東急のお膝元、東京都渋谷区でとんでもない「官製談合疑惑」が浮上している。区民共有の資産である区道を一民間企業にいわば“上納”し、14階建てのマンションを34階建てのタワマンにしようという目論み。これの何がどう問題なのか、ジャーナリストの山岡俊介氏が主宰する『アクセスジャーナル・メルマガ版』が報告する。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:“東急の城下町”東京都渋谷区で浮上した官製談合疑惑(1)
区民のための区役所が、一民間企業に“道路を上納”!?
昨年9月24日、東京都渋谷区の住民11人が渋谷区を相手取り、区道廃止は違法だとして、廃止処分の差し止を求める訴えを東京地裁に起こした(*1月17日に第1回口頭弁論あり)。
原告で不動産鑑定士の森口英晴氏は、区道が廃止されると、「タクシーを使えば、これまで1人で区役所に行けていた高齢者や障害者が、今後は介護者なしでは行けなくなる」などと訴えた。
そして、区道の廃止処分は「一般交通の用に供する必要がなくなった場合」と廃止理由を定めた道路法に違反するなどと主張している。
区道廃止で泣く住民、タワマン建設でボロ儲けする企業
だが、本紙は最初、その話を聞いた時にピンと来なかった。
なぜなら、まさか区役所の正面玄関前の区道を全部廃止にするなどあり得ない話で、廃止にするのはこの正面玄関に通じる区道の一部だけ、つまり区道の道幅が狭くなるだけだと思っていたからだ。
ところが、森口氏に話を聞くと全部だと。
これではオーバーにいえば、自宅(区役所)前の道を自ら塞いで入れないようにするようなものではないか(実際は区役所には裏口があり、そちらから入れるが)。
区役所の正面玄関に至る区道は狭く、公会堂との間の余ったように見える部分は歩道。
廃止した区道部分は、歩行者専用になるので通れなくなるわけではない。だが、右側の大きな道路(公園通り)で車を下り、歩かなくてはならなくなる、だから、高齢者や障害者は一人で来れなくなるというわけだ。
区民のための役所、それも高齢者などの弱者には本来より配慮すべき渋谷区が、なぜ、こんな公共の利害に反することをやるのか? あり得ない話だ。
「業者も渋谷区もウィンウィン」という説明の大嘘
以下に、区の主張する建前上の理由を紹介する。
現在、「渋谷ホームズ」という民間のマンション側とで、「容積適正配分型地区計画」という制度を利用した再開発計画が進んでいる。
この渋谷ホームズ、それに渋谷ホームズと区役所に隣接する区立「神南小学校」も築50~60年と古く、建て替えが検討されていた。
そこでそれぞれ単独ではなく、前出の「容積適正配分型地区計画」を利用すると、高い建物を建てていない余った小学校の「空中権」を渋谷ホームズは利用できる。
そこに持って来て、今回問題になっている区道部分を廃止して渋谷ホームズの敷地を広くし、「高度利用地区」にすると、渋谷ホームズの容積率は現在の倍となり、渋谷ホームズは現在14階建てだが34階建て(高さ150m)のタワーマンションに出来るのだ。
ただし、その代りに、小学校の建て替え工事代金は渋谷ホームズ側が負担する。
結果、渋谷ホームズ、渋谷区双方にとってウィン・ウィンになると区は言っている。
疑惑浮き彫り 渋谷区側「大損」の試算
だが、そんなことはないのだ。この計画に反対する住民側の試算によれば、渋谷ホームズ側の敷地の価値は――――(この続きはメルマガ2/3号でご覧ください。最新2/10号を含む今月配信分をすべてご覧いただけます。公益性、真実相当性があれば相手が大物政治家でもアウトローでも恐れず報じる『アクセスジャーナル』はあなたの支援を必要としています)
(本記事は『アクセスジャーナル・メルマガ版』2025年2月3日号を一部抜粋、再構成したものです。この号では下記の内容を掲載しています。初月無料でお読みになりたい方はぜひご登録下さい)
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