マネーボイス メニュー

出光興産、通期のセグメント利益は前年比+1,265億円 原油価格上昇による在庫影響の改善等から黒字転換

決算サマリー①

酒井則明氏:酒井でございます。それでは、資料に沿いまして、ご説明を申し上げます。まず、2ページはサマリーの1枚目でございます。2020年度の決算は在庫影響、または燃料油セグメントでのライムラグの改善などが寄与して、営業プラス持分で1,003億円となりました。

また、今期は、この表にはございませんが、特別損失としてNSRPに対する貸付金の評価損を計上いたしました。当期利益は349億円、前期から579億円の増益となりました。

配当につきましては、その下に記載のとおり、前回公表どおり期末配当60円、年間120円の配当とします。

決算サマリー②

サマリーの2枚目をご覧ください。2021年度の業績見通しでございます。資源価格の回復、またはコロナ影響の緩和等々から、営業プラス持分で1,400億円、当期利益で850億円と、前年比約500億円の増益を見込んでおります。

株主還元につきましては、2022年までの3年間に向けて、総還元性向50パーセント以上、そして、配当は1株あたり120円という方針といたします。したがいまして、2021年度の配当予想は記載のとおり年間120円としております。

トピックス(2020年度)

4ページのトピックスをご覧ください。2020年度について、3点記載しております。コロナウイルスの感染影響、感染拡大の影響ということで、燃料油をはじめとしまして各機動部門は年間を通じて影響があります。

ベトナムのニソン製油所につきましては、稼働は安定操業を継続しております。収支につきましては、概ね当初の予想どおりで着地をしたという状況でございます。

また、先ほど申し上げました長期貸付金の評価損を今回計上して、181億円となりました。この結果、私どもがNSRPに対して持っておりますエクスポージャー、そこに出資金・貸付金と書いてございますが、こうした残高は減少いたしました。

資本準備金についても記載しております。今後の株主還元政策に対して、柔軟性・機動性を高めることを目的としまして、資本準備金の額を減少し、その他資本剰余金に振り替えることを鑑みまして、来月の定時株主総会に上程させる予定です。

事業環境

5ページをご覧ください。これは事業環境ということで、いつものとおり、原油、石炭価格、また為替の推移をグラフでお示しをしております。

決算概要

6ページ、決算概要です。冒頭でイメージはご説明いたしましたが、その表の中にありますとおり在庫影響が大きく改善をいたしました。一方で、持分法投資損益のマイナスは拡大をしております。この拡大部分の約半分程度はNSRPによるものでございます。

また、特別損益については、2020年度はマイナス438億円となっておりますが、これも先ほど申しましたNSRPに対します貸付金の評価損、または資源関連の減損などによるものでございます。こうした結果、2020年度は減収増益の決算となります。

セグメント別情報①

7ページに、セグメント別の数字をお示ししています。

セグメント別情報②

8ページには、同じく、主な増減内容をチャートでお示ししています。

セグメント別情報③

私からは、9ページ以降、それぞれのセグメントのポイントについて申し上げます。9ページは燃料油でございます。左の棒グラフ、これは主要4品の販売数量でございまして、第4四半期はほぼ前年並みとなりました。ただ、通期では94.6パーセントという数字になっております。

右の折れ線グラフは、同じく主要4品のマージンを示しております。2020年度は、前年対比でプラス2円40銭、リッターあたりプラス2円40銭。これは、原油の上昇局面に受けますタイムラグによるものでございます。これがチャートの中のプラス820億円を示しております。

あと、その他ということで、シナジー、自家燃他ということでプラス508億円でございますが、簡単にここは内容を申し上げますと、シナジー効果でプラス131億円。関係会社の増益でプラス108億円です。

自家燃コストの減少でプラス180億円。経費減少でプラス217億円です。また、連産品でプラスの160億円ですが、持分損益ではマイナスの84億円です。そして、JETの数量減少等でマイナス190億円といった内容になっております。

セグメント別情報④

基礎化学品セグメントでございます。前年比マイナス85億円となっていますが、この表のとおり、コロナ影響等によりまして、マージン縮小等による減益ということでございます。

高機能材は前年比マイナス154億円です。この影響も、大半は記載のとおりコロナ影響によります潤滑油の減販によるものでございます。そして、電力・再エネセグメントは前年比マイナス168億円でございます。

主なものは、JEPXの市況高騰です。昨年年末から1月の中旬にかけまして、一時的に高騰いたしました。この調達コストの上昇による影響でございます。また、コロナ影響として、ソーラー事業でも減益が発生をしております。

セグメント別情報⑤

11ページでございます。左が石油開発、棒グラフが生産量、そして折れ線グラフがブレント原油の価格の推移を示しております。生産量は前年を大幅に上回りましたが、価格は前年を大きく下回りました。その結果、前年比マイナス110億円となります。

右が石炭でございまして、同じく棒グラフが生産量、折れ線グラフは一般炭の推移を示しています。石炭は、生産量、価格ともに前年を下回りました。その結果、マイナスの260億円となっております。

