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新興市場見通し:新年度入りで資金回転の改善見極め、IPOでは注目2社

今週の新興市場では、マザーズ指数が3月25日にかけて5営業日続落し、1100pt台に位置する200日移動平均線を再び割り込む場面があった。日経平均が週半ばにかけて大きく下落するなか、マザーズでも海外公募・売出し実施を発表したフリーを中心に主力IT株や直近IPO銘柄の下げがきつかった。ただ、週末26日には公募価格等が決定したフリーも急反発し、マザーズ指数は1200pt近辺まで値を戻した。なお、週間の騰落率は、日経平均が-2.1%であったのに対して、マザーズ指数は-2.6%、日経ジャスダック平均は-0.2%だった。

個別では、前述のフリーが週間で5.7%安となったほか、マザーズ時価総額上位ではメルカリが同7.3%安、マネーフォワードが同4.7%安と軟調。売買代金上位ではBASEやアンジェスが売り優勢だった。また、前の週に上場したi-plugやココナラは特に売りがかさみ、週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。一方、時価総額上位ではJMDCが同1.4%高となり、売買代金上位ではプレミアアンチエイジングが堅調。また、株式分割実施を発表したINCLUSIVEが上昇率トップとなった。ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズが同3.1%安、ワークマンが同2.8%安と軟調。売買代金上位ではシンバイオ製薬が売りに押され、メディアリンクスなどが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。一方、東映アニメーションは同2.3%高、セリアは同3.7%高と堅調で、好決算のオプトエレクトロニクスが上昇率トップとなった。IPOでは6社が新規上場し、ベビーカレンダーとジーネクストが公開価格の2倍を超える初値を付けるなど、いずれも堅調な出足だった。ただ、初値に前の週までの強さは見られず、市場予想に届かない銘柄も相次いだ。

来週の新興市場では、3月末の権利付き最終売買日を通過し、名実ともに新年度相場入りすることで、需給好転に期待したいところだ。株式市場全体として年度末の持ち高調整目的の売りが一巡することが見込まれるうえ、配当・株主優待等の権利取りに拘束されていた個人投資家の資金が再び新興株に流れ始めるとの期待もある。一方、今週までの下げがきつかった銘柄や初値後の株価が軟調なIPO銘柄が少なくなく、個人投資家の資金回転が改善してくるかはよく見極めたい。

そういった意味では、フリーの持ち直しが続くか、ココナラが初値水準を奪還してくるかなどが注目点となるだろう。株価トレンドこそやや厳しいが、割り負け感が一段と強まってきたマネーフォワード、好実態の直近IPO銘柄であるi-plugなどもリバウンド余地がありそうだ。なお、来週は3月31日にフィードフォースなどが決算発表を予定している。

IPO関連では、3月30日にスパイダープラスとAppier Groupがマザーズへ新規上場する。ともにマザーズIPOとしては公開規模がかなり大きいが、建築図面・現場管理アプリのスパイダーPはテレビCM等で一般の知名度も高まっており、Appierは台湾発のAI(人工知能)ユニコーン企業として注目を集めているようだ。なお、今週は再生可能エネルギー発電等のテスHD(4月27日、東証1部)の新規上場が発表されている。

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