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新興市場見通し:需給は着実に改善か、新興IT株に物色向かう環境に

今週の新興市場では、日経平均と同様にマザーズ指数、日経ジャスダック平均も週間ベースでおおむね横ばいとなった。ただ、マザーズ指数は週前半に日経平均の下落とともに売りに押されたものの、その後底堅さを見せ、週末の4月9日には日経平均が3万円近辺で伸び悩むなか終日堅調な展開となった。週半ば以降、マザーズの1日の売買代金は1400億円あまりとやや低調だが、徐々に売りが出にくくなって需給改善してきた印象を受ける。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.3%であったのに対して、マザーズ指数は+0.4%、日経ジャスダック平均は+0.2%だった。

個別では、ウェルスナビが週間で25.3%高とマザーズ上昇率トップ。時価総額でも6位に浮上した。その他時価総額上位ではJMDCが同5.7%高、BASEが同10.2%高と堅調。「まん延防止等重点措置」の適用拡大を受け、週末にかけてBASEなどのEC(電子商取引)関連銘柄が買われていた。また、売買代金上位では直近上場のスパイダープラスやココナラ、昨年12月上場のKaizen Platformが大きく上昇した。一方、メルカリは同0.4%安と伸び悩み。売買代金上位では直近上場のAppier Groupが週前半に売りに押され、AppBankなどが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力では、ハーモニック・ドライブ・システムズが同4.0%高、東映アニメーションが同6.9%高、セリアが同9.6%高と堅調。また、ソノコムなどが上昇率上位に、日邦産業などが下落率上位にそれぞれ顔を出した。IPOでは5社が新規上場し、このうちオキサイドが公開価格の約2.3倍という高い初値を付けた。その他は前の週までと同様にやや伸び悩んだ印象こそあるものの、過度に警戒ムードが高まることもなく、公開価格を上回るしっかりした初値形成となった。

来週の新興市場では、改めてマザーズ指数の一段の上昇、それに3月高値(1256.51pt、取引時間中)上抜けに期待したい。前述のとおり徐々に売りが減って底堅さを増しつつあるなか、企業決算の発表を前にした日経平均の伸び悩み、「まん延防止」適用拡大によるIT・インターネットサービスの見直し、米ハイテク株の堅調推移などと、新興IT株に物色が向かう環境になってきたと言える。ある程度売買が膨らんでくれば戻り待ちの売りもこなせそうだ。

注目されたオキサイドの上場を通過し、一時売られていたココナラやAppierがしっかりした値動きを見せ始めている。また、証券各社の調査開始をきっかけに見直し機運が出てきたAI insideやChatworkにも注目したい。なお、来週は4月12日にエヌ・ピー・シー、13日にマネーフォワード、SERIOHD、14日にウエストHD、ティーケーピー、UUUM、WACUL、グッドパッチ、バリュエンスHDなどが決算発表を予定している。

IPO関連では、4月13日に紀文食品が東証1部へ、15日にサイバートラストがマザーズへそれぞれ新規上場する。紀文食品は練りものメーカーとして高い知名度を誇り、公開規模も東証1部上場案件としては比較的小型。電子証明サービスなどのサイバートラストは個人投資家の物色人気に乗り、逆風下ながら初値を伸ばしてきそうだ。

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