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新興市場見通し:環境悪化で決算手掛かりに個別物色へ、IPOは8月分BB開始

今週の新興市場では、国内外の新型コロナウイルス感染拡大や中国株急落を巡り金融市場の不安定感が強まるなか、マザーズ指数が大きく下落した。個人・海外投資家が取引主体だけに市場センチメントの影響を受けやすいほか、7月中旬の連休前後から信用評価損益が悪化し、個人投資家の資金余力にも影響した可能性がある。内需系企業中心のため外需系企業の好決算の恩恵も限られた。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.0%であったのに対して、マザーズ指数は-4.6%、日経ジャスダック平均は-0.2%だった。週末のマザーズ指数は終値ベースで5月18日以来の安値を付けた。

個別では、マザーズ時価総額上位のフリーが週間で5.0%安、JMDCが同6.4%安と軟調。売買代金上位では直近上場のラキールなどが売りに押され、BASEやベイシスは2割超下落した。また、マクアケは業績下方修正が嫌気され、週間のマザーズ下落率トップとなった。一方、ウェルスナビは同7.8%高、JTOWERは同11.9%高と堅調。ウェルスナビは外資系証券の投資判断付与が観測された。アイドマ・HDなどは大幅高となり、グローバルウェイは5日連続でストップ高を付けた。ジャスダック主力ではセリアが同0.3%安と伸び悩んだが、その他はおおむね堅調。好決算の東映アニメーションが同8.1%高で時価総額2位に浮上し、人気が続くウエストHDは同9.5%高となった。ただ、セプテーニ・HDは好決算ながら材料出尽くし感から大きく下落。また、シキノハイテックなどが下落率上位に、一方で京極運輸商事などが上昇率上位に顔を出した。IPOでは4社が新規上場し、ブレインズテクノロジーが公開価格の約2.3倍となる初値を付けるなど、おおむね堅調な出足だった。サーキュレーションの賑わいも目立った。

来週の新興市場では、波乱の月末を通過してもなお不安定な相場展開が続くことを想定しておきたい。国内では東京都の新型コロナ新規感染者数が連日3000人を超え、緊急事態宣言が拡大・延長されるなど、経済停滞への懸念は拭いづらい。注目の中国株も政策懸念の払しょくは容易でなく、外部環境への警戒感から新興株への資金流入は期待しにくい。2月高値の信用期日到来に向けた手仕舞い売りも見込まれる。IPOは当面ないが、来週は新興市場でも200社超の決算発表が予定されており、好業績銘柄の個別物色中心となりそうだ。

来週は、8月4日にJTOWER、5日にユーザベース、Appier Group、BASE、JMDC、6日に東洋合成工業、NITTOKU、ハーモニック・ドライブ・システムズ、ナカニシなどが決算発表を予定している。このところ出直り歩調のJTOWER、好業績が続くJMDCなどに注目。今週末発表の決算ではニッポン高度紙工業などが好印象だ。

IPO関連では、8月20日のフューチャーリンクネットワーク(FLN)及びシイエヌエス上場を待つ格好となる。FLNは2日、シイエヌエスは4日、それにタンゴヤは5日からブックビルディング(BB)期間入り。また、今週はモビルス(9月2日、マザーズ)とメディア総研(9月2日、マザーズ)の新規上場が発表されている。

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