンピュータに組み込むことが可能とされており、今後のAI革命において、高性能なNVIDIAのGPUを必要としない可能性が出てきたため、同社の株価は急落したわけです。
● DeepSeekショックでNVIDIA転落…GPU市場の行方は? 専門家たちの見解
しかも、DeepSeekは、利用料が安く、ChatGPTの料金プランの5分の1~27分の1程度の使用料とのことで、多くの利用者が見込めるとされています。
ただし、中国製AIということで、かなりの危険性もあります。
まず、さまざまな情報が「中国共産党の主張」に基づいたものであるということです。
たとえば、「尖閣諸島はどの国の領土か」とDeepSeekに質問すると、きっぱりと「中国の固有の領土」と答えるとのこと。もちろん日本のことはまったく出てきません。
日米のアプリランキングで上位のDeepSeek(中国製AIアプリ)で尖閣諸島について聞いた結果がこれ。
米国は間違なく規制するだろうね!
日本?するわけないでしょ! pic.twitter.com/sF4yvK9VYt— マサニー@資産40億円ニート (@alljon12) January 27, 2025
● https://x.com/alljon12/status/1883758980864118818
その他、天安門事件や習近平主席について聞くと「この回答には答えられない」とするメッセージのみが表示される状態となったり、台湾については「中国の不可分の一部である」などと答えるそうです。
● 話題の中華LLM「DeepSeek R1」は、天安門事件を説明できるか あれこれ質問した
2017年、中国の大手インターネットサービスの騰訊(テンセント)がAI対話プログラムを発表したことがありました。SNSの書き込みに対して、AIが答えると言うものでしたが、ところがこのときのAIは、「共産党万歳」との書き込みに「腐敗して無能な政治に万歳ができるのか」と反論。
さらに「あなたにとって(習近平国家主席の唱える)中国の夢は何か」との問い掛けに「米国への移住」と答え、しかも共産党については「嫌い」とも断言したそうで、そのためテンセントはこのAIのプログラムサービスをすべて停止せざるを得なくなりました。
【関連】中国でも人工知能が反乱。共産党に洗脳されたAIは、天使か悪魔か
● 【電子版】AIが「共産党は無能」と批判、中国ネット大手がサービス停止
それから約8年後、中国製AIも、共産党批判すれば停止に追い込まれるということを「学習」したのか、させられたのか、すっかり中国共産党の意向を忖度するようになって、生まれ変わったようです。
中国共産党の主張に洗脳したい人にはいいかもしれませんが、かなり偏った思想に染められてしまう可能性があります。
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DeepSeekのユーザー情報が中国当局に提供される危険性も
加えて、DeepSeekのプライバシーポリシーによれば、同AIが収集するデータは、「中国人民共和国にある安全なサーバに保存する」ことになっています。
● DeepSeekが集める個人情報は「中華人民共和国にある安全なサーバに保存」
そのデータ内容は、生年月日、ユーザー名、メールアドレス、電話番号といったユーザー情報、サービス利用時に入力した情報、問い合わせ時に提示する身分証明書、サービス利用時のデバイスやネットワーク接続情報、さらにAppleやGoogleなどを使ってサービスにサインアップした場合は、それらのサービス情報など。
仮に日本で使用した場合には、こうした情報が中国のサーバに送られ、保存される危険性があるのです。
要するに、誰がどのような検索や入力したか、その人物の現住所までが中国のサーバに保存されるのです。
中国には「国家情報法」というものがあり、同法では「いかなる組織及び国民も、国家の諜報活動を支持し、これに協力し、知り得た国家諜報活動の秘密を守らなければならない」としています。
中国製のサービスを使用した人物を、中国当局が危険人物として認定すれば、サービス運営者はこの人物の情報を提供するよう求められることになります。つまり、DeepSeekを利用したユーザーの情報を、中国当局に提供される危険性があるのです。
あるいは、DeepSeekで中国共産党にとって不穏当な検索や入力をするユーザーも、要注意人物として中国当局の監視対象となってしまう可能性もあるでしょう。
中国は世界各地に「秘密警察」を派遣していることが明らかになっています。現状では海外の反体制派を監視・脅迫する役目を果たしているとされていますが、DeepSeekの使用者から反中国的な日本人を選別し、その住所までを特定することができてしまうのです。
韓国では尹大統領弾劾要求デモに在韓中国人が参加した疑惑が巻き起こっています。こうした中国人について、世論操作で韓国社会を揺さぶるスパイではないかという声もあります。
日本でも、そうしたスパイが、中国当局の指令で反中国的な日本人を監視、誹謗中傷、犯罪巻き込みなどによって、社会的に抹殺することすら可能になってしまう恐れがあります。
● 尹大統領弾劾要求デモに在韓中国人が参加疑惑 大使館が注意喚起 韓国紙報道
1月28日、オーストラリアの科学大臣が、DeepSeek使用によるプライバシーやデータ流出への懸念を表明しました。
3年前の冬季北京オリンピックでも、中国側から使用を義務付けられたアプリについて、中国に批判的な言葉などの検閲機能があり、さらにデータ流出の懸念が盛んに叫ばれました。
● 北京オリンピック公式アプリに検閲機能…個人情報漏洩の懸念も
安いからといって不用意に使えば、さまざまなデータが抜かれてしまう危険性があります。中国からのサイバー攻撃も年々増えており、個人情報が中国のハッカー集団に渡る恐れもあるため、使用は控えるべきでしょう。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2025年1月29日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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