マネーボイス メニュー

株価は予測不能。時間を味方にする長期投資こそ老後2,000万円問題の解決策=街

もし21世紀初めにドル平均法で米国株に毎月3万円の積立投資を行っていれば、1,940万円程になり老後2,000万円問題も心配無用でした。時間を味方としつつ、長い目で投資を継続することが大切です。(『億の近道』街のコンサルタント)

プロフィール:街のコンサルタント
20数年間を金融(主に証券)会社で過ごし、投資銀行業務や事業育成の業務を担当。「金融機関に籍を置く(安全な)立場で客観的なことを言うより、いっそのこと経営者と同じ立場で事業拡大のお手伝いを出来ないものか」と思い立ち、2005年春に証券会社をリタイアしてコンサルティング会社を設立。

2000年以降、株価は大きく動いた

21世紀に入り早くも21年が経ちました。ミレニアムで騒いだのが昨日のことのようですが、皆さんも小職も、誰もがちゃんと21年ほど歳を取っています(笑)。

21世紀に入ってから間もなく中国の経済力の増大と、米国のサブプライム融資の拡大に伴って興国の経済も盛り上がり、その後の2008年にはリーマンブラザーズの破綻、2011年には東日本震災、2016年には国民投票でブレグジットが決まり、2017年にはトランプ政権が誕生。目くるめく21年間でした。

この間の株式市場は、1999年末の日経平均株価が1万8,934.34円で、この年はITバブルが膨らみ、5,092.17円(約37%)値上がりした年ですが、その後2002年末までの3年間で8,578.95円へと約55%も値下がりしました。

その後にサブプライム・バブルを経験した後は一進一退というイメージでアベノミクスまで待たねばなりませんが、2013年からの超金融緩和策による円安とともに8年間の長期上昇相場に入りました。

実際には2009年3月の7,054.98がボトムとなり、2012年にかけて横ばいが続いた後に2013年からの上昇相場に繋がり、そして昨年末の日経平均株価が2万7,444円と31年ぶりの株価になりました。

売買される株数は減っている

特に2013年の57%高や2019年秋~20年の約33%高の時期は良く上がりました。ただし、2013年をピークとして徐々に売買高(売買された株数)は減ってきています。この間の売買代金が顕著に増えている状況にはありませんでした。

株価は上がっているのですが、足元10年間での売買代金のボトムは2012年の約273兆円。13年以降は概ね500兆円台前半から600兆円辺りで推移しています。つまり株価の値上がりは日銀買い入れなどで需給が締まっていた故と見ることもできます。

米国株に積立投資をしていれば、21年で資産2.5倍に

さて、年末のメルマガでは、あっという間の1年ですと書きましたが、20年間もあっという間と感じます。年初の投資メルマガで何を書けば良いのか?迷いましたが、在り来たりの内容をしつこく書きたいと思います。

もし21世紀初めにドル平均法で米国株に投資を始めていたと仮定すると、この約21年間で総額はおおむね積み立てた額の2.5倍ほどの額になっています。
※米国S&P500種ベースで、あくまでも過去の結果です。
※仮に毎月3万円を積み立てていたとすると1,940万円程になる計算です。

例えば2000年に30代だった方が積み立てNISAをスタートし、50代でこれくらいの純粋な金融資産があれば一先ず安心感があります。

これに加えて(少額で良いので)民間保険の積立や学資保険、会社勤めなら就業先のイデコや退職金制度もあれば「2,000万円問題」など心配ありません。

Next: 投資で老後不安は消える。しかし悪質な金融業者や詐欺が多すぎる



悪質な金融業者や詐欺が多すぎる

大事なことは、国がこれらの投資教育や環境整備を怠ったまま大手金融機関に仕事を丸投げした結果、荒稼ぎを本業とする金融機関の言いなりになり、大事な虎の子の生活資金まで減らしてしまう善良な国民が後を絶たないことです。

色々な投資雑誌にある通り、過大な民間保険への加入、投資とは言えない外貨建て保険の購入、EB債など(実は投資家メリットの薄い)仕組債の購入、投信や株式などによる頻繁な金融商品の売買(乗換えなど)。加えて悪質な金融業者による素人相手の荒っぽい手数料稼ぎ等々……。そして、それらに対する監督当局の呆れるほどの甘い対応。

つまり、業界の天下り先を維持したいために何十年にも渡り業界の悪弊を放置してきたため悪質な推奨販売や回転売買が止まらず、損を被った投資家が泣き寝入りとなっている現状です。

省庁間の権益争いで商品取引所が大阪証券取引所に加わるまで協議開始から10年以上も無駄にし、その間も投資家保護は置き去りでした。

こんなことを繰り返していれば「損した!」って話ばかりになり、余裕資金が預貯金に滞留する事態となりますし、今度はその預貯金が詐欺に狙われました。老後資金を失う程の詐欺にあっても取り返すのは容易では無く、一方の詐欺師は万が一捕まっても軽微な処罰で済む国ですから、これこそ悪循環です。

夕方に「ストップ詐欺被害。私は騙されない」というNHKの番組がありますが、高齢者へ注意を促す以上に、与野党を問わず立法府に居ることを忘れた連中を何とかしなければなりません。

地元和歌山の不動産を買い漁りIR誘致を狙ったり、観光業界からの献金を集めまくっている幹事長(広島の贈収賄事件やGOTOの元締)など政界に必要なのか?その一方で、対案も出せずに与党批判だけで生き延びようとする野党が必要なのか?

我々の1票はとても重要です。

投資は時間と共に

金融市場は数年前からゼロ金利(またはマイナス金利)という未踏の世界に踏み込んでいます。

マーケットを予測する事は専門家でもできません。長期の積立投資は何時からスタートするにしても時間を味方としつつ、長い目で投資を継続し、将来の生活にお役立ていただきたいと思います。

運用における長期計画を立てるためにも、今月は過去の市場動向、そして運用を振り返る大切な時期になると感じています。

【関連】Apple Carは今年9月発売が有力!アップル株の上値余地と大穴関連銘柄=栫井駿介

【関連】2021年「日経平均4万円」に現実味。今が世界コロナバブルの初動だ=矢口新

【関連】2021年にお金が増えるのはどんな人?コロナに打ち勝つ6つの資産防衛=午堂登紀雄

image by:EXZOZIS / Shutterstock.com

億の近道』(2021年1月7日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

億の近道

[無料 週3~4回]
個人投資家の方にも機関投資家並み、若しくはそれ以上の情報提供をするのが目的です。株式で「億」の資産形成を目指しましょう!我々マーケットのプロが導きます。各種コラムが大好評!内容に自信アリ。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。