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新興市場見通し:中小型株物色は活発だが短期割り切り?IPO今週2社

今週の新興市場では、マザーズ指数が下落、日経ジャスダック平均が上昇と高安まちまちとなった。国内外で新型コロナウイルス感染拡大や経済減速への懸念がじわりと広がるなか、個人投資家による好業績銘柄を中心とした中小型株物色はまずまず活発だった。日経レバレッジETFの利益確定で得た資金などを中小型株に向けたようだ。しかし、マザーズでは特に成長期待の高い直近IPO銘柄に物色の矛先が向き、指数組み入れ前とあって押し上げに寄与しなかった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.2%であったのに対して、マザーズ指数は-0.8%、日経ジャスダック平均は+1.0%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリが週間で3.5%安、JMDCが同6.3%安と軟調。売買代金上位では日本電解やメタップスが利益確定売りに押された。また、ワンダープラネットやロゼッタは決算を受けて売りがかさみ、ASJなどとともに週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。一方、フリーが同1.4%高となり、一部証券会社の投資判断付与が観測されたプレミアアンチエイジングは同13.0%高で時価総額8位に浮上。直近IPO銘柄ではベイシスが売買代金・上昇率トップとなり、Enjinは決算が好感されて上昇率2位にランクインした。ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズが同2.7%高などと堅調だったが、日本マクドナルドHDは同0.1%高、ワークマンは同0.1%安と小動き。売買代金上位ではテクノホライゾンなどが買われ、ウッドフレンズが週間のジャスダック上昇率トップとなった。一方、シンバイオ製薬はやや売り優勢で、カルナバイオサイエンスなどが下落率上位に顔を出した。IPOではラキールが公開価格を7割強上回る初値を付け、ストップ高水準で初日の取引を終えた。

来週の新興市場では、引き続き外部環境睨みでマザーズ指数はもみ合う展開となりそうだ。今週末の米国株式相場は消費者信頼感指数の予想下振れなどから下落。国内外経済の減速懸念が金融市場全体に重くのしかかっている。それでも中小型株物色は比較的活発だが、短期の値幅取りと割り切った回転売買中心という印象が強い。7月22日からは4連休が控えており、外部環境の不透明感からこの間の持ち越しを嫌った手仕舞い売りが広がる可能性もある。

成長期待の高い6月上場組として度々取り上げたベイシスやアイドマ・HDだが、今期(または終わった期の)予想PERが100倍近くに達し、通期決算発表を通過したEnjinも決して割安とは言えない水準になってきている。今週上場のラキールなども同様で、値動きや需給が良好とはいえ、一段の上値追いには慎重に取り組みたい。ビザスク、WACULなどは決算評価の動きに期待。

IPO関連では、7月20日にアシロがマザーズへ、21日にランドネットがジャスダックへそれぞれ新規上場する。アシロはリーガルメディアサイトを運営するが、公開規模に荷もたれ感があるか。ランドネットは中古マンションの買取販売等を行う。なお、今週はフューチャーリンクネットワーク(8月20日、マザーズ)など3社の新規上場が発表されている。

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