政府は7日、経済の好循環を目指す岸田政権の成長戦略「新しい資本主義」実行計画の改定案を発表しています。これが全部実現するならば、国内経済も一気に成長しそうな状況です。しかし、実は外部からの受け売りで心地良いワードを詰め込むだけ詰め込んだのが現実。実現可能なマイルストーンもなにも用意されていないことに呆れる始末です。(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
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「新しい資本主義」改定しても…
政府は7日、経済の好循環を目指す岸田政権の成長戦略「新しい資本主義」実行計画の改定案を発表しています。
賃上げを中小企業まで定着させるほか労働市場改革を加速し、デフレからの完全脱却を実現させるとしています。
6月下旬の閣議決定を目指す予定とのこと。内容は立派ですが、いま盛り込めるものはすべて詰め込んだ骨太戦略として2年前に発表したものの、毎年改定してもなんらまともにワークするものがなく、またしてもなんら役に立たない絵に描いた餅の状況が続きます。
そもそもこの新しい資本主義は、経済の在り方を再考し、持続可能性や社会的課題の解決を重視する方向への移行を目指しているといいますが、岸田首相はすでに党内に戦略構築ができる優秀なスタッフなど抱えておらず、外部に丸投げで構築していることが垣間見えています。
人への投資と賃上げでは、中小・小規模企業で働く労働者の賃上げを図り、労務費の価格転嫁を徹底。また、自動化技術を用いる現場労働者のスキル向上を進めます。
労働市場改革ではジョブ型人事の導入範囲を整理し、個々の企業の実態に応じたジョブ型人事を進めます。
役職定年の見直しやスタートアップに関する裁量労働制の運用明確化も行われます。
企業の参入・退出の円滑化では中小・小規模企業の事業承継やM&A、グループ化を促進するため、仲介事業者の手数料の開示や経営者保証の見直しが導入されます。
コンテンツ産業活性化戦略では文化・クリエイティブ産業を支援するため、コンテンツ産業官民協議会と映画戦略企画委員会を設置。
クリエイター支援基金に施策を統合し、音楽、放送番組、映画、アニメの分野の実態調査を行います。
国内投資の推進領域ではDX投資、AI、半導体、健康・医療量子技術、フュージョンエネルギー、次世代素材、蓄電池、バイオものづくりなどに国内投資を拡充。
GX(グリーン・トランスフォーメーション)では循環型のサーキュラーエコノミーへの移行を進めます。
資産運用立国の推進ではイデコについて大胆な改革を検討し、運用側のアセットオーナーに対する共通のプリンシプルを策定。
これらの改定は、持続的な成長と社会的課題の解決を両立させるための重要課題とされています。
これが全部実現するならば、国内経済も一気に成長しそうな状況です。しかし、実は外部からの受け売りで心地良いワードを詰め込むだけ詰め込んだのが現実。
実現可能なマイルストーンもなにも用意されていないことに呆れる始末です。
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そもそもこの国は資本主義を維持できるのかぎりぎりの状況に
日本の場合、そもそも旧来からの資本主義の枠組みも維持できるのかどうか、相当危ういところに陥っているのが現状。新しい資本主義がどうのなどとは言っていられいない状況です。
まず資本主義を構成維持するためには、相応の中間所得層がいてはじめてその枠組みが形成されるはずなのですが、過去30年のデフレ経済と所得の大幅減少はこうした中間層を劇的に減らしており、これがまず基本問題となってきています。
米国でも中間所得層は減少していますが、日本はそれをはるかに上回っており、このままでは旧来からの資本主義すら維持できない状態が示現しそうです。
さらに問題なのは、経済がまったく成長しないこと。GDPは個人消費が頭打ちになることから全く大きくならず、完全にシュリンクする経済のスパイラルに巻き込まれていることも気になるところです。
新しい資本主義などとと言えば注目を浴びることになるのでしょうが、その実効性が実際に可視化して見えるには、相当遠い道のりとなることは覚悟しておかなくてはなりません。
端的に言って、岸田首相ではまったく実現できないものになるのではないでしょうか。
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