報道において、発言の一部を切り取ることで、読者に与える印象が大きく変わることがあります。米国で浮上した死刑囚の銃殺刑を公開する計画をめぐっても、トランプ大統領が処刑そのものを承認したことと、その様子を放映することを承認したかどうかでは、報道内容に違いが見られます。メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、ニューヨーク・タイムズの2つの記事を比較し、報道の表現や伝え方が読者の受け止め方にどのような影響を与えるのかを考察します。
米国、公開処刑についての報道
米国のピート・ヘグセス国防長官は、死刑を言い渡されたニダル・ハサン死刑囚について、銃殺刑の様子を「公開する」と表明しました。
「死刑を公開する」とはまるで北朝鮮のようです。
さすがに米国内でも論争が上がっています。
ニューヨークタイムズの10月9日の記事を見てみましょう。
記事抜粋
トランプ大統領は、大衆を魅了するスペクタクルが大好きだ。
14年間にわたりリアリティ番組に出演してきた彼は、大統領就任後も次々とショーを繰り広げてきた。
軍事パレード、史上最大規模の花火大会、さらにはホワイトハウスのサウス・ローンでのケージマッチまで。
今、彼の政権はまたしても前例のない公開イベントを計画しているが、そこには不気味なひねりが加えられている。
それは、銃殺刑の生中継である。
ピート・ヘグセス国防長官は保守系報道機関とのインタビューで述べた。
「人々がこれを視聴できるようにし、公開することを確実にする。なぜなら、こうした行為には深刻な結果が伴うことを人々が理解する必要があるからだ」
この案は、政権内の同僚の一部でさえも衝撃を与えたようだ。
J・D・ヴァンス副大統領は、生中継が行われるかどうかについて疑問を呈し、記者団に対し「それが実現するかどうかは分からない」と述べ、仮に実施されたとしても自分は視聴しないと付け加えた。
しかし、トランプ氏はこれを「断固として承認した」と語った。
解説
トランプ大統領が「公開処刑を断固して承認した」と記されています。
「スペクタクルショーが大好きなトランプ大統領が銃殺もショーにしようとしている」との文脈です。
しかしニューヨークタイムズの別の記者が翌日10月10日に書いた記事はちがいます。
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