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日本も“対岸の火事”ではない。台湾相手にフェイクニュース拡散やサイバーテロの「グレーゾーン攻撃」を仕掛ける中国に備えよ

中国が諸外国に対して展開を続ける、「グレーゾーン攻撃」と呼ばれる武力攻撃に至らない侵害行為。とりわけ台湾へのこの攻撃は日に日に激しさを増しており、もはや「日常茶飯事」になっているとも言われています。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、中国によるグレーゾーン攻撃の実態を詳しく紹介。その上で、日本政府が迅速に講じるべき対策を提示しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【台湾】中国グレーゾーン攻撃の実態と限界

台湾在住中国人インフルエンサーもその手先か。中国「グレーゾーン攻撃」の実態

「武力による台湾統一」を鼓吹 中国人配偶者2人に退去命令、期限は今月末まで

台湾では、3月に入ってからSNSで配信をする台湾在住中国人インフルエンサーやユーチューバーなどの居留許可廃止が相次いでいます。

対象となっている数人の中国人はすべて女性で、処罰の理由は「中国による台湾の武力統一などに関する発言を公に行った」というもの。具体的に何を言ったのか、以下、報道を一部引用します。

内政部(内務省)移民署は11日、中国による台湾の武力統一などに関する発言を公に行ったとして、関連規定違反で、台湾在住の中国人インフルエンサーの女性の居留許可を廃止したと発表した。劉世芳(りゅうせいほう)内政部長(内相)は12日、法を犯した者は法に基づき厳格に処分する姿勢を示した。

女性は台湾人と結婚し、「家族呼び寄せ」の名目で台湾の居留許可を得ていた。ティックトックやユーチューブなどのサイトで動画を投稿しており、移民署は、女性がSNS上で武力統一を主張する言論を行っているとの通報を受けて女性に聞き取りを行った。

移民署は、政府は言論の自由を尊重するとした上で、女性が公に発表した「(中国)大陸の台湾武力統一にもはや他の理由は要らない」「なかなか武力統一しない」などの言論は社会の安定に影響を与えたと指摘。調査や関連機関との協議の結果、規定違反で女性の居留許可を廃止したと説明した。

大陸地区出身者を対象にした家族呼び寄せの名目での台湾での長期居留に関する規定では、国家の安全や社会の安定に危害を与える恐れなどがある場合、許可を取り消しまたは廃止すると定めている。許可を取り消し・廃止されると、最大で5年間は許可を再申請できない。

台湾在住中国人インフルエンサーの居留許可を廃止 武力統一の発言で

要するに、中国が台湾を侵攻して早く統一して欲しいという扇動動画をSNSにアップしたということです。これに対し、「台湾の対中政策を担う大陸委員会は13日、「武力統一」を吹聴する言論は言論の自由が保障する範疇(はんちゅう)にないとの見解を示した」。

「武力による台湾統一」の発言は「言論の自由」の範疇にない=大陸委員会

処罰対象者は、居留許可を廃止され期日までに強制退去させられ、今後5年は「家族呼び寄せ」名目での居留許可申請ができなくなります。

【関連】日本を貶めたいだけか?台湾武力統一を主張する中国人インフルエンサーの居留許可を廃止した台湾「対中警戒姿勢」を報じぬ日本メディア

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逆ギレのインフルエンサーに殺到する台湾の人々からの批判

強制退去処分を受けたうちの一人の女性は、「出発前に台北松山空港で記者会見を開き、台湾を離れるのは移民署の指摘を認めたからではないと強調。潔く台湾を離れ、今後、正々堂々と台湾に戻って家族とだんらんし、裁判所で正義を勝ち取ると訴えた」。

居留許可廃止の中国人女性、台湾を離れる

退去命令を受けてなお、武力侵攻を煽る言動はやめないということでしょうか。しかし、「会見には女性の夫も出席し、内政部に対し、処分を撤回し、家族を引き離さないよう求めた」ということです。当然ながら、台湾島内ではこれらの人々に対する批判が殺到しますよね。

インフルエンサーの中国人女性の居留許可が廃止されたのを受けて、台湾在住の中国人配偶者へのバッシングも起きている。対中窓口機関の海峡交流基金会は21日、大多数の中国人配偶者は台湾を支持しているとし、中国共産党の統一戦線に協力する少数のインフルエンサーの行為によって中国人配偶者全体への見方を変えることがないよう呼びかけた。

台湾、新たに中国人配偶者2人の居留許可を廃止 武力侵攻を主張する発言で

中国による「グレーゾーン」攻撃は日に日に激しくなっています。例えば、演習とみせかけて戦闘機や戦艦が境界線を越える、サイバー攻撃をしかけるなどです。それが、最近どれだけ頻繁に行われているかについて、以下、報道を一部引用します。

ウォールストリート・ジャーナル紙によると、中国は過去5年間、台湾に対するグレーゾーン行動を続けている。ほぼ毎日のように、中国軍機が台湾本島に向かって飛行し、中間線(台湾海峡を二分する非公式の境界線)を越えている。ほんの数年前には、そのような越境が数回あっただけでも大きなニュースになっていたが、いまや日常茶飯事となっている。

中国軍機は2021年に、台湾の事実上の防空識別圏(ADIZ)に972回侵入したが、2024年には3,000回を超えたという。それは、台湾の防衛体制に負担をかけ、台湾指導部に圧力をかけている。

2022年8月に、中国がナンシー・ペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問に抗議して大規模な軍事演習を行った際には、その月に中国機は台湾のADIZに446回侵入した。

中国の侵入飛行は回数、頻度、範囲ともに拡大を続けている。数年前には、中国軍機の飛行は台湾の南西部に集中していたが、2023年には台湾本島全周、さらに東側にまで拡大した。

