ありとあらゆる手段を用い、台湾の国際的孤立を図る中国。これまでも多くの国が台湾との断交を強いられてきましたが、習近平政権の恫喝や誘惑に頑として応じない国家が南米に存在しています。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、パラグアイが中国の揺さぶりに対して見せた毅然たる対応を称賛。併せて同国の「特別な親日ぶり」も紹介しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【中南米】中国の恫喝や誘惑を断固拒否するパラグアイの高貴さ
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中国の恫喝や誘惑を断固拒否するパラグアイの高貴さ
● 南米唯一台湾と外交、パラグアイは「無条件で日本支持」 中谷好江前大使インタビュー
中南米パラグアイの元日本大使・中谷好江氏が産経新聞のインタビューに答え、パラグアイの親日ぶりと、中国の浸透工作の実態について語りました。
それによると、パラグアイは親日国の中でも特別で、国連などの国際的な場所で、どんな親日国でも議案によっては日本に反対、あるいは棄権することがあるが、パラグアイだけは無条件に日本を支持してくれるそうです。
その理由として、日本が民主主義や市場経済、法の支配といった価値観を共有していることに加えて、長年ODAで支援し、また日系人がパラグアイの経済を発展させてくれたという思いがあるからだそうです。
また、海外では日本人が中国人に間違えられて、「チャイニーズ?」と聞かれることがありますが、パラグアイでは絶対にそのようなことはなく、誰もが日本人だとわかっていて、「日本の方ですか?」などと話しかけられるとのことです。
パラグアイは台湾と国交があります。そこへ中国が揺さぶりをかけてきています。
新型コロナウイルスが流行した時には、ワクチン供給を餌に、台湾との断交を迫ってきたそうです。パラグアイ政府はこれを断固拒否しましたが、そのためにワクチンの接種が遅れ、国内では「大統領が国民の命を守ってくれない、国民の命を蔑ろにしている」といった倒閣デモが起こったそうです。
そしてこのデモは後ろで中国が関与しているのではないかと言われていました。
パラグアイ政府は自力でチリなどからワクチンを入手し、この危機を乗り切ったそうです。
中谷元大使はパラグアイについて、「本当に立派な国だ」と称賛しています。
一方、現役大使のときに、岸田首相がパラグアイを訪れましたが、大使は少人数会談の同席リストに入っておらず、出席できなかったそうです。天皇陛下の認証が必要な特命全権大使であるにもかかわらず、非常に軽い扱いだったことで、パラグアイ政府からも重い存在として扱われなくなることを懸念していました。
パラグアイ大使は台湾の大使と仲良くなれる数少ない存在であり、とりわけ台湾との絆が強い日本の大使は、台湾の大使と良好な関係を築いています。
そのような大使を会議メンバーに入れなかったのは、穿った見方をすれば、日本の外務省や政治家の親中派が嫌がらせをしたという可能性すらあるのではないでしょうか。
この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ
一方、パラグアイ政府は中国に対してあくまで毅然とした態度で対応しています。
昨年12月、パラグアイ当局は中国外務省の外交官のビザを取り消し、24時間以内に出国するよう求めました。
この中国の外交官は、パラグアイの国会議員に台湾との外交関係を見直すよう働きかけ、台湾を捨てて中国を選ぶよう迫ったとされています。
中谷氏によると、中国代表団はユネスコの無形文化遺産登録の審査会議に出席するためにパラグアイにビザを申請して入国しましたが、代表団を率いた中国の外交官はユネスコ会議に出席せず、パラグアイ議会に向かったといいます。
その外交官は、議会を去る際、記者団に「世界に中国はひとつしかないのだから、パラグアイは一刻も早く台湾との誤った外交関係を正し、正しい方向に進むべきだ」と語りました。
この発言は地元メディアで大きく報道され、その後、パラグアイ政府は外交官のビザを取り消したのです。
中谷氏によれば、パラグアイ政府のやり方には根拠があり、ビザが取り消されたのは、外交官がビザ申請の時に申請した目的と異なったことを行い、申請したホテルとは別のホテルに宿泊したからだったそうです。
法的にも文句の言えない理由であり、中国側は反論できず、受け入れざるを得なかったとのことです。
この中谷氏のインタビューは台湾でも大きく報じられました。
中谷氏は、日本の首相として初めてパラグアイを訪れた安倍首相を高く評価しており、かつて安倍氏がアルゼンチンを訪れた際、地域の日系人・在留邦人との交流行事で集まった約1,000人全員と握手したこと、そして各国大使に、日系人の活動に役立つことはなんでもやるように指示し、働きが悪かったら自分に連絡して欲しいと話したことを、自らが日系人と接する際の指針にしていたと語りました。
中国については、最近、クック諸島とインフラ開発などで連携する合意文書を交わしたことで、クック諸島が南太平洋における中国の橋頭堡になるのではないかという懸念が高まっています。
● クック諸島、中国と海底資源開発で協力 計画署名に抗議デモも
クック諸島の首都アバルアでは、中国に傾斜を強める政権に対して約400人の抗議デモが発生しました。
クック諸島はニュージーランドが防衛を担っています。そのニュージーランドが面するタスマン海で、あろうことか中国は2月21日と22日、中国軍艦による実弾演習を行い、ニュージーランド外相が中国に懸念を表明する事態に陥りました。
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相変わらず傍若無人な態度で、これで民主国の国民から好かれるはずがありません。
中国のどんな恫喝や甘い誘惑にも惑わされない、パラグアイの高貴さがますます光り輝いて見えます。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2025年2月27日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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