財務状況

12ページで、財務状況をお示しをしております。左の下の総資産は3兆9,544億円と、前期末よりも675億円の増となりました。

また、右の中段あたり、株主資本のところでございます。当期利益は349億円ございましたが、配当金の支払い等で、前期末に対しましてプラス9億円の増に留まっております。有利子負債、それから自己資本比率の数字は右下のとおりでございます。

キャッシュフローの状況

13ページにはキャッシュ・フローの状況について、数字を示しております。投資活動のところにございますように、資源事業やソーラー事業などへの投資などで、1,000億円を超えるキャッシュアウトがございました。

営業キャッシュフローは1,700億円となりまして、借入金の返済、または配当金の支払いを行ったというかたちになっております。

2020年度の主なESGトピックス

14ページをご覧いただきますと、2020年度のESGに関するトピックスを並べております。中でも、真ん中の社会面にございます「サステナブル調達ガイドライン」ですとか「人権デューデリジェンス」といった、これまでとは違った新しい取り組みを、2020年度には行っております。

トピックス(2021年度)

それでは、2021年度の業績見通しに関してのご説明を申し上げます。15ページ、トピックスを2点書いております。

コロナウイルスの影響ということで、その表にお示ししておりますとおり、燃料油主要4品とJET燃料の販売量の見通しを掲載しております。まだ、今後の状況というよりは、不確定な部分はございますけれども、徐々に回復傾向に向かうという前提を持っています。

また、ベトナムのニソンについて、稼働は続きますが、海外の製品市況、シンガポールの製品マーケットも徐々にではございますが、改善をしてまいりました。

ニソン製油所の経費削減努力ですとか、そういった諸々から前年に比べますと、2021年度は収支が改善する見通しでございます。加えまして、冒頭申し上げました2020年度に評価損を計上しましたので、2021年度のNSRPの持分の損失、これと相殺されるというかたちになります。

業績見通し概要

16ページが、見通しの概要でございます。原油、石炭価格、為替レートの前提はこちらにございます。今回、指標原油を前提は60ドルと設定をいたしました。

損益計算書は営業プラス持分で1,400億円、当期利益で850億円、また、持分法投資損益が、前年対比で大きく改善をしております。これはNSRPの改善によるものでございます。

また、特別損益も前年から大きく改善しておりますけれども、これは前年にNSRPに対する貸付金評価損、または資源の減損などを計上したことによるものでございます。こういうことで、2021年度は増収増益の業績見通しにしております。

セグメント別情報⑥

セグメント別情報です。

セグメント別情報⑦

18ページにチャートをご用意いたしました。

セグメント別情報⑧

それぞれのセグメントのポイントでございますけれども、19ページと20ページで、ご説明いたします。

19ページ、まず燃料油でございます。スライドにございますように、販売量が徐々に回復を見込んでおります。主要4品で約50万キロです。

一方で、マージンは、前年度はタイムラグプラスの要素がありました。こうした反動から、2021年度は若干マージンについては縮小という見通しでございます。結果、前年比マイナス107億円と見ております。

基礎化学品は前年比プラス66億円としておりますが、特にパラキシレン、キシレンなどのマージンが拡大するということでございます。

高機能材につきましてはプラス30億円ですが、これは主に、潤滑油におけます販売の改善、これによる増益でございます。

セグメント別情報⑨

20ページは、電力・再エネのセグメントでございます。前年比プラスの113億円です。先ほども申し上げましたが、前年の第4四半期にJEPXの市況が高騰しました。

主に、前年度にこのような大きなマイナスがございましたので、その反動等を見込みまして、電力・再エネはプラスの113億円と見ております。

石油開発では、まずベトナムガス田の生産等が増えるということで、昨年11月に生産を開始いたしました。これが通期で効いてきますので、こうした生産増、またはブレント価格の上昇等によりまして、前年比プラス262億円と見ております。

石炭は生産数量が回復をしている途中でございます。前年は天候不良等、生産減少がございました。価格につきましても、一般炭価格が上昇していくということから、前年比プラス90億円と見ております。

投資の状況(20年度投資実績、21年度見通し)

21ページは、投資の状況をお付けいたしました。2020年度の実績と2021年度の見通しでございます。2021年度は、大きく増えるのは、燃料油の維持更新のための投資によるものです。

戦略投資につきましては、電力・再エネのメガソーラーですとか、高機能材では潤滑油、または機能化学事業での海外投資、その他としましては、リチウム関連等々です。

資源も380億円と、戦略投資がございますが、ベトナムのガス田を中心に、既存の石炭ではブラックペレットなどへの投資を行っています。

財務状況(2021年度バランスシート、キャッシュバランス)

最後に22ページ、財務状況でございます。これまで申し上げました2021年度業績見通しと先ほどの投資の状況、また、株主還元方針等に基づきまして、バランスシートとキャッシュバランス、それぞれお示しをしておりますので、参考までにご覧いただきたいと思います。私からの説明は以上です。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。