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tokyo, japan - april 04 2020: Aqua City shopping centers on the island of Odaiba with the building of the Japanese television channel Fuji TV famous for its Hachitama observation area in spring.

【精神科医・和田秀樹】フジテレビ復活の鍵は「高齢者向け番組」老害排除と真逆の老人優遇がTV業界を救う理由

中居正広とフジテレビをめぐる一連の騒動で、米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが親会社のフジ・メディアHDに対し日枝久取締役相談役(87)の辞任を求めている。“約40年にわたりグループを支配してきた独裁者”が退場しないかぎり経営刷新はできないというのが理由だ。ただ“老害排除”だけでフジテレビが復活できるかどうかはわからない。精神科医で作家の和田秀樹氏によれば、テレビ局は「経営陣が高齢であるにも関わらず、高齢者に厳しい」という矛盾を抱えてきたからだ。(メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:フジテレビをどう立て直すか?

フジテレビ、中居正広、生島ヒロシに私が思うこと

中居某の引退やフジテレビ問題の陰に隠れたようになっているが、やはり私の知り合いの生島ヒロシさんがTBSラジオで26年以上続く自身の冠番組2本から突如降板し、芸能活動の無期限の休止を発表した。

何があったのかはわからないが、セクハラ、パワハラという話になっている。おそらく、TBSが、週刊誌か何かで報じられて、自分のところに火の粉が飛ばないうちに生島さんを切ったのだろう。

中居某ほどのことをやっていないようだが、TBSとフジテレビの対応はものすごく違う。中居某がトラブルを起こしたことを把握した後に、松本人志が芸能活動を休止したのに、『まつもとtoなかい』をやめずに『だれかtoなかい』という形で番組を続けたフジテレビと比べて、TBSは長寿番組をすんなり切ったのだ。

経営陣は高齢でも「高齢者には厳しい」テレビ局の矛盾とは?

私のひがみかもしれないが、テレビ局というのは、経営陣が高齢者なのに、高齢出演者には厳しい

ただ、私の見るところ、今回の中居事件の背景は、若者偏重の文化の産物だろう。実際は、人口の3割が高齢者で、若い人がテレビを見なくなったのだから、テレビを見ている人の7割くらいが高齢者になっているのに、ラジオはともかくとして、テレビは相変わらず若者向けに作られている。

バラエティー番組でも、情報番組でも、ドラマでも、若者向けばかりで高齢者は無視され続けている。すると出演者も、あるいはアシスタントの女子アナも、みんな若い人ばかりになる。

そして、テレビのスタッフとタレントが懇親会を開き、大物タレントは貢物のように若い女性タレントや女子アナを食い物にするだけでなく、テレビ局の連中もおこぼれに与っているのだろう。

この文化はおそらくフジに限ったものでないはずだ。

【関連】元フジアナ・長谷川豊氏が上納文化を暴露! フジテレビ“日枝帝国”を終わらせる「長谷川日記」に何が書かれているのか?

実際、テレビ局にはH目的で入る社員が多い。小学校から大学までつながっている学校を出た、スポンサーのお坊ちゃまのような人がコネで入るわけだが、テレビ番組を作りたいというより、それまでの延長で遊びたいという人が多いようだ。

こういう人は女を女と思っていないことも多い。いっぽうで、番組を作りたいと思って難しい試験に合格しようとする人がかえって落とされたりする。

テレビというのは、視聴率が多少悪くてもあまり責任を負わされない。高齢者が増えているから仕方ないということで通ってしまうようで、4%とか5%で合格点ということになっている。

本来なら、高い広告費を払うスポンサーが怒るはずなのだが、スポンサー企業の宣伝部も宣伝でものを売ろうという意識が乏しい。ほかの部署と違って、結果が悪くても責任を問われない上に、華やかなので、宣伝部は、創業者一族のボンボンやコネ入社の人がなることが多い。そして広告代理店の言いなりになって、視聴率の取れない若者向け番組に金を払い続ける。

フジテレビなど視聴率が落ちっぱなしなのに、これまでCMが取れていたし、ああいう文化が続いていたのだ。

この本質は、ワイドショーで語られることなく、フジテレビをたたき、ついでに週刊文春をたたくだけだ。

確かに、週刊文春はある種の誤報だが、A氏とされる人が、これまでもタレントと女子アナの懇親会を開き、女衒のようなことをしていたのは、どうも事実らしい。

週刊文春も叩かれたらそのあたりをついてくるだろう。テレビ局が考え方を変えない限り、このようなことは終わらない。

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「シニアのためのフジテレビ」に生まれ変われるか?

