「ルールを守る」の公約を掲げて10月27日の総選挙に臨む石破自民党。実際には衆院選で裏金議員を原則公認する方針を固めるなど、「ルールを守る」つもりなど毛頭ないのは明らかだが、このだらしなさは石破氏個人の行動にも現れていたようだ。精神科医・作家の和田秀樹氏が「この程度の法律も守れない奴だということが情けない」と嘆く、新首相の恥ずかしいルール違反とは?(メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』より)
※本記事のタイトル・見出し・図版類はMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:税金はなんのためにあるのか
銀座の並木通りで目撃した石破茂新首相の「ルール破り」
総裁選で石破氏が決選投票でも勝ち、自民党総裁、そして首相になった。
党内では嫌われているという話だったし、高市氏は保守派の支持が強いという話だったが、やはり次の選挙のことを考えると背に腹は変えられないということだろう。
有力候補の中では、個人的にはいちばん嫌な奴がなったと思っているが、裏が取れないのでこれ以上のことは書かないことにしよう。
一つだけ書けるのは、銀座・並木通り近くの乗禁地区、夜の10時から午前1時まで歩行者用道路になっている道(そのためにハイヤーを使う人でも、ハイヤー乗り場まで歩かないといけない)に運転手つきの車を呼びつけ、堂々と乗っていったのを目撃したこと。これは事実だ。
この程度の法律も守れない奴だということが情けない。

指定乗り場以外でのタクシー・ハイヤー乗車は、タクシー業務適正化特別措置法で禁じられている(出典:日本交通株式会社 タクシーサービスサイト | 画像引用・キャプションは編集部)
なぜ並木通りにこの時間に来ていたのかも実は知っているが、話が長くなるのでやめることにする。その理由は外交評論家の故岡本行夫氏が知っているはずだが、死人に口なしだ。
憲法改正、靖国参拝。その前に知っておくべき安倍元首相の考え
さて、石破氏は憲法改正を言いだしているが、タカ派なので、靖國参拝もするかもしれない。
高市氏は首相になっても堂々と靖國参拝をすると公約のように言っていた。しかし、靖國参拝のどこがまずいのかわかっていない人が多過ぎる。
実は、安倍元首相も、まじめに分祀を考えていたようで、周囲にもらしていたことも明らかにされているし、高村正彦氏は自著で、A級戦犯分祀について「安倍氏超側近から相談」されたことを明言している。
実はサンフランシスコ平和条約の11条に、「日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。」ということが書かれている。
要するに、この条約を締結した以上、A級戦犯は刑死者であって、戦死者では断じてない。これを勝手に戦死者と見なすというのなら、日本は堂々と条約違反をする国ということになる。
ソ連、そのほかの国が条約に違反したようなことをやっても、文句を言えない立場になるし、日米安保でアメリカが日本を守ってくれなくても「おたくは条約を守らない国だから」と言われかねない(実は、日米共通の危機に対応すると書いてあるだけで、もともと守る約束はしていないが)。

戦争犯罪人たるA級戦犯と英霊をはっきり区別する“分祀”を考えていた安倍晋三氏、若き日の1コマ(出典:安倍晋三公式Facebook | 画像引用・キャプションは編集部)
これがあるから、A級戦犯の合祀までは天皇陛下も頻繁に靖國を参拝していたし、首相の参拝もまったく珍しくなかったのに、天皇陛下も首相も参拝できなくなったのだ。
やっかいなのは、サンフランシスコ平和条約というのは、単独講和でなく、48か国と交わした条約で、キューバのような国も入っていること。
このうちのどこかの国が、首相が靖国参拝をした時点で条約違反だと騒ぐようなことが起こると、逆にわが国としても、他国の条約違反(たとえばソ連やその他の国が条約に違反する、日米安保でアメリカが日本を守ってくれない等)に対して文句を言うのは相当難しくなる。
だから安倍氏は分祀を考えたのだろう。
この記事の著者・和田秀樹さんのメルマガ