マネーボイス メニュー

東京五輪を敢行し玉砕する日本。「反対7割」声届かず、なぜ我が国は現実逃避を好むのか=山崎和邦

東京五輪は国民の7割が開催しないほうがよいと思っている。だが、近年の歴史で見ても、日本は責任者が不明確のまま第二次大戦に突入していった。このままなし崩し的にオリンピックは開催されるだろう。止めるとしたら小池都知事だけか。(「週報『投機の流儀』」山崎和邦)

【関連】東電株は超長期で大暴騰へ。「脱炭素」は原発再稼働の呪文、経産省の狙いは売却益=山崎和邦

※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2021年5月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

まるで第二次大戦直前の日本

「誰が考えてもやらない方がいい。どういうやり方をしても失敗に終わることが事前にわかっていながら、誰も止めることができなかった」……これは第二次世界大戦であり、戦艦大和の出撃である。

山本七平に言わせれば「空気」が決めたという。日本は空気で決まるという。菅首相は、五輪の決行か中止かの決定権はIOCにあると言っている。

IOCバッハ会長は「日本国民の皆さんは色々な苦難を立派に乗り越えてきた経験がある。今度も立派に乗り越えて五輪をやるだろうと思う」(テレビで見た字幕の通りに書いた)と言っている。

一体、誰が決めるのか。

五輪に関係する橋本・丸川・小池の3人の女性は、筆者が思うに丸川・小池は目立ちたがり屋で国民や都民はどうでもよく、目立つことばかり一生懸命やっている人だ。特に小池は目立つことが好きで、またその才能もある。オリンピックを利用して、何とか大いに目立って国政に参加する野心を実現するために何か画策するに違いない。

例えば、小池がみんなの前でオリンピック中止を宣言して泣いて見せれば、それは印象に残る。エジプトの官僚に賄賂を渡してピラミッドにのぼらせてもらって、和服に着替えて写真を撮った。和服でピラミッドにのぼるという写真を出して、本にもした。都知事選の前に石原伸晃に喧嘩を売って「組織と個人の戦いをご覧あそばせ」と言って注目を浴びた。小池も黙っているはずはないと思う。

ところで、オリンピックについてどう思うかというと、共同通信社のアンケートによれば、「中止すべきだ」が約40%、「再延期すべきだ」約35%である。誰が考えてもどうやってもうまくいかない、ということはみんながわかっている。

それでも第二次大戦は始まった。それでも戦艦大和を出撃させた。それでも沖縄戦は戦った。同様にオリンピックも決行してしまうのが日本国の意志決定だ。

まして菅総理だ。空気に流され、空気で決まる。菅総理こそ、その適役である。

そして後になって、金メダリストも銀メダリストも「世界の一流選手が参加していない中でとったメダルだから、本物のメダルではない」などと言われる。

結果的には失敗に終わる。

ところが、日本はその失敗から学んだ。だが、学ばせたのはGHQだった。オリンピックの問題ではIOCはGHQのような権力は持たない。その指導力もない。

Next: 止められるのは小池都知事だけ



止められるのは小池都知事だけ

五輪は決行される。そして失敗する。首相はバッハ会長が決めると言い、バッハは日本国民が決めるという。止められるのは、小池百合子の目立ちたがり屋の行動あるのみ。

五輪は決行される。失敗とわかっていても誰も止められないのが、日本国の意思決定方式だ。

第二次大戦の開戦、戦艦大和の沖縄戦への出航、こういう形で失敗するとわかっていながら、誰も止められない。結果、突き進む。結果は予想通りの失敗、そして失敗から学ぶのだ。それが日本国の近代以降の意思決定方式だった。

今、保守系で五輪を止められる者は、小池百合子知事しかいない。彼女は都民のために何も働かず、目立つことが好きで目立ちたがり屋の才能を発揮してきて今日を得た。出自の胡散臭さ、学歴の胡散臭さ、エジプト官僚にワイロ渡してピラミッドに上って和服に着替えて「日本女性、和服ピラミッドに上る」と大騒ぎして見せて目立った、その能力はたいしたものだし、行動力はもっと優れてはいる。

だが全部、目立つための工夫であった。擦り寄った男性は、小沢一郎氏以外は全部総理大臣になった。男を見る目も優れている。安倍さんに擦り寄らなかったのが最大のミスだったが、その代わりに石原伸晃と喧嘩をやって見せて「個人対組織の闘いをご覧あそばせ」と目立つことをやって注目を引いて、喧嘩は見ていて面白いから注目を浴びた。そして都知事になった。その彼女だけが五輪を中止できる。

さめざめと泣いて見せて都民のために……と泣いて五輪を中止させる、これは絵にはならないが見せ場にはなる。斯くて大いに目立って見せ場を作り、「都民と国の安全を都知事の政治生命を賭して守った」とされて「伝説の都知事」となって次の次の総理を狙う。このミエミエが実現するようなら日本の将来はない。

以下は報知新聞より。

米有力紙のワシントンポスト(電子版)は5日のコラムで、コロナ禍の中で東京五輪の強行開催を推進する国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長を「ぼったくり男爵」とこき下ろし、大会の中止を提言した。

同紙では、日本の世論調査で7割以上が中止・再延期を求めている現状や、大会に向けて多くの医療従事者を必要とすることが非難をされているのを取り上げ、「世界的大流行の中で国際的なメガイベントを主催することは不合理な決定」と批判した。強行開催の「主な理由は金だ」と指摘し、「開催国を食い物にする悪癖がある」とIOCをバッサリ。「五輪のキャンセルは苦痛だが、スッキリする」と結んだ。