フジテレビの株価が上がっているらしい。

おそらく今の経営陣が一掃され、新しい経営陣でフジテレビが新しい局に生まれ変わることへの期待のためとされているが、確かに清水新社長がアラレちゃんやドラゴンボールをプロデュースした伝説的アニメプロデューサーだったから、バラエティーとトレンディードラマのフジテレビから、アニメのフジテレビに生まれ変わる可能性はないわけではない。

アニメは当てれば、世界で売れるからフジテレビの企業価値も爆上がりするかもしれない。それだけの度胸が清水新社長にあるかが問われるところだろう。

ただ、仮にそうなってもバラエティー番組やドラマを作り続けないわけにはいかない。認可条件を変えない限り、アニメ専門局にはなれない。

その際に、現場の文化が今と変わらなければ、同じような事件は起こり続けるだろう。タレント側からすれば、とくに若いタレント側からすれば、枕営業をいとわない人間はいくらでもいるし、その誘惑に急に強くなるということは考えられない。

しかし、SNSの時代、文春砲でなくても、またフジの社員が若いタレントとホテルに入ったとか、いつ撮られるかわからない。その程度のことで、反省していないと言われ、スポンサーは離れていく。

ここで私が提言したいのは、フジテレビがシニアのフジテレビに生まれ変わることだ。多くのテレビ局が高齢者を置き去りにして、逆に高齢者差別的な言辞を繰り返す中、高齢者が見たい番組を作り、高齢者に共感的な対応をとることができれば、局の特色も出せる。

前回も問題にしたように若い経営陣になったほうが、高齢者いじめとか、高齢者排除がかえって進んでしまうだろう。

若い人に迎合しても、視聴率はたいして取れないし、若い人に人気のあるタレントが取り合いだから、今回のような過剰接待も起こる。これでは刷新は無理だ。

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「枕営業」を減らす簡単な方法

たとえばバラエティでも高齢者向けにすれば、キャストの年齢層が上がるので、必然的に枕営業は減るはずだ。今のテレビ局の社員たちは人間ができていないので、若いタレントなら食い物にするが、シニアの女性が言い寄ってきても、ノーサンキューだろう。

糞な文化を刷新するためにも中高年以上、あるいは高齢者向けの番組を作ったほうがいい。ドラマだって、もう時代遅れになったトレンディなものより、もっと知的なもの、シニアにも受ける大人の恋愛ものにすればいい。

今、シニアにいちばん人気のドラマは『相棒』だという。何回、再放送しても視聴率が取れている。

テレビ朝日は、シニアにも人気のあるドラマを作り、情報番組やニュース番組を並べて、シニア人気で視聴率トップの座を奪った。フジテレビが見習うべきはそこだろう。

ついでにいうと、シニアに人気のあるバラエティは、『なんでも鑑定団』や『ぽつんと一軒家』らしい。ここにもテレ朝が食い込んでいる。

スポンサーが取れないとか言われるし、当初はそうかもしれないが、サントリーウエルネスのようにシニア大歓迎の会社はいくらでもあるし、若者はCMでものを買わないから、電通の洗脳から解けて、シニア向け番組のほうがものが売れることがわかれば、少しずつ広告収入も増えるはずだ。

日枝氏も、当時としては革命的なことをやってフジテレビを日本一にした。思い切ったことをやらなければ、今衰退期のテレビ局は生き返らないと私には思えてならない。ビジネスより自分の快楽を追求するなどということはほかの会社ではあり得ないことをテレビ業界は知るべきだ。

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(本記事は有料メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』2025年2月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。本号ではこれ以外にも、森永卓郎さん死去に関連して昨今の「がん治療」について和田さんが本音で語っています)

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image by: kuremo / Shutterstock.com

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