いま、XなどのSNSやYouTubeで「2025年7月5日」に大災害や人類滅亡に関する予言が出回っていることをご存知でしょうか。根拠となっているのは、2011年3月11日の東日本大震災を予知夢で予言していたとされる元漫画家・たつき諒氏の著作『私が見た未来』の表紙に描かれた「予言」です。今回のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』ではジャーナリストの上杉隆さんが、X(旧Twitter)でもトレンド入りした「2025年7月5日」に日本を襲うとされている大災害の「予言」について、複数回にわたって特別連載をスタートさせています。
【特別連載(1)】22025年7月巨大複合災害:日本沈没は都市伝説か? 現実か?
人類の歴史において、占術や予言はつねに深い関心を呼び起こしてきた。太古の昔から、人々は不確かな未来を読み解き、運命を掌握しようと試みてきたのだ。古代文明では、星々の運行を観察する占星術や、亀の甲羅に刻まれた亀裂を解釈する亀甲占いなどが行われ、運命の兆しを読み取る手段として重んじられた。
紀元前3000年頃のメソポタミアでは、天体の動きが地上の出来事と結びついていると信じられ、王の治世や戦争の行方を予測する道具として用いられ、のちのバビロニアの占星術につながった。一方、中国の殷王朝では、亀甲や獣骨に刻まれた神託が国家の重大な決定を導いた。これらは単なる迷信ではなく、当時の人々にとって現実を理解し、未来に備えるための「科学」でもあった。
時が流れ、中世ヨーロッパに目を移せば、ミシェル・ド・ノストラダムスの名が際立つ。16世紀のフランスで活躍した彼の予言集『諸世紀』は、曖昧かつ詩的な表現で未来を予見し、後世に多大な影響を与えた。彼の言葉はペストの流行や王の死を予告したと解釈され、今日に至るまで陰謀論や終末思想の源泉ともなっている。
日本も同様だ。一方、日本では近代に入り、出口王仁三郎が大正から昭和にかけて大本教を通じて霊的な警告を発し、岡本天明は「日月神示」で終末と再生のヴィジョンを示した。出口や岡本のビジョンは社会変革や戦争の予告を含み、当時の不安定な時代背景と共鳴した。予言が単なる個人の空想を超えて、社会の不安や希望を映し出す鏡であったことを示している。
こうした歴史を背景に、2025年の現代を見据えると、占いや予言への関心が再び高まっていることがわかる。科学技術が飛躍的に進歩し、AIが日常に浸透したこの時代においても、人々はなお未来への不確実性に苛まれている。気候変動、経済格差、政治的混乱といったグローバルな危機が背景にあり、SNSの普及によって情報が瞬時に拡散する環境が、予言ブームとも呼べる現象を加速させている。
タロットカードや占星術アプリが若者の間で流行し、Xなどのプラットフォームでは自称予言者たちがフォロワーを集め、時には具体的な日付を伴う終末予告が拡散する。2025年3月現在、この傾向は一過性のものではなく、むしろ新たな文化現象として定着しつつあるように見える。
とくに注目されているのが、2025年7月5日に起こるとされる「大災難」や「人類滅亡」の予言だ。この話題は数年前からYouTubeやメディアで大きな盛り上がりを見せており、都市伝説系チャンネルや人物がその火付け役となっている。
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X上で「2025年7月5日問題」がトレンド入り
たとえば、YouTubeチャンネル「うまだらビデオ」(@umaduravideo_)では、2025年7月5日の滅亡説をテーマに、「スフィンクスと歳差運動」を鍵として大洪水の到来を予測する動画が話題を呼んでいる。このチャンネルは、独自の視点で「なぜ誰もこれを言わないのか?」と問いかけ、水瓶座の時代が人類に破滅をもたらすと主張する。
一方、メディアでは、こうした終末論を扱ったコンテンツが視聴率を稼ぐトレンドとなっており、岡田斗司夫氏は著書『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』の中で、AIや評価経済社会の進展が個人の予言文化にどう影響するかを論じ、注目を集めている。また、X上では「2025年7月5日問題」がトレンド入りし、無名の予言者から著名なインフルエンサーまでがこの日付を軸に議論を展開している。
これらの現象は、現代人が抱える不安や期待が、具体的な「終末の日」として結実したものと言えるだろう。YouTubeチャンネル「世界の謎とロマン」では、歴史的予言と現代の科学データを組み合わせ、2025年7月の終末シナリオを視聴者に提示し、コメント欄は賛否両論で沸いている。一方で、こうした予言ブームを冷ややかに見る声もあり、メディア評論家の佐藤優氏は「終末論は不安定な時代に繰り返し現れる人類の習性」と指摘する。
今回の連載の目的は、私、上杉隆がジャーナリストの視点から、こうした予言ブームを客観的に検証することにある。歴史を振り返りつつ、現代の状況を俯瞰することで、なぜ人類は繰り返し予言に惹かれるのか、その心理的・社会的な根源を探る。
2025年7月の終末論がYouTubeやメディアでこれほどまで賑わう昨今、予言は単なる娯楽なのか、それとも混迷の時代における心の拠り所なのか。本連載は、この問いに迫りながら、過去と現在の交差点で人類の未来を考える一助となることを目指す。
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火付け役になった一冊の漫画
今回の2025年7月の予言ブーム(終末論)が巻き起こるきっかけとなったのは、漫画家・たつき諒氏が記した予知夢である。彼女の著作『私が見た未来』は、1999年の初版刊行時に「大災害は2011年3月」と表紙に記し、その12年後に東日本大震災が発生したことで「幻の予言漫画」として一躍注目を集めた。そして2021年に出版された『私が見た未来 完全版』では、新たに「本当の大災難は2025年7月にやってくる」という警告が加えられ、再び世間の関心を惹きつけた。
この予言がYouTubeやSNSを通じて拡散され、現代の終末論ブームの火付け役となったことは間違いない。しかし、その内容は果たしてどこまで信じるに値するのか。たつき氏の予知夢を細かく紹介し、過去の実績を検証することで、客観的な分析を試みてみよう。2025年の予言が単なる偶然か、それとも何らかの根拠を持つ予見なのか、まずはその核心に迫る。
たつき諒氏は1954年神奈川県ーーー(『上杉隆の「ニッポンの問題点」』2025年3月31日号 【特別連載(1)】2025年7月巨大複合災害:日本沈没は都市伝説か?現実か?【上杉隆とAIが徹底検証】より一部抜粋。この特別連載の二回目以降をお読みになりたい方は、ご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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