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金融緩和「海外で匂わせ」で済ます黒田日銀総裁の大罪。なぜ日本向けに明言しないのか?=角野實

日銀は緩和をするのか、しないのか?投資家にとっての大問題を黒田日銀総裁はアナウンスしません。通常なら9月末になんらかの方向性を示すべきで、これは猛批判されるべき問題です。(『角野實のファンダメンタルズのススメ』)

※本記事は有料メルマガ『角野實のファンダメンタルズのススメ』2021年10月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。

日銀は緩和を縮小するのか、しないのか?

まず、3月末に日本銀行は緩和を縮小をする、と発表していることを言っていた専門家は何人いるのでしょうか?ほとんどいませんよね。

私が見る限り、誰もそんなことは言っていないので、株は高いと騒いでいました。この情報だけでも、このメルマガを読む価値はあるとは思います。

この緩和の縮小は、だいたい3か月に一度、これを継続するか、拡大するのかを発表します。6月末は、継続。9月末は、何のアナウンスメントもありませんでした。

ただし、黒田さんが、ECBのフォーラムで「日本経済は年末から来年にかけて回復する」と発言をしました。

金融業界の常識としては、これだけ日本はデフレが進行しているのだから緩和を実施するというのは当然の話です。でも、それは果たして本当か?と個人的には思います。

まず、黒田さんからの文脈では、「コロナの緊急事態明けですから自然と回復する」とも読めますし、また「金融緩和を行うから回復する」とも読めます。

通常は9月の末に、このような発表を日本銀行がするはずなのですが、9月30日はその発表がありませんでした。

これがFRBであれば、猛批判を浴びることになるでしょう。なぜ、皆は怒らないのか。私は不思議に思います。

だって、重要なことでしょ? 緩和するか、しないかって。投資家にとって。

ここに黒田さんの悪い側面があります。彼の言動は、いつも言っていますが、たんが絡むのか咳払いが多い。そして小声でぼそぼそとしゃべる。こんなことをFRB議長がやれば猛批判なんでしょうけど、平気でやる。比較的、大きい声になるのは、自分の去就についてはハキハキとしゃべる。はっきりいえば、すげー自分勝手な奴です。

黒田総裁に最低評価を付けるべき

参考までに、黒田東彦氏の学者としての国際的評価はとても高いですが、日銀総裁として、日本人としては最低評価をつけるべきでしょう。

なぜなら、2014年から7年も緩和を続けて、物価上昇率2%を2年か3年で達成する、と言っているのが7年。挙句の果てには、デフレマインドが消費者に残っているから物価目標が達成できない、と言い出す始末。

違うでしょ、あんたの政策がまちがっているから、物価上昇目標を達成できないのでしょ、ということがわからないはずがないのです。

そして、自分の去就については「総理が決めること」とは言いますが、明らかに続投を希望するということの内容を述べます。

2年で達成するといったものを7年かかっても達成できないのは、無能の証拠です。おまけに政策をわかりやすく説明する気もない、中銀総裁としては最低レベルです。

こういうのも口が悪いとか言われるのでしょうかね?もっとオブラートにくるめ、ということを言いたいのでしょうが、生ぬるい言い方をしてもほとんどの方がスルーするでしょう。

要するに、黒田氏の問題をみなさん認識していないのです。麻生さんの悪口はみんな喜んで言いますし、小室圭さんの悪口もみんな言う。でも、それよりも最低のことをしていると思うのですけどね。

Next: 叩くべき相手を叩かない日本。みずほ銀行のシステム障害は大問題



みずほ銀行のシステム情報があなたの信用を毀損する

たとえば、みずほ銀行。皆さんにとっても本当に深刻な問題なのに、誰もみずほの悪口を言わない。

たとえば、カード会社や住宅ローンの引き落としをみずほ銀行に任せて、その決済が1日遅れになった場合を考えてください。みなさんは正常に行われていると考えるでしょう。

実際に起こることは、まず、カード会社やローン会社に1日遅れの着金になった場合、あなたの信用情報が劣化するのです。この信用情報は公開されませんので、あなたが知らないところで、あなたの個人情報が劣化するのです。

