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システム ディ Research Memo(1):新規顧客開拓とストック収益積み上げ進む。業績は過去最高連続更新の見通し

■要約

システム ディは業種特化型の業務支援ソフトウェアを開発し、パッケージ販売やクラウドサービスで提供している。学園ソリューション(大学及び私立高校・専門学校)、ウェルネスソリューション(スポーツ施設&文化・観光施設)、公教育ソリューション(公立の小・中・高校)、公会計ソリューション(自治体及び関連公共団体)、ソフトエンジニアリング(民間企業、公益法人、学校法人)、薬局ソリューション(調剤薬局)の6つの事業を展開しており、薬局ソリューションを除く5つの分野で業界トップシェアを握る。ここ数年はクラウドサービスにも注力しており、2020年10月期におけるストック型収入(クラウドサービス及び保守・サポート料)の売上構成比は47.5%と2017年10月期の26.5%から大きく上昇している。

1. 2020年10月期業績はコロナ禍において過去最高を更新
2020年10月期の連結業績は、売上高で前期比8.1%増の3,854百万円、営業利益で同35.7%増の727百万円と過去最高を更新し、会社計画(売上高3,722百万円、営業利益607百万円)に対しても上回って着地した。コロナ禍において、見込み顧客獲得の場となる各種展示会が中止となるなどその影響が懸念されたものの、従来取り組んできた高効率ビジネス※の更なる進展や、クラウドサービス等のストック収益の好調、交通費や広告宣伝費などの減少が増収増益要因となった。事業部門別では、コロナ禍の影響でウェルネスソリューション事業が減収となった以外はすべて増収となり、なかでも公教育ソリューション事業やソフトエンジニアリング事業は新規顧客の開拓により2ケタ増と好調に推移した。

※同社で開発するパッケージソフトは、販売時の導入支援に始まり、顧客要望に応じて機能追加やサポート提供を行っている。ニーズの多い機能に関してはバージョンアップ時に標準機能として組み込み、製品の高機能化・高品質化及び利便性の向上を図り、更なる顧客獲得につなげている。また、並行してストック収入となるクラウドユーザ及び保守・サポートサービスを積み上げている。こうした一連のビジネス展開を同社では「高効率ビジネス」と称している。

2. 2021年10月期は公教育ソリューション事業を中心に伸長し、増収増益が続く見通し
2021年10月期は売上高で前期比6.0%増の4,085百万円、営業利益で同6.3%増の773百万円と増収増益基調が続く見通しである。2021年10月期より売上高の計上方法について新収益認識基準※を適用することから、上期偏重型の収益パターンが平準化される見通しだ。事業部門別では、ウェルネスソリューション事業が引き続き低迷するものの、「GIGAスクール構想」をはじめとするデジタル化推進施策を追い風に公教育ソリューション事業の成長が期待されるほか、ソフトエンジニアリング事業も前期比2ケタ増収と好調を持続する見通しだ。

※2021年10月期より、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」等を早期適用した。例えば、1年間のサポート契約について従来は契約月に一括で売上計上していたが、新基準では12ヶ月間で月按分して売上計上していくことになる。

3. 年率10%成長の継続により営業利益10億円の早期達成を目指す
同社は中期戦略として、最新技術を取り入れた新規パッケージソフトの開発やクラウドサービスの提供を各ソリューションで順次展開し、顧客数の増加とストック収益の積み上げを図る。市場環境が不透明ななかでも安定的な成長を実現可能とする「強靭なシステムディ」の事業基盤を構築していく方針となっている。営業利益に関しては、年率10%成長により早期に10億円の達成を目指す。また、売上高営業利益率で20%(2020年10月期は18.9%)、ストック収入比率で50%(同47.5%)、累計顧客数で1万件(同7,955件)をKPIの目標として掲げている。特に、同社が高シェアを有する公教育ソリューション事業については、今後は文部科学省の方針によりDX化投資が活発化する見通しであることから、成長分野として注目される。

■Key Points
・2020年10月期業績はコロナ禍の逆境を跳ね返し、会社計画を上回る増収増益を達成
・2021年10月期はコロナ禍の影響を勘案し6.3%の営業増益予想だが、目標では10%程度の増収増益を目指す
・年率10%の利益成長を継続し、営業利益10億円の早期達成を目標として掲げる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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