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新興市場見通し:新興IT株に「実態選別」の洗礼?IPOは6月分発表

ゴールデンウィークの連休前後の新興市場では、マザーズ指数の軟調ぶりが目立った。5連休前は買い持ち高の調整とみられる売りが優勢。連休が明けると米国株の好調ぶりから日経平均も上昇したが、株式市場全体として景気回復やインフレ増進を見越した投資資金のシフトが見られ、マザーズ銘柄には積極的な買いが入りづらかった。さらにAI insideの急落も重なったことで、今週末にかけては主力IT株に売りが広がった。なお、4月26日から5月7日までの騰落率は、日経平均が+1.2%であったのに対して、マザーズ指数は-4.1%、日経ジャスダック平均は+0.4%だった。マザーズ指数は終値としては3月10日以来の安値を付け、今週末の取引を終えている。

個別では、前述のAI insideが当該期間で半値以下に急落。大口販売先のライセンスが更新されない見込みとの発表を受け、連日でストップ安を付けた。マザーズ時価総額上位でもフリーが同13.8%安、BASEが同14.8%安と大きく下落。フリーは今週末にかけて値を崩し、年初来安値を更新した。メルカリは決算を受けて買われる場面もあったが、結局同3.4%安となった。一方、マネーフォワードはやはり今週末にかけて値を消したが、同2.5%高とプラスを確保。3月上場のブロードマインドが人気化し、GMOメディアやアズームは決算を受けて急伸した。ジャスダック主力では、ワークマンが4月の売上好調で同2.7%高。決算・業績修正銘柄ではnmsHDなどが賑わった。ただ、ハーモニック・ドライブ・システムズが同1.2%安、日本マクドナルドHDが同1.0%安となるなど、主力銘柄は全般にやや軟調。イメージ ワンなどは利益確定売りがかさみ大きく下落した。IPOでは、4月27日にテスHDが東証1部へ新規上場し、公開価格を2割弱上回る初値を付けた。

来週の新興市場では、マザーズ指数の自律反発に期待した買いが入る場面もあるだろうが、復調までは期待しづらいかもしれない。米国で金融緩和の長期化が改めて意識されているのは支援材料となるが、経済活動の再開で先行するその米国では主要企業が従業員のオフィス復帰を促し始め、またAI insideの急落に絡んでIT企業の強調する「リカーリング(継続)収益」の定義に疑問を呈する向きも出てきた。「社会のデジタル化」が大きく後退するとは考えづらいものの、新興IT株はより実態に即した丁寧な選別が必要になってきそうだ。

来週は、5月10日にセリア、ワークマン、11日にBASE、12日にAppier Group、フリー、13日にマクドナルド、プレイド、JMDC、東映アニメーション、弁護士ドットコム、14日にハーモニック、ウェルスナビなどが決算発表を予定している。新興市場でも600社以上の決算発表が控えており、銘柄選別の動きを一段と強めるだろう。

IPO関連では、メイホーHD(6月2日、マザーズ及び名証セントレックス)など3社の新規上場が発表されている。ワンダープラネット(6月10日、マザーズ)は「クラッシュフィーバー」などのスマートフォンゲームを国内外で展開し、知名度が比較的高いようだ。テスHDからメイホーHDまで1カ月あまりIPO休止期間となる。

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