ジョブ型雇用を各社が導入するようになり、正社員の手当が廃止に向かう動きが顕著になってきました。ジョブ型雇用と、従来の人主体の雇用との違いについて解説します。(『教育貧困にならないために』川畑明美)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。
廃止に向かう正社員の手当
最近では「手当」を廃止する企業が増えています。
正社員と非正社員の待遇差の解消を目的とする同一労働同一賃金法が2020年4月に施行されたこともよります。
ですがソニーでは、2004年より諸手当がすべて廃止されて、本給のみとなっています。
扶養手当を支給していれば、子どもが生まれる度に給料が増えていくことになります。
働く本人にとってはありがたいことですが、いったん増えた手当は減ることはないため、企業にとっては社会保険料も増えて、重い負担になります。
社員の業績だけを評価したい企業
もうひとつの理由は、手当を少なくすることで、社員の業績や業務の内容だけで給料を決定していきたいという、企業側の方針があります。つまり、企業側の評価がストレートに報酬として反映されるということです。
これまで、独身の若い社員がいくら頑張って基本給がアップしても、いろいろな手当がついている人、例えば既婚者で子だくさんの人との収入の差はそれほどありませんでした。それが、これからは大きな差がつく可能性が出てきます。
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ジョブ型雇用促進で手当削減が加速
企業にとって国際競争力が問われるいま、この方針を採用せざるを得ない経済状況になってきているともいえます。
そういう企業から導入が進みつつあるジョブ型雇用も考えてみましょう。
ジョブ型雇用とは、働き手の職務内容をあらかじめ明確に規定して雇用する形態のことです。
いままで日本で一般的とされてきた雇用はジョブ型と比較してメンバーシップ型雇用と呼ばれています。社員にふさわしい仕事を割り当てる「人主体」の仕組みです。賃金は、働き手の経歴や勤続年数などで左右されます。
一方ジョブ型は、業務の市場価値で賃金が決定します。
こうしたジョブ型雇用に変化することで諸手当の削減が進んでいるのです。
まさに「完全実力給」の時代に突入したといえるかもしれません。
『教育貧困にならないために』(2022年3月12日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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