松山英樹選手が日本人として初めてマスターズで優勝しました。ゴルフに注目が集まっていますが、日本のゴルフビジネスの未来は明るいとは言えないようです。(『海外投資とネットビジネスで海外移住、ハッピーライフ』栗原将)
ゴルフの暗部?「会員権」と「仲介ビジネス」
松山英樹選手のマスターズ優勝で、ゴルフが脚光を浴びています。
今回はあえて、日本ではあまり知られていないかもしれない、ダークな部分にも触れてみることにします。
それは、日本の「ゴルフ会員権」と、ゴルフ会員権業者と呼ばれている「仲介ビジネス」についてです。
都心に近い神奈川などのゴルフ場の会員権が、昭和バブル期には1億円を突破したところもあります。恐ろしいバブルでした。
当時は、あたかも公開株式のようにゴルフ会員権が投資対象として扱われていました。何せ、投資商品は何でも爆上げしていた時代ですから、そうなったのでしょう。
しかしバブル崩壊後、運営会社の倒産に伴い、多くのゴルフ場会員権が「紙くず」となったのです。
投資商品として不適格。投資家保護の仕組みがないゴルフ会員権
ゴルフ会員権の仕組みは、入会時にいわゆる預託金(100万円から1,000万円以上)を預かり、退会時(または10年間などの一定期間後)に償還するというものです。
倒産したゴルフ場の大部分の原因は、この預託金を早々に運転資金として流用してしまい、償還要求に対応できなくなってしまったことでした。
これが上場株式であれば、有価証券報告書など厳格に定められた資料が開示されます。
しかしゴルフ会員権の場合は、実質、何もありませんでした。あったとしても、ゴルフ場側が適当に“作った”決算報告、程度です。
公認会計士の監査もなく、粉飾も可能なものでしたから、多くが「突然倒産」みたいになったわけです。
そして、大半は倒産したものの、実はまだ“ゾンビ”ゴルフ場は存在します。
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日本のゴルフ場業界は前途多難
今はまだ生き残っているゴルフ場はありますが、正直、日本のゴルフ場業界に明るい未来があるとは考えられません。
例えばアメリカであれば、ゴルフ場を計画する際、ゴルフコースの周辺に宅地開発を行い、エリア全体の価値を上げていきます。
日本では、会員権を売り出しさえすれば「濡れ手に粟」のボロ儲けができましたから、真面目なビジネスとしての取り組みは極めて少なかったのです。
最初の取っ掛かりに大きな間違いがありますので、営利ビジネスとしてのゴルフ場は極めて厳しいでしょうね。
もともとは英国で貴族の遊びであったゴルフは、いわゆる社団法人系のゴルフコースみたいに、年間の運転資金を会員全員から会費という形で集めて、会員以外のビジター収入には依存しないのが本来の姿と思っています。
そこに日本流のバブリーな会員権ビジネスが展開してしまったのですが、これは毒薬でしたね。
『海外投資とネットビジネスで海外移住、ハッピーライフ』(2021年4月13日号)より
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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