Next: 世界の実験台である日本なら、大失敗のオリンピックもやりうる



世界の実験台たる日本

日本の地政学上の難しさは今に始まったことでない。この150年間、日本は近代史・現代史における壮大な実験国(被実験国)の立場にあった。これは筆者の友人で元ジャーナリストの見識である。彼が言うには、原爆の被実験国であった。非白人で国際連盟に加盟した。第二次大戦で16ヶ国の連合国と戦った。

そこで筆者が調子にのって付け加えた。古い順に言えば、明治維新で欧米の列強は、簡単には植民地にできない国だということを知った。そしてその37年後には世界最大のバルチック艦隊を1日で壊滅させた。そして敗戦の前年にブレトンウッズ体制が成立し、翌年からその実験国として日本がグローバリズムの中に置かれた。

そして焼け野原から23年後にはGDPでイギリス・ドイツ・フランスを抜いて、アメリカの次になってしまった。失われた20年というものを平成バブルによって体験させられた。

実験台としての日本は今、対中国の最前線に立たされて、しかも貿易では最大の顧客である中国とどう対峙するか・どう協働するかという難題に向かっている。

中国は、アメリカなどと言う二百数十年の歴史しかない成り上がり国家に対して何層倍の誇りを持っているはずだ。漢民族の復権・漢文化の復権・軍事力で世界を制覇する、こういうものを持っている。以上は、筆者の友人でジャーナリスト出身の人の意見と筆者の意見を混ぜたものである。

鄭和艦隊のことは、以前から中国の一帯一路の話が出るたびに当メルマガでも触れてきた。彼も鄭和艦隊のことについて筆者以上に詳しく、アフリカまで行ったことは筆者も述べたが、そこからキリンを生け捕ってきて帰国して珍しがられた話や鄭和将軍は白人とのハーフだったいう話などを初めて聞いた。

オリンピック決行、そして失敗。これも「空気が決める日本の国家意思」についての現代史上の壮大な実験になろう。

続きはご購読ください。初月無料です

■ 第1部;当面の市況
(1)当面は「三角保合い圏内」か?
(2)商品市況の高騰を追い風にしたオールドエコノミー株が何年ぶりかの新高値
(3)NYでハイテク株が売られる理由と物色の矛先について
(4)NY、「カラバコ」上場にSECが強烈な規制──バブル期の最たる現象
(5)当面の市況
(6)決算発表が本格化すると市場の顔は変わる
(7)ワクチン接種の最後進国たる日本の株
(8)日経平均の「下値限界2万8000円」という説
(9)中長期の見方:“Sell in May.”
(10)バフェット氏、米経済回復の継続を見込む

■ 第2部;中長期の見方
(1)「オリンピック・パラリンピックはやるか?」筆者はやると思う
(2)五輪は決行される。そして失敗する。首相はバッハ会長が決めると言い、バッハは日本国民が決めるという。止められるのは小池百合子の目立ちたがり屋の行動あるのみ
(3)「世界の実験国(被実験国?)たる日本」
(4)習近平にとってトランプより遥かに怖いバイデン 
(5)対中包囲網づくり
(6)バイデン政権は売買益に厚く課税する方針、レーガン以降初めてのことに着手
(7)「相場の強さを証明したアルケゴス事件」
(8)FRBの使命に重大な、かつ余計なものが一つ加わった。そこで「FRBを悩ますトリレンマ」というものが生じた
(9)「今はバブルか?」

■ 第3部;株価は景気循環に先行し、経済の実相に先行する。
その株価を見て景気・経済を読み、先回りして成功した著名な10の事例
(1)代表銘柄の天井圏を見て売り抜けて成功した田中貴金属創業者の事例 
(2)投機家の株式投機の利益が日本の電力会社を生んだ福澤桃介の好事例 
(3)NY株株価の異常高騰を見て、世界恐慌を事前に避け得た4人の著名人の事例 
(4)世界恐慌を事前に避け得た4人の著名人-事例その2 
(5)世界恐慌を事前に避け得た4人の著名人-事例その3 
(6)世界恐慌を事前に避け得た4人の著名人-事例その4 
(7)ベンチャーキャピタルの先進国のアメリカの株価を見て学んだ故今原禎治元ジャフコ社長の事例
(8)「含意」を重視して成功した企業創業者の事例 
(9)極東証券創業社長の事例 
(10)合同証券創業社長の事例 
※これらの項目は有料メルマガ購読者限定コンテンツです →いますぐ初月無料購読!

<初月無料購読ですぐ読める! 5月配信済みバックナンバー>

※2021年5月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。

2021年5月配信分
  • 山崎和邦の投機の流儀vol.466(5/9)
  • ★★★ 2021年5月分一覧 週報『投機の流儀』-PDF形式-(5/9)
  • 山崎和邦の投機の流儀vol.465(5/2)
  • ★★★ 2021年5月分一覧 週報『投機の流儀』-PDF形式-(5/2)

いますぐ初月無料購読!


※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2021年5月9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

【関連】2021年の不動産市況を大予測!マイホームは“買い”か“待ち”か=姫野秀喜

【関連】高額落札が続出。日本はデジタル資産「NFT」革命の大波に乗れるか=鈴木傾城

image by:Everett Collection / Shutterstock.com

山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2021年5月9日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

山崎和邦 週報『投機の流儀』

[月額1,500円(税込) 毎週日曜日(年末年始を除く)]
大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。