あなたはきちんとお金を用意して引き落としされていると信じているのですが、みずほのアホシステムがそれを行わないのです。

だから、金融庁がグダグダやるのです。しかも、そのあなたの信用情報はあなたが公開を請求しても公開されないのです。

そして、カード会社やローン会社は1日遅れで着金をしているので、督促状は送りません。しかし、あなたの借金、つまり債権は要注意貸付先として振り分けられるのです。

ゆえにカード購入の限度額やさらなる住宅ローンの審査が通りにくくなるわけです。

これだけではありません。

たとえば、私は普段、三菱や住友系の口座からしか送金をしないのですが、この間の着金は通常、20分以内、どんなに大きな金額であっても着金をします。みずほの場合は最悪、9時に振込をして15時になるのです。

私が朝いちばんで振り込んだ、といって相手は着金が確認できない、と苦情が入ったこともあります。これは私の信用問題で、この人は金銭的に問題があるのではないか、と思われるのも癪に障ります。

つまり、資金の決済というのは個人の信用性・与信にも多く関わっているのであり、こんなことを頻発するみずほ銀行は潰してしまえ!と私などは思います。こういう事情を知らないから、皆さん何の文句も言わないのでしょう。

私たちができる対策としては、「みずほ銀行を通して資金決済を行わない」としか対応がとれず、非効率の極みです。

みずほの問題はマーケットに関係ありませんので詳しくは書きませんでしたが、あなたの知らないところで信用情報が劣化する恐れがあるのです。こういうことを知っている専門家は星の数ほどいるのに、誰も警鐘を鳴らしません。こんな銀行、存続していい銀行ですか?

金融庁が介入するのはよっぽどのこと

金融庁は問題の大きさを認識しているから、介入をしているのです。激烈な言葉で言わなければ誰も理解してくれないと思っています。

日産、SB、富士通、NEC……考えてみれば、みんなメインはみずほだったと思います。お金にだらしない企業は、だいたいだらしない、とレッテルを張られてもおかしくない状況だと思います。

そのくらい、みずほの問題は日本の金融に深刻な打撃を与えているのです。

もっと、皆さんは怒らなければいけないのに、どうでもいい小室圭さん叩きに血眼になっている。なんかおかしいよね、と思います(笑)。

ともかく「みずほ」の問題と並んで、日銀の黒田氏も叩かないといけない人です。きちんと国民に対してわかりやすく説明する義務があるのに、なぜしないの?と思います。

黒田氏というのは、高級官僚のやることに素人が口出しするな、庶民は言うことを聞けばいい、というタイプであるという話はあちこちで聞きます。麻生さんよりも相当、性質が悪いと思いますけどね。

Next: 日銀の金融緩和はあるのか、ないのか。その効果にも疑問が出てくる



こっそり方針を発表する不公平

マーケットの本質としては、緩和があるのか、ないのか、という問題が発生します。

つまり、いまの金融緩和縮小路線を3か月ごとに発表するのですが、3月末や6月末のようにわからないようにこっそり発表するというのは、公平性に欠けます。

このようなことを許してはいけません。私はたまたま気づいたから書いているだけ、私もそのほかの専門家のように、気づかない可能性もあります。

つまり、ECBのセミナーで黒田氏がそれを表明すれば全世界でニュースになり、誰も見逃しません。

金融緩和で経済は上向くか?

ただ、ここから緩和を行ったとしても、何がよくなるの?と個人的に思います。株に投資している人は大喜びでしょうが、何がよくなるのかわからないのに緩和するのは、国民の財産をどぶに捨てるようなもので、許容できるものではありません。

つまり金融緩和というのは、皆が危機に入り、一斉に預金を引き出します。そうすると銀行は預金を資金にお金を貸し出しているので、それを貸し出す資金が不足するから、日銀がその資金の供給を行う、ということです。

その貸出資金は今の金融緩和で十分に足りている状況に、物価が下落しているから緩和拡大ですか?今までそれを30年間やって物価が上昇しなかったのに?

