マネーボイス メニュー

新興市場見通し:新興株の売買膨らむも大型株との循環物色か、12月はIPOラッシュ

今週の新興市場では、マザーズ指数が週前半に強い動きを見せた。7-9月期の決算発表が一巡し、値幅の大きく出やすい新興株に個人投資家の物色の矛先が向いたようで、好業績銘柄を中心に賑わった。1日の売買代金は3月以来となる2000億円台まで膨らんだ。ただ、マザーズ指数は週半ばに一時1200ptに接近すると失速。高値圏のメルカリなどに利益確定売りが出て、投資資金の一部がレーザーテックや東京エレクトロンといった東証1部の高値更新銘柄にもシフトしたとみられる。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.5%であったのに対して、マザーズ指数は+1.4%、日経ジャスダック平均は+0.5%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリが週間で2.5%高、JMDCが同6.6%高と堅調。決算が好感されたプラスアルファ・コンサルティングは同21.4%高、FRONTEOは同39.5%高と急伸した。売買代金上位ではグローバルウェイやENECHANGEが大幅高。また、エスユーエスとリビン・テクノロジーズは1週間で株価が2倍超となった。一方、フリーが同13.4%安、セーフィーが同18.4%安と大きく下落。ともに決算発表後に軟調となった。また、Waqooなどが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力では、ウエストHDが同6.7%高と堅調。一部証券会社の目標株価引き上げが観測された。売買代金上位ではシンバイオ製薬が大幅高となり、壽屋が週間のジャスダック上昇率トップとなった。一方、ワークマンは同3.8%安、ハーモニック・ドライブ・システムズは同6.1%安となり、イー・ロジットなどが下落率上位に顔を出した。IPOでは、GRCSが公開価格の5割高となる初値を付ける一方、AB&Companyは公開価格を下回る初値形成となった。

来週の新興市場では、マザーズ指数のしっかりとした値動きに期待したいが、日足チャートではなお現行のもち合いレンジ内で推移しそうだ。米国でハイテク株比率が高いナスダック総合指数の過去最高値更新が続いているほか、決算発表の一巡とともにマザーズ市場の売買代金が膨らんでいることなど、強気になれる材料も散見される。ただ、先週後半の動向を見ても一本調子での上昇までは期待しづらく、半導体関連等の主力大型株との循環的な物色が続きそうだ。

好業績銘柄も株価への織り込みが非常に早いため、既に上値を買いづらいというケースが少なくない。ただ、Appier Groupやカオナビ、NexToneなどは現値を上回る強気の目標株価設定が出てきており、一段の上昇に期待したい。また、今週末に政府の経済対策が閣議決定され、子育て支援や医療体制の充実などの政策関連銘柄への関心が高まる可能性もある。

IPO関連では、11月24日にサイエンスアーツとラストワンマイル、25日にスローガンがいずれもマザーズへ新規上場する。また、今週は再生可能エネルギー発電のリニューアブル・ジャパン(12月22日、マザーズ)、人工知能(AI)開発のエクサウィザーズ(12月23日、マザーズ)など一挙26社の新規上場が発表されている。12月後半はIPOラッシュの様相だ。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。