住宅ローンは「繰り上げ返済」をすることで総返済額が減少しますが、返済方法には2つのパターンがあるので要注意。どちらがベストかは、どのような目的で繰り上げ返済をするのかで変わって来ます。(『教育貧困にならないために』川畑明美)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。
住宅ローン「繰り上げ返済」には2種類ある
毎月の返済とは別に元金の一部を返済する「繰り上げ返済」。
大きなお金が入ったタイミングでやろうと思っている方もいるでしょう。
払う予定だった利息を減らせるため、総返済額が予定よりも少なくなるお得な返済テクニックです。
ところが繰り上げ返済は、いつでもお得というわけではありません。
今回は繰り上げ返済の基本とタイミングについて、考察してみましょう。
まず、繰り上げ返済には2つのタイプがあります。
<その1:返済期間短縮型>
毎月の返済額はそのままですが、返済期間を当初よりも短くする方法です。
特徴は、繰り上げ返済後も「毎月同じ金額を返済していく」ことで、返済期間を短くできます。
返済期間短縮型に向いている方は、下記の通りです。
・金銭的に余裕がある方
繰り上げ返済で大きな金額を使った後もそれまでと同様の額の返済が続くためです。
・定年までに完済してしまいたい方
返済期間を短くすることで定年後のローン残高をゼロにできる可能性があります。
<その2:返済額軽減型>
返済期間はそのままですが、毎月の返済額を当初よりも少なくする方法です。
特徴は、繰り上げ返済後も「返済期間は変わらない」ため、必然的に月々の返済額は減少します。
返済額軽減型に向いている方は下記の通りです。
・定年退職後の負担を軽くしたい方
繰り上げ返済後の毎月の返済額が減るため将来的な負担が軽くなります。
・安定的な老後を迎えたい方
月々の返済額が減ることで、手元に残るお金増えます。いざという時の余裕資金や投資の原資を貯めやすくなります。
Next: 繰り上げ返済のタイミングを間違えると損をする?
繰り上げ返済の注意点
繰り上げ返済のタイミングには、注意点があります。
繰り上げ返済をしても良いタイミングは、「資産に余裕があるときだけ」です。
貯金を切り崩してまで繰り上げ返済してしまうと、後々の生活にしわ寄せがくる恐れがあります。
また、低金利の時期は、そもそもコストが低いので「支払う利息のトータルを減らせる」という繰り上げ返済の効果があまり発揮されません。
特に変動金利で借りている人は、金利が低いうちは無理に繰り上げ返済をしない方が良いケースもあります。
金利が高い時に借りている方は、繰り上げ返済よりも借り換えをした方が良いです。ネットの情報は参考にする際には、「どんな世代に向けて」書いてあるのか?そこまでを考えてから参考にしてくださいね。
『教育貧困にならないために』(2022年1月14日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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