バカバカしい政策ですよね。それを本当にやれば、誰も言いませんが、黒田氏は大うつけ者と私は言うでしょうね。効果がない政策を、自分のカネではないからといって、自分の意地で緩和するって、それは間違いだと思います。

緩和してもデフレなど解消しません。緩和しても円安にならない可能性もあります。今のFRBが無茶に緩和をしても、ちっともドル安にならずにドル高になっていますよね。それと同じことです。

つまり、資金が余剰していても、それを設備投資に使わずに社内留保や貯金に回ってしまうのです。ゆえに通貨高になるのです。

日銀は緩和するなんて「言っていない」

ただ、日本は政権交代が確定しています。政府と日銀は金融経済をともに支えていくという提言はまだ生きていると思います。つまり政権が落ち着くころ、11月にFOMCがありますし、FRBがテーパを決定すれば、BOJが緩和を拡大するというところで落ち着くのではないでしょうか?

くれぐれも、日銀は緩和するなんて一言もいっていない、ということです。

恒大がつぶれてもいないのに、リーマン・ショックのようになると言うアナリストがいたそうですが、そういう話は潰れてからしろよと思います。潰れるかどうかもわからない時点で、そういう話はホラとしか思えません。

緩和も同じ。緩和してから、緩和の効果について、マーケットを語りなさいよ、と思います。でも、必ずいるよね、緩和する、緩和する、という人……(笑)。緩和するかどうかもわからないのに、緩和を期待して買う、ということはしないように願います。

Next: ユーロは本当に金融緩和をしているのか?



ユーロは本当に金融緩和をしているのか?

10月からユーロは緩和を縮小するとECBが発表しています。これは私のメルマガでもツイッターでも、さんざんに言っています。

しかし、マーケットは事実でしか動かないのです。恒大がつぶれてもいないのに、潰れた仮定でシナリオを作るのと一緒です。

ECBのバランスシートは、2週間遅れで発表されます。つまり、前回は9月12日のものが、9月27日に発表されています。9月26日までのものは、10月4日に発表です。10月3日までのものは、10月11日です。ただし、この週は9月が含まれていますので、今の緩和拡大をみれば、10月の営業日は1営業日しかなく確認できない可能性が高いです。

つまり、事実として確認ができるのは、10月18日までできない可能性があるのです。

もちろん、ECBのラガルドがやると言ったことはやるでしょうが、その日付は10月1日とは言っておらず、いつからやるかも不透明です。でも、やるでしょう。

そのうえにエネルギー危機が起きており、誰かが緩和マネーで買い占めをしている可能性もあり、早急に減らさないといけない事情もあります。

実際にいつからやってくるかは、わからない、と言いたいのです。

これも今日書かなければいけないことなので、慌てて書いています。日銀の緩和も新4半期のきょう書かなければいけないことですので、慌てて書きました。まだほかにもポンドの話や、いろいろ書かなければいけない状態です。

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  • 日銀は緩和するのか、しないのか?(10/1)

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  • ドルは高いのか、安いのか(9/28)
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  • 今週はFOMC(9/20)
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  • 危険を察知するにはどうしらいいのでしょうか(9/15)
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  • 金融緩和がこれからどうなるかが焦点(9/13)
  • なぜ下がったのかを考えなければどこまで下がるのかはわからないものです(9/12)
  • ヨーロッパも緩和縮小(9/10)
  • 円高ドル高をもう一度確認します(9/9)
  • なぜドルは高いのか?(9/8)
  • もう一度、キホンに戻る(9/7)
  • 世界情勢はよいのか、悪いのか?(9/6)
  • 今の動きをまとめます(9/3)
  • 9月2日になりました。(9/2)
  • ユーロ圏インフレは大丈夫なのか?(9/1)

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2021年8月配信分
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  • FRBは何をやろうとしているのか?(8/20)
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image by:Asian Development Bank Wikimedia Commons [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons

角野實のファンダメンタルズのススメ』(2021年10月1日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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