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黒田さん、「プライドの高い人たち」を怒らせると面倒ですよ=栗原将

4/28日銀金融政策決定会合後の黒田総裁記者会見、冒頭の発表は退屈な内容でしたが、記者との質疑応答になってから、個人的にかなりのサプライズがありました。(『海外投資とネットビジネスで海外移住、ハッピーライフ』栗原将)

黒田日銀総裁会見(4/28)の質疑応答で感じたサプライズ2つ

イタいところを突かれた?

4月28日(金)の黒田日銀総裁の記者会見をリアルタイムで見ていました。

冒頭の原稿読みの発表は無難というか退屈な内容(毎度の「躊躇無く」が繰り返されるもの)でしたが、質疑応答になってからは、かなりのサプライズがありました。

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ひとつは、記者から、「以前も(会合前には)マイナス金利は全く考えていないとおっしゃっていながら、実施された事がありましたが」と言われたとき、黒田総裁が「ヘッヘッへ」と高笑いした場面。

もうひとつは、「金融機関、マーケットとのコミュニケーションがうまくいっていないのでは?」と指摘された時。黒田総裁は、

コミュニケーションはしっかりやっている
そもそも、マイナス金利は金融機関のためにやっているものではない

との反応でした。

ショーは、記者会見の中継とFXのスクリーンを同時に見ていたのですが、記者会見が始まってから、円買いが怒濤のように進んでいましたから、そんな中、総裁が高笑いというのは、かなり印象悪いなあ、と感じたものです。

イタいところを突かれたということで同情する部分もありますが、せいぜい、含み笑いくらいか、出来れば冷静に、淡々と対応していただきたかったところです。

そしてもうひとつの、「金融機関のための政策ではないから」というのは、大失言だったと感じています。

今回の会見で、マスコミ(の記者)と金融機関の社員という、世の中でもかなりプライドの高い人たちを怒らせてしまったからです。

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プライドの高い人を怒らせると何がどう面倒か

ショー自身、6年だけですが、新聞社で働いていましたが、記者のプライドの高さというのはすごいものがあります。

読者が知らない情報を知っている、あるいは、読者よりも先に情報を入手している、という事に対して、かなりの優越意識をもっているものです。

そのプライドがいいか悪いかは別として、今回、記者が、「黒田さん、今後も、やらないと言ったことをやるのですかね?」という意味合いの質問(これもいやらしいですがね・笑)をしたら、小馬鹿にするような高笑いで応じてしまった…。

これは、確実に記者の人たちの心証を害しました。

昔の話ですが、雪印問題で、当時の社長が「私も寝ていないんだ」とカメラの前で言ってしまった。

なんで、炎上したかと言えば、記者も寝ていなかったからです。記者を怒らせたから、怒濤の炎上報道となった。

そして、黒田総裁、さらにまずかったのが、「銀行のためにやっている政策ではないから」という趣旨のコメントでした。

記者と同様にプライドが高い金融関係者ですが、とはいえ、日頃から逆らえないのが、お上である金融庁や日銀です。不満は鬱積している。

一方、記者もそうですが、金融関係者も、「私たち(俺たち)が日本を支えているのだ」と思っています。

そんな中、「お前ら(銀行など)のために政策をやっているわけではないからな」と言われたら、憤慨するに違いありません。

ミスター円、榊原元財務官と比べれば、個人的には紳士的な印象の黒田さんですが、現役官僚時代からの思いが出てしまった感じでしょうか。月曜からマーケットが再開されますが、こういう状況では、とてもではありませんが、アメリカとの通貨“戦争”に勝てるとは考えにくいですね。

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海外投資とネットビジネスで海外移住、ハッピーライフ』(2016年5月1日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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