国際社会で法の支配を維持するためには、強大な権力を持つ国に対しても、公平な法の適用を貫く姿勢が求められます。しかし、国際刑事裁判所(ICC)は、米国による制裁措置など、重大な圧力に直面しています。『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者の河合薫さんがICCの役割や米国による制裁の背景を整理するとともに、この言葉に込められた信念と、国際法の秩序を守るために求められる姿勢について考えます。
“Justice will prevail”(正義は勝つ)
2026年のノーベル平和賞に、南アフリカ出身の法律専門家で元国際刑事裁判所(ICC)判事のナビ・ピレイ氏が選ばれました。
「元判事」が選ばれた理由はピレイ氏の功績はもちろんこと、ICCと現トップ赤根智子所長に被害が及ばないことを考慮した、とも指摘されています。事実、米国はノーベル平和賞授与直後にICCに対する制裁を表明しました。
一方、ICCの赤根智子所長は声明で「独立性と公平性を保って法と証拠に基づいて行動し、重大犯罪の被害者のために使命を遂行し続ける」とし、ICCは「法の支配と国際法秩序の根幹に対する攻撃だ」と非難しました。
その上で、日本など加盟国に活動継続のための支援を要請したのです。
ICCのトップが「日本人女性」だったことで、日本でもこれらのニュースは積極的に報じられていますが、もし、そうでなかったら・・・・「私」たちは、他人事のように受け止めてしまったかもしれません。
そもそもICCとは、どんな組織なのか?
あまり知られてないように思いますので、紹介しましょう。
ICCは、オランダのハーグにある史上初の常設の国際刑事裁判所として2002年に設立されました。1945年に設立された国際司法裁判所(ICJ)が、国と国との紛争を扱うのに対し、ICCは「個人」を裁きます。
その対象は、集団殺害(ジェノサイド)、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略犯罪などで、犯罪の起きた国や容疑者の国が、自ら公正な捜査と裁判を行えない、あるいは行う意思がない場合に限って、ICCが対応します。
ICCが最初に判決を下したのは2012年、コンゴ民主共和国の武装勢力指導者ルバンガが主導した「子ども兵士の徴用事件」です。
15歳未満の子どもを軍隊・武装グループに徴用・募集し、敵対行為に積極的に参加させた罪を問われ、12年7月に禁固14年の量刑が言い渡されました。
23年3月には、ウクライナの子どもの不法な移送に関わったとして、ロシアのプーチン大統領に、24年11月にはガザでの戦争をめぐり、イスラエルのネタニヤフ首相らにも逮捕状が出されています。
この記事の著者・河合薫さんのメルマガ









