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離婚したら「年金」もはんぶんこ。専業主婦・自営業・共働きでも夫の厚生年金を折半できる=中村宏

離婚が現実になると、夫婦間で財産分割の話が持ち上がります。さらに現在の財産だけでなく、将来的に受け取れる「年金(厚生年金の部分)」についても、専業主婦・自営業・共働きにかかわらず分割して受け取れます。(『生活マネー ミニ講座』中村宏)

プロフィール:中村宏(なかむら ひろし)
山口県生まれ。大阪市立大学経済学部卒。ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー。個人相談件数は1,500を超える。セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力等でも活躍。

熟年離婚は突然に

ご夫婦から老後を含めた長期的な生活設計のご相談を受けたわずか半年後、突然、夫の方から連絡がありました。「妻から離婚を切り出された!」とのこと。

人生、何があるかわからないものです。

おそらく、奥さんはずいぶん前から沈思熟考したうえでの結論なのでしょう。「マイホームは自分がもらいたい。将来の年金は分割してほしい」と、妙に具体的な要請がありました。

夫としてはまさに青天の霹靂。「ちょっと何を言ってるのかわからないんですけど…」とキョロキョロする始末。

私も、お金のことなら真正面から相談を受け止めることができるのですが、男女の仲のことについては、容易に深部に立ち入ることもできません。できるだけ事務的に対応することにしております。

「年金分割」の仕組み

さて、年金分割とは、離婚のときに、将来の厚生年金を分ける仕組みです。基礎年金(国民年金部分)の分割はできません。厚生年金部分のみです。

専業主婦(第3号被保険者)を対象に、2008年4月以降の結婚期間であれば、一律50%の分割が認められています。

老後に受け取る厚生年金の額は、会社で働いていた期間とその間の給料の水準によって決まりますが、2008年4月以降の結婚期間分の夫の厚生年金は、強制的に2分の1に分割され、半分を妻が老後に受け取ることができるのです。

この仕組みを「3号分割」といいます。

Next: 妻が自営業・共働きでも厚生年金を分割できる「合意分割」とは?



妻が自営業・共働きでも厚生年金を分割できる「合意分割」

もうひとつ、「合意分割」という仕組みもあります。

これは、妻が自営業の第1号被保険者でも、共働きの第2号被保険者でも、2008年3月以前の結婚期間でも、2008年4月以降の結婚期間でも、夫婦の合意によって、結婚期間すべてを対象に厚生年金の50%を上限に分割割合を決める仕組みです(当然、共働きの場合、妻の厚生年金も対象になります)。

合意ができない場合、家庭裁判所の審判となりますが、大半は50%で決着します。

「3号分割」も「合意分割」も、離婚後2年以内に年金事務所に請求する必要があります。

なお、分割されて受け取る年金は、相手は死亡しても再婚しても、ずっと受け取ることができます。

年金分割の背景には、離婚時の財産分与と同様、夫婦いずれの名義の財産も、結婚期間に夫婦の協力によって形成されたものという考え方があるのです。

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image by:Sayuri Inoue / Shutterstock.com
生活マネー ミニ講座』(2021年10月4日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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