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大幅高も買い戻しの域を出ず、景気減速懸念はくすぶる

[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;27479.85;+466.60
TOPIX;1916.51;+35.83

[後場の投資戦略]

 週明けの東京市場は前週の大幅下落の反動から買い戻しが優勢となっており、ほぼ全面高の展開。今週27日には米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が控えてはいるが、前週に、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて改めて量的緩和縮小(テーパリング)懸念が事前に台頭していたこともあったほか、前週末のダラス連銀カプラン総裁の発言をきっかに、27日のジャクソンホール会議はハト派の結果で無難に通過するのではとの安心感が台頭しているようだ。

 何より、前週は、テーパリング懸念のほか、新型コロナウイルス感染再拡大や米中経済指標の下振れ、資源価格の下落などを受けた景気減速懸念の強まりなどがあったとはいえ、日本株だけがあまりに弱かった。前週末時点で、多くの機関投資家がベンチマークとする米国の代表的な株価指数であるS&P500種株価指数のPER(株価収益率)は22倍、それに対して日経平均は12倍台と、さすがにバリュエーション面では、日本株の割安感が意識されるところだろう。

 22日には、次期衆院選の前哨戦としても注目されていた横浜市長選挙があり、菅首相が支援していた小此木氏が敗北したことで、菅政権の求心力の低下がより鮮明になるという、相場的には嫌な動きもあった。しかし、週明けのここまでの動きを見ている限り、株式市場はそこまで材料視していない様子。菅政権の求心力の低下は明白なものの、立憲民主党など自民党以外の野党の支持率も低い。そのため、実際に、今回の一件をもって政権が交代するといった更なるネガティブな事態までは想像しにくいだけに、影響は限定的なようだ。むしろ、今後の自民党支持率の上昇のために、経済対策の上積みなどのへの期待感も高まっている可能性もある。

 一方、原油をはじめとした資源関連価格の軟調さはまだ継続中。27日のジャクソンホール会議でハト派スタンスが確認されれば、中期的には改めて資源価格の持ち直しも予想されるが、現状は、新型コロナウイルス変異株(デルタ株)に対する先行き懸念の方が大きいようだ。景気減速懸念が後退したわけではなく、本日の上昇もあくまで、前週までの行き過ぎた下落からの自律反発の域を出ていないと思われる。実際、INPEXは前週末比で横ばい、日本製鉄、UACJ、住友鉱などの資源関連株も、全体の上昇率と比較するとやや勢いが鈍い。日経平均も前場時点では、27500円近辺まで戻したにすぎず、ここからは戻り待ちの売りなども意識される。買い戻し一巡感で、後場はこの27500円を挟んだ水準での一進一退とみておきたい。

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