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日本の農業をアメリカに売った政府の罪。アグリビジネスが農家の生活と地球を壊す=田中優

地球温暖化の解決を考えるとき、二酸化炭素だけに目が行きがちだ。しかし、化学肥料に含まれる亜酸化窒素を削減することも長期目線では必要となる。そしてさらに、アメリカ型の大規模農業・アグリビジネスと決別し、日本の農業を変革することが地球環境全体の改善につながっていく。(『田中優の‘持続する志’(有料・活動支援版)』)

※本記事は有料メルマガ『田中優の‘持続する志’(有料・活動支援版)』2020年9月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田中優(たなか ゆう)
「未来バンク事業組合」理事長、「日本国際ボランティアセンター」理事、「ap bank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表。横浜市立大学、恵泉女学園大学の非常勤講師。著書(共著含む)に『未来のあたりまえシリーズ1ー電気は自給があたりまえ オフグリッドで原発のいらない暮らしへー』(合同出版)『放射能下の日本で暮らすには?』(筑摩書房)『子どもたちの未来を創るエネルギー』『地宝論』(子どもの未来社)ほか多数。

化学肥料をやめれば温暖化解消に繋がる?

当メルマガの読者さんから以下のような質問をいただきました。大事な内容を含むので、せっかくですからメルマガでお答えしたいと思います。質問は以下の通りです。

温室効果ガスについての質問です。

温室効果ガスとしては、一般にCO2が大きな原因とされています。一方、亜酸化窒素はCo2の300倍の温室効果があるとのことで、この主な排出源が農業で使われている化学肥料(窒素)で、化学肥料の使用をやめるなり減らせば、温暖化に大きく貢献(ほぼ解決できるかも)できるという意見があります。

一般的に考えて化学肥料は地球規模で使われているので、こちらに焦点を当てた削減活動の方が大切なのではとも思えます。使用量か削減効果についての詳細は分からないので、Co2との単純比較はできないですが、優さんの方で把握されている情報があればその公開なり、これから分析できる可能性があるのかどうかお聞かせ願いたいと思うのです。

まずは確認しましょう。「亜酸化窒素はCo2の300倍の温室効果」があるのは、正しいでしょうか。

上図の通り、「温暖化係数」は二酸化炭素を「1」としてその倍数で示しますが、一酸化二窒素(亜酸化窒素)は「298」ですから、正しいです。このデータは、「一般社団法人 地球温暖化防止全国ネット」からの引用で、「地球温暖化対策の推進に関する法律」にもとづいて設置されたものです。データは信頼できます。

そして 「海洋や土壌から、あるいは窒素肥料の使用や工業活動に伴って放出され、成層圏で主に太陽紫外線により分解されて消滅する」もので、大気中での寿命は121年と長く、成層圏で紫外線に分解されるまで存在するので、厄介なガスであることは確かです。

一般的な使用に「肥料」があるのは確かです(主要な化学肥料は窒素・リン酸・カリウムです)が、それだけでなく、「化石燃料燃焼、バイオマス燃焼、農耕牧畜、土地利用変化、汚水など」の工業活動からも排出されています。

この経年推移を見ると、毎年増え続けているのは確かで、対策が必要です(下図参照)。

青色は月平均濃度。赤色は季節変動を除去した濃度。出典:一酸化二窒素濃度の全球平均経年変化 - 気象庁

青色は月平均濃度。赤色は季節変動を除去した濃度。出典:一酸化二窒素濃度の全球平均経年変化 – 気象庁

化学肥料に使われているのは膨大ですし、身近な問題です。

Next: 化学肥料が農作物を弱くする。政府の「慣行農法」が環境破壊

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