ネットやスマホも駆使する新しい形の「屋台経済」
現在の習近平主席は「実権」を失い、単なる「お飾り」となっています。人民解放軍の実権は、党中央軍事委員会副主席である張又侠陸軍上将が握っています。既に、習近平派の軍幹部は全て粛清されてしまいました。
政治部門は、長老を中心とする集団指導体制となり、習近平辞任後を見据えた主席後継者争いが深く静かに進行中です。こうした、内部での熾烈な暗闘をいっさい表に出さないところが、全体主義体制の怖ろしさです。
しかし、そうした言論統制が効くのは日本のマスコミレベルまでで、CIAや各国の諜報機関、そして「中国ウォッチャー」には、ほぼ「筒抜け」状態です。トランプ政権も全てを知っていますから、「余裕」で揺さぶりをかけて来るわけです。
そして、遅きに失した感はありますが、中国では「屋台経済」(流石に、そういう言い方は未だできませんが)復活の狼煙が上がりました。
お飾りと化した習近平主席には、もはやこれを潰す力は残っていません。それに、「輸出」へのパイプが徐々に絞め潰されつつある現在の経済情勢にあっては、「屋台経済」の復活は地味ではありますが、それなりに有効な対策の一手となるはずです。
すでに中国各地で行われているように、花火などのイベントを企画して、街中に屋台を並べるといったお祭り的消費の創出は功を奏しています。政府も手のひら返しで、伝統的屋台文化の後押しをするようになりました。
また、ネットが発達した現在では、「Eコマース(オンラインショッピング、ネットオークションなど)」や「フード・デリバリー・サービス」などを通じて、個人商店や零細中小企業がビジネスを展開し易くなっています。
これも新しい形の「屋台経済」なのです。
「地産地消」で地元の産品を活用した経済活動も「屋台経済」の特徴です。
さらに、「大学は出たけれど……」と暇をもてあましていた優秀な若者たちが「零細企業」を立ち上げれば、これまでの経済体制では切り捨てられてきた潜在的な力が顕在化するはずです。
本来、中国人民が秘めていた逞しさやしたたかさは、こうした「草の根経済」を活性化するのにピッタリな力となるのではないでしょうか。
そして、同じことはこの日本にも当てはまるような気がするのです。
トランプ氏が、というよりも、彼を支持している多くのアメリカ国民が望んでいることは、アメリカに「投資」が戻ってきて、アメリカの経済活動が活性化し、雇用が増え、給料が上がり、中産階級が復活し、かつてのアメリカの夢が手に届くように感じられる、そんな国を再建することなのです。
つまり、彼らは、名前だけの「自由貿易」や、ちっとも公平ではない「価格競争」、そして、ペテンに近い「グリーンエコノミー」などで利益を得るのは、国際金融資本家たちであり、ウォール街に巣食うギャンブラーたちであり、多国籍巨大企業であり、人口の1%にも満たない限られた人々だという現実を知ってしまったのです。
あるトランプ支持者が口にした「株価が上がったって、俺たちの生活はちっとも良くならない」という一言は、米国民が抱える多くの不満を象徴しています。
彼らは現代のグローバル化した金融資本主義に「NO!」を突き付けているのです。(次ページに続く)