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日本の農業をアメリカに売った政府の罪。アグリビジネスが農家の生活と地球を壊す=田中優

亜酸化窒素の悪影響は121年も続く

そして、亜酸化窒素に特徴的なのは121年という長期の影響です。この長寿な温室効果ガスの影響も考えられています。

地球温暖化係数は、20年、100年、500年と異なるタイムスケールの設定に基づいた数値が発表されています。それぞれの温室効果ガスの寿命が異なるため、残留期間を考慮に入れると、数値が異なってくるのです。ただ、一般的に使用されているのは、100年間の影響を考えた場合の数値です。

出典:4-5 地球温暖化係数(GWP;Global Warming Potential)について知りたい – JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター

一般的にみられるグラフは100年間の影響と言われても、人間の生命からはちょっとピンときません。さて、どう考えたらいいのでしょう。

つまり、CH4やHCFCなど(短命な温室効果ガス)の対策は、この急激な気候変動を抑制するのに効果的といえます。一方、N2O、CFC、PFC、SF6の及ぼす温暖化は長期にじわじわと現れるので、将来の地球の気候に及ぼす影響が大きくなります。海面上昇や大規模な氷床の変化は、今後何世紀にもわたる気候変動がもたらす影響ですから、今のうちにこれらの寿命の長い温室効果ガスの削減を進めなくては、将来に禍根を残すことになります。

出典:温暖化の科学 Q10 二酸化炭素以外の温室効果ガス削減の効果 – ココが知りたい地球温暖化 | 地球環境研究センター

とあります。要は短命なヤツは今影響を及ぼす力が大きいので今すぐ、長寿命なヤツはこれから何とかしようということになります。「亜酸化窒素」は今出したものが121年も残るのですから、もうやめていこうというものになります。

「慣行農法」が日本の農家を苦しめている

ここから私が思うのは、農業の変革です。

「農薬・化学肥料」を用いた「慣行農法」はもうやめるべきだと思います。日本でこれを言うと「農業を支えてくれている年寄りに草むしりさせる気か」とか、すぐ感情的なやりとりになりそうです。しかし、1960年より前はほとんど「農薬・化学肥料」などなく、今でいうところの有機農業が当たり前だったのです。

「慣行農法」は「慣行」なんかされていなかったのです。それが進められたのは、日本の農家が見捨てられ、都市に労働力を集めようとした1960年からです。アメリカを真似て大規模な機械農業にしていこうとした時代です。農業を工業化しようとしたのです。その代わり堆肥は化学肥料に、作業は農薬と機械任せにしようと進めました。

その結果、農家の収入は下がり続け、一方で買わされる「農薬・化学肥料」は高く、斡旋された農機具や農協が進める自家用車などのローンは、農業収入を超えるまでになり、別な本業を持ちながら耕す「兼業農業」化したのです。

本来なら部落に1台あれば、順番に使えばよかったはずでした。ところが田植えが5月の連休に一斉にされるようになり、各人が持たなければならないように仕向けられたのです。こんな無駄なことはやめましょう。みんなでシェアすれば足りるのです。

Next: 無理やり米国型のアグリビジネスへ向かう愚かさ。農業変革が急務

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