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新興市場見通し:75日線水準回復も追い風続くか注視、IPOは来週も2社

今週の新興市場では、マザーズ指数が週を通じて上昇し、1100pt台に位置する75日移動平均線水準に到達した。かねて米金利動向などとの連動性が見られるが、金利低下・グロース(成長)株買いの流れが新興株にとっても安心感につながったようだ。また、日経平均のもち合い継続で短期の値幅取りを狙った物色が新興株に向いたと考えられるほか、マネーフォワードが東証1部への市場変更を発表したことで、主力SaaS(クラウドサービス)企業の昇格期待が高まったことも買いを誘った。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.0%であったのに対して、マザーズ指数は+5.6%、日経ジャスダック平均は+0.7%だった。

個別では、前述のマネーフォワードが週間で21.2%高となり、株式分割考慮後の上場来高値を大きく更新。これにつれてフリーは同15.7%高となった。その他マザーズ時価総額上位もメルカリが同4.5%高、JMDCが同7.3%高と全般堅調。また、ケアネットの賑わいが続き、週間のマザーズ上昇率トップとなった。時価総額も1000億円の大台に達した。一方、ウェルスナビが同2.5%安となり、アンジェスも売り優勢。また、ハウテレビジョンなどが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力は、ワークマンが同5.5%高、ハーモニック・ドライブ・システムズが同5.0%安と高安まちまち。売買代金上位ではシンバイオ製薬の買いが続く一方、フェローテックHDは利益確定売りに押された。また、ファブリカコミュニケーションズなどが週間のジャスダック上昇率上位に、アクセスグループ・HDなどが下落率上位にそれぞれ顔を出した。IPOでは6月10日に2社が新規上場し、テンダの初値は公開価格の2倍となった。ワンダープラネットは6割高となる初値を付け、その後大きく上昇した。

来週の新興市場では、そろそろ戻り待ちの売りも出やすい局面となるかもしれない。経済活動再開への期待が高まる場面ながら、主力IT株への買い意欲が根強いことは再確認できた。IPOのブックビルディング(BB)が多数進行している影響も、銘柄選別のうえでBB参加する傾向が見られ、巷間言われるほど感じられない。しかし、マザーズ指数は日経平均同様に75日線水準を回復し、5月前半の下落分をほぼ埋めた。追い風となっている米金利低下も、6月15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で目先一服する可能性がある。

来週は、6月14日にGA technologies、プレミアアンチエイジング、ブシロードなどが決算発表を予定している。Pアンチエイジは昨年10月の上場以降、業績上方修正とともに株価が大きく上昇。ブシロードはコロナ禍の影響を受けつつも新作ゲームの貢献などで上期営業黒字を確保しており、イベント規制緩和による一段の業績回復が期待されている。

IPO関連では、6月16日に全研本社、18日にEnjinがマザーズへ新規上場する。ともに公開規模にはやや荷もたれ感があるものの、事業内容・成長性などから投資妙味は大きいとみられ、関心が高まっているようだ。また、今週はラキール(7月16日、マザーズ)の新規上場が発表されている。

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