「糖質ゼロ」「低糖質」「糖質オフ」──スーパーやコンビニでよく見る表示ですが、実際のところ何がどう違うの? と疑問に思ったことはありませんか。メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』著者で糖尿病専門医の江部康二先生は、毎日の食事で迷わないための、知っておきたい基礎知識として“表示の本当の意味”を解説しています。
糖質とカロリー表記の意味
Question
根菜類(じゃがいも、さつまいも、山芋、レンコン、里芋)は糖質が多いと認識していますが、ナスはどうでしょうか?
100g中糖質10g以下は低糖質だと思っているので、ナスも低糖質な野菜だと考えています。
江部先生からの回答
糖質含有量に関する表記には、糖質オフや糖質ゼロなど、いろいろあります。
皆さんも、糖質「オフ」と「ゼロ」は同じなのか違うのか、気になるところと思います。
今回は、低糖質、糖質ゼロ、糖質オフ、カロリーゼロ、カロリーオフなどの意味について調べてみました。
まず、低糖質ですが「低糖質」の法的な定義は、ないと思われます。
低糖質と表記されている商品をみると、例えばそれぞれのメーカーが、「当社では、100g当たり糖質5gまでを低糖質と表記しています」という風に書かれています。
なので各社によって低糖質の基準設定が違う可能性もあると思います。
以下は「健康増進法」の基準に則り、それぞれの表示基準を整理してみました。
<カロリー>
食品100ml当たり 5kcal未満:無、ゼロ、ノン、レス
食品100g当たり 5kcal未満:無、ゼロ、ノン、レス
上記基準を満たせば、『カロリー無』『カロリーゼロ』などと表示可能
食品100ml当たり 20kcal以下:低、ひかえめ、小、ライト、ダイエット、オフ
食品100g当たり 40kcal以下 :低、ひかえめ、小、ライト、ダイエット、オフ
この基準を満たしていれば、『低カロリー』『ロリーオフ』など上記表示可能。
<糖類>
健康増進法の「栄養表示基準制度」で糖類とは、「単糖類+二糖類、但し糖アルコールは除く」です。
単糖類にはブドウ糖、果糖などがあり、二糖類には砂糖(ショ糖)、乳糖などがあります。
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<糖類ゼロ>
チョコレートなどで、よく「糖類ゼロ」とうい表示があります。
具体的には砂糖、ブドウ糖、果糖が含まれていないという意味で、ほとんどの場合、「マルチトール」が甘味料として使用してあります。
マルチトールは糖アルコールの一種ですが、砂糖の半分から9割くらい血糖値を上昇させるという報告もあるので、糖質制限的には「マルチトール」はNG食材です。
とくに、糖尿病の症状が進んでいる人は、普通に血糖値が上がることが多いので要注意なのです。
つまり糖類ゼロという表示は、糖質制限的には、ほぼNGと考えた方がよいです。
<糖質に関する規程>
糖質の定義は「炭水化物-食物繊維」です。
糖質ゼロと糖質オフ。
(1)糖質ゼロ表示できる基準として、
「糖質ゼロ」:食品100gあたり0.5g未満の糖質。
「糖質ゼロ」:一般に飲用の液体では100mlあたり0.5g未満の糖質。
(2)糖質オフ表示できる基準として
「糖質オフ」:食品100gあたり5g以下の糖質。
「糖質オフ」:一般に飲用の液体では100mlあたり2.5g以下。
結論としては、
基本的に、「糖質ゼロ」「カロリーゼロ」なら、まず糖質制限OK食品です。
一方、糖質ゼロ表示でも、100gあたり、0.4g以下の糖質が含まれている可能性がありえることも知っておく必要があります。
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