人事院を基準にすると、人事評価は、「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価」(国家公務員法第18条の2第1項)であり、人事評価制度は「能力・実績に基づく人事管理を進めて行く上での基礎となる重要なツールであるとともに、人材育成の意義を有するもの」と定義する。
これらの文言は、企業は生産活動をする組織であるとの考えを基本にして、人を管理する存在として、能力・実績とは生産性や収益性に貢献できることが優先されており、流通している人事評価ツールの多くが企業の実績をベースに作られている。
上司からの評価だけではなく360度評価等、周辺からの評価の仕組みによりl客観性等を確保するものもあるが、その評価の在り方は、その企業が「何を評価するのか」の、その企業の文化が大きく影響する。
これら硬直した評価制度の中にあって最近、障がい者雇用のキャリアアップと人事評価はどうあるべきなのだろうかとの問いが今回のテーマでもある。
今回の講演では様々な角度から検討する予定だが、1つの提案として、社内及び社員が障がい者とのコミュニケーションを体験する機会を示したい。
社内の障がい者雇用の社員と多くの社員が関わる時間や期間を設定し、そこで必要なケアを要するコミュニケーションを肌で感じてもらう時間を作る。
それは誰にとっても新しい発見となるはずで、それは会社の生産性と、多少専門家のアドバイスが必要なものの一般的な情報リテラシー向上に、そしてその新しい感覚は自分と企業に「どのように生産されるのか」との創造性を喚起させる。
その上での評価基準は、確実に新しい評価が見えてくる。
評価は時代とともに変わってくる。
大学の入り方も様々な入試方法があり、能力を伸ばすために新たな教育が模索されている。
世界で生きて行く、活躍するための人を育てたいとの要請に適合させながら、評価基準を変え、教育は変革を続けていく。
大学で教育し、そして障がい者の働くを支援する立場として、評価は人がよりよく働くためのプロセスであることを共有し、それを最適に機能させるための手法を考え続けたい。
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