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システム ディ Research Memo(5):公教育ソリューション事業、ソフトエンジニアリング事業が大幅増収(2)

■システム ディの業績動向

(4) 公会計ソリューション事業
公会計ソリューション事業では、地方自治体向けの新公会計用ソフト「PPP(トリプルピー)」※1や各種ソリューションを提供している。「PPP」は2000年に初期バージョンを開発し、2008年にリリースした「Ver.3」で複式簿記を簡単に実施できる機能を搭載し、以降、熟成を重ねながら導入自治体数を拡大してきた。現在は「Ver.5」を提供している。また、2018年6月には公会計活用システムで、言わば地方自治体の財務諸表分析に特化したソフト「創生」※2をリリースしている。

※1 「PPP」:自治体会計(現金主義・単式簿記会計)を発生主義・複式簿記にもとづいて公会計財務諸表と固定資産台帳を作成する機能を持ち、会計制度の新統一基準に完全対応したソフトウェア製品。
※2 「創生」:財務諸表や各種指標を用いて分析を行うための支援ツールで、経営計画シミュレーションや財政計画策定などで利用する。活用の視点から地方創生を支援するソフトウェア製品。

2020年10月期末の累計導入自治体・関連団体数は、前期末比74増加の1,077となっている。公営企業で導入が進んだほか、自治体向けについても2022年度末のサービス停止を発表した国策の競合製品(市場シェア約25%)からの切り替えが毎月数件ペースで出ていることが増加要因となっている。同事業の売上高は複式簿記導入に対応した新公会計用ソフトへのリプレイス需要一巡によって2017年10月期をピークに減収が続いていたが、顧客数の増加によって2020年10月期の売上高は前期比6.3%増の480百万円と3期ぶりに増収に転じた。

なお、「PPP」の対象顧客となる自治体数は全国で1,788、公共団体数は1,544ある。このうち、自治体向けに関しては800超、公共団体向けでは200超を導入しているものと見られ、自治体向けに関しては5割弱と圧倒的なシェアを占めていることになる。自治体向けの今後の導入目標としては1,000程度を掲げている。

(5) ソフトエンジニアリング事業
ソフトエンジニアリング事業では幅広い業種の民間企業や金融機関、公益法人、学校法人等に、文書・契約書等の管理システム等を提供している。具体的商品としては、「規程管理システム」や「契約書作成・管理システム」などがある。一般企業や学校法人、公益団体問わず、コンプライアンスやガバナンス強化のための支援ソフトとして高機能かつコストパフォーマンスに優れた同社製品が高く評価され着実に売上を伸ばしている。

2020年10月期の売上高は前期比20.2%増の244百万円と2ケタ増収が続いた。業務マニュアルや手順書の作成に最適な機能を多数搭載した「規程・マニュアル管理システム」が複数ユーザーに導入されたほか、大手企業グループ向けに「規程管理システム」を導入するなど、2020年10月期末の累計顧客数が前期末比62増加の484社・団体に増加したことが要因だ。そのほかにも、金融機関向けに特化した「規程管理システム金融機関版」や「総合文書管理システム(仮称)」の商談も進行中となっている。

(6) 薬局ソリューション事業・その他
薬局ソリューション事業は連結子会社のシンクが手掛けている事業で、小規模の独立系調剤薬局に対してレセプトコンピュータ(レセコン)の「GOHL2」/「OKISS」を中心に各種業務システムを提供している。2020年10月期末の累計導入顧客数は前期末比2店増加の1,228店となり、ここ数年はほぼ横ばい圏で推移している。売上高に関しては保守・サポート収入が安定的に推移したことに加え、医薬品過誤防止システム「GOHL PICKING」や薬歴情報システム「薬歴情報電子ファイル」などの既存顧客への導入が進んだことにより堅調に推移した。

また、同社製品によるソリューションビジネスを北海道で展開するシステムディ北海道(株)についても、既存大規模顧客への対応を行いシステムの安定稼働を図るとともに、道内での積極的な営業活動を進めたことで売上高は堅調に推移した。テナント収入も含めた2020年10月期の売上高は前期比1.3%増の76百万円となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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