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首掛け空気清浄機「根拠なし」消費者庁が措置命令。イトーヨーカ堂は“白旗”も、製造元は“遺憾”で「クレベリン」に続く法廷闘争に発展か

首に掛けるだけでウイルスなどが除去できると広告などで謳っていた携帯用空気清浄機「ピュアサプライ」に対して、消費者庁は3日、広告には根拠がなく景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、製造販売会社の大作商事と販売していたイトーヨーカ堂に再発防止を求める措置命令を下したと報じられている。

報道によると、イトーヨーカ堂のネット通販サイトとそのサイト上の動画、さらに大作商事の通販サイト上の商品紹介において、同商品を使用することで、商品から発生するマイナスイオンの作用により、顔周辺のPM2.5、花粉、たばこの煙、細菌、ウイルス、超微細粒子物質を含む浮遊物質を除去する効果が得られるかのように示す表示していたという。

消費者庁は両社に、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたが、提出された資料はいずれも、合理的な根拠を示すものとは認められず、「広告に根拠なし」として今回の命令が下ったようだ。

イトーヨーカ堂はすでに掲載ページを削除か

広告に書かれた効果・効能が「根拠なし」と断じた案件といえば、先月にも「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」「身の回りの空間のウイルス・菌を除去する」と記載していた大幸薬品の販売する空間除菌剤「クレベリン」に対し、同様に措置命令が下されたばかり。

また昨年10月には、今回の「ピュアサプライ」と同じように、マイナスイオンの発生により浮遊するインフルエンザウイルスなどを不活化、除菌、除去する効果があると謳った「滝風イオンメディック」なる機器に対しても、景品表示法違反で措置命令がが。ちなみにイオンといえば、シャープのプラズマクラスターイオンを思い浮かべる方も多いと思うが、こちらも2012年に「プラズマクラスター掃除機の広告に対して、消費者庁が再発防止命令を出した過去がある。

さて今回の件だが、消費者庁が出したリリースをみると、イトーヨーカ堂のネット通販サイトに掲載されていたという動画には、柴田理恵さんや東貴博さんが出演し、同製品の紹介をしていた模様。何気に豪華なメンバーだが、どうやらセブン&アイの提供で放映されている通販番組の映像を、そのままサイトに転載していたようである。

そのイトーヨーカ堂だが、今回の措置命令に対し「今後は、景品表示法を始めとする法令順守に関する社内研修やモニタリング体制の一層の強化・充実を進め、再発防止に努めてまいります」とコメント。

措置命令とはあくまで商品の表示がマズいということであり、商品自体が不良品だとするものではないのだが、イトーヨーカ堂のネット通販サイトからは、すでに「ピュアサプライ」の商品ページは削除されている模様だ。

製造元は法的措置を検討か

いっぽうで「ピュアサプライ」を製造している大作商事だが、自社通販サイト上にはまだ同商品のページが残っているものの、今回消費者庁が「根拠なし」と指摘した記載などは大幅にカットされている。その結果“高濃度マイナスイオンを発生させる”程度の記述にとどまっており、もはや何のために使うアイテムなのか分からないといった状態だ。

また同ページには、今回の措置命令を受けて付け加えられたとみられる“※本製品に関するお知らせ”というリンクがあり、その先のページには措置命令を受けるに至った経緯が詳細に書かれている。

それによると「ピュアサプライ」は消費者庁発足以前の2007年に、同商品の旧型品に関して、同時の公正取引委員会から広告表示に関する調査を受けたが、根拠となる資料の妥当性が認められたとのこと。その後、現在に至るまでに当該関連法規制とガイドラインは一切の変更は無かったが、今回は同種の根拠資料を提出して措置命令を受けたとのこと。

さらに同社は、2021年1月に他社の類似製品に措置命令が下された際に、「ピュアサプライ」に景品表示法に違反する広告表示がなされていないか、自発的に相談を持ち掛けたとのことだが、消費者庁からは「関連法規、ガイドラインを確認して違反と見なされる表現に注意するように」といった形式的な指示にとどまっていたという。

こういった経緯があっただけに、大作商事は「誠に遺憾」「理解に苦しむ」と、今回の措置命令に到底納得がいっていない様子がアリアリで、今後の対応について「法的措置を取ることも念頭に慎重に検討いたします」とコメントしている。

SNS上では消費者庁に分があるという意見が圧倒的に多い今回の件。商品の実際の効果がいかほどなのかはさておき、大作商事の説明を見る限り消費者庁の一連の対応にも、いささか腑に落ちない部分があるのも確か。先述の「クレベリン」に関しては、大幸薬品と消費者庁の間で裁判沙汰に発展している状況で、それだけに今回の「ピュアサプライ」に関しても、掲載を引っ込めたイトーヨーカ堂はともかく、大作商事側からは何らかのアクションがあることも大いに考えられそうだ。

Next: 「いいぞ消費者庁、どんどんやってー」



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