中国は航空機以外にも様々な手段で台湾に揺さぶりをかけている。それには、軍艦や海警局船、調査船、漁船団、ドローン(無人機)などが含まれる。また中国は昨年、数10機の高高度気球を台湾本島の近くや上空に飛ばした。

また中国は、陸海空軍に加えてロケット軍のミサイル部隊を動員して大規模な演習を行うという挑発行動も確立した。2年半の間に大規模演習を5回実施し、台湾封鎖のシミュレーションを行ったという。

もはや日常となっているこうした台湾周辺での中国軍の示威行動は、台湾政府を消耗させて、戦う意欲を削ぐ狙いがあるとされる。

台湾に対してグレーゾーン行動を展開する中国

この報道によれば、中国人民解放軍内で汚職問題が広がっており、台湾を軍事侵攻できる状況ではなく、グレーソーン攻撃もこれ以上の軍事的攻撃は難しいのが現状だとのことです。

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他国へのグレーゾーン攻撃を画策しているヒマなどないはずの中国

そこで話を冒頭の台湾在住中国人インフルエンサーに戻しますが、彼女たちもグレーゾーン攻撃の一部なのではないでしょうか。台湾内でのフェイクニュース拡散や、サイバー攻撃もそうです。

このメルマガでも書きましたが、バルト海などで中国による海底ケーブル切断行為が認められたことから、グレーゾーン攻撃について各国が協力して対処法を協議しました。

日本とEUは、タイと連携して、今月25日から2日間の日程で、バンコクで、フィリピンやベトナムなど東南アジア5か国の海上保安当局者などがグレーゾーン事態への対応などを学ぶ研修を合同で開きます。

具体的には、領海に侵入した船に対しては事態の緊迫化を防ぐため、軍ではなく、海上保安当局が国内法に基づいて対応することの重要性や、海底ケーブルの損傷事案には国際法を適用して対処できることなどを学びます。

武力攻撃に至らない“グレーゾーン” 日本とEU 対応研修開催へ
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中国は、大卒の若者の就職難が続き、若者が未来を悲観して覇気をなくし、寝そべり族になっているなど、国内問題が山積しており、諸外国へのグレーゾーン攻撃を画策しているヒマなどないはずです。国内問題を直視し、解決に動けば、寝そべり族もいなくなるだろうし、中国人の海外逃避も防げるはずです。しかし、中国政府は国内問題から目を逸らし、執拗に諸外国へのグレーゾーン攻撃を繰り返すことに腐心しています。

日本だって対岸の火事ではありません。中国政府の攻撃性は変えることはできないのですから、せめて台湾のように、何かあれば即座にきっぱりと対処することが求められます。各国は協力して中国の姑息なグレーゾーン攻撃に備えて対処法を練っておくのが正解でしょう。

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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2025年3月26日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。

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2025年3月配信分
  • 中国グレーゾーン攻撃の実態と限界/日台絆の象徴、台湾の鉄道文化展が鉄博で開催(3/26)
  • 他国の主権を堂々と侵害する中国、我々の人権も危機に/いまこそ日本人は「蓬莱米の父」磯永吉の精神に学べ(3/19)
  • 台湾に学ぶ対中国人への危機管理とは/日台の絆をつなげる日本の球場で広がる台湾の食(3/12)
  • 世界で暗躍する犯罪組織「三合会」を裏で操る中国共産党/人気俳優の兵役逃れとトランプ時代のモラル低下と愛国心(3/5)

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2025年2月配信分
  • 中国の恫喝や誘惑を断固拒否するパラグアイの高貴さ/自国への批判を避けるために次々と台湾批判を繰り出す中国(2/27)
  • 【配信日変更のお知らせ…都合により明日の配信とさせていただきます】(2/26)
  • ヴァンス演説が示す欧州ポリコレの終焉と日本の危機/日米で強化、中国への台湾問題牽制(2/19)
  • トランプのUSAID閉鎖の意味を報じないメディアの罪/言葉巧みに騙して拉致する中国系犯罪集団に注意(2/13)
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  • 優しすぎる日本、図に乗る中国人/トランプ政権の復活で再燃しはじめた米中衝突(2/5)

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2025年1月配信分
  • 中国製AI「DeepSeek」ショックと深刻な危険性/春節の台湾に彩りを添える日本のイラスト(1/29)
  • 世界的に広がるDEI離脱、逆に推進する日本/中国共産党と中国人コミュニティ犯罪への懸念(1/22)
  • 台湾でも警戒され始めた石破総理の親中姿勢/海外犯罪組織で語られる「もっと日本人を騙そう」(1/15)
  • リベラルが退潮する世界、逆向きに進む日本/見えない攻撃を仕掛ける中国にすり寄る日本(1/8)
  • 頼清徳総統が台湾海峡危機を強調/世界も中国の台湾侵攻を警告(1/1)

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2024年12月配信分
  • 共産主義洗脳教育で育まれた大量の反日中国人が日本へやってくる/スピーディに民意を取り入れる台湾と日本の差(12/26)
  • 【配信日変更のお知らせ…編集の都合により明日(12月26日)の配信とさせていただきます】(12/25)
  • なぜ「安倍界隈」はリベラルに対する「反重力」が作用するのか/逮捕・起訴・裁判をめぐる警察・司法の劣化と日本の危機(12/18)
  • ポリコレに対する世界的な逆回転とオールドメディアの敗北/SNSが中国人の日本憎悪の元凶か(12/11)
  • 戒厳令失敗で従北政権誕生、韓国の反日が再激化する/媚中姿勢で台湾学生の激怒を再び招いた馬英九(12